MARUNIの社長ブログ

安定と自転運動

2014年1月25日

街を歩いていて、ある政党のポスターに「安定」という文字を見つけました。私たち人間は、不安、不安定、先が見えない、先が読めないことを極度に恐れて生きていると思います。だから誰しもが「安定」を求めます。経済情勢が不安定に成れば、就職先もさらに安定志向が強まるでしょう。それは人間の根源的な心理として、当然理解できます。ただ、そもそも「安定」とは何か、「安定」とはどう言う状態なのかが曖昧です。多くの人々にとっての「安定」とは、「もうこの先、特別何か(苦労)をしなくても大丈夫」な状態ではないでしょうか。ここに就職したらもう安全。これだけのお金があればもう(何もしなくても)大丈夫。多分きっとこのような感覚だと思います。つまり「安定=静止」という捉え方です。

そのように考えた時、同時に何か・・・「本当にそうかな」と言う違和感も残ります。例えば、私たちが住んでいるこの地球は、宇宙空間に「安定」した状態で浮かんでいます。そのことに対して、私たちは(当然)全く不安感を覚えていません。そもそも、そのこと自体を忘れて日々を生きています。けれども、その完璧なまでの「安定性」は、実は時速1400 kmの自転運動によって保たれています。これだけの超音速、かつ全く狂いの無い(必死とも言える)「動き」の連続によって、地球は宇宙空間で静止(=安定)しているように見えているだけです。とすれば、安定は静止状態と言うよりも、必死の運動状態の連続によって維持されているのではないかと考えられます。

「もう安心、止まって大丈夫」と思った瞬間に、自分自身の「自転運動」が止まり、本当の意味での不安定が始まります。世の中の状態がどうであれ、自身の環境や境遇がどうであれ、自分自身が何かに向かって「自転」さえし続けていれば、そこには真の「安定」が発生するのではないでしょうか。昨日のTV番組では、東大を出て環境省に努めながら、赴任先のルワンダで廃棄物対策を行った後、そこで自ら環境省を退職し、ルワンダに残った一人の人物を紹介していました。彼は、エリート官僚という職と勲章を捨て、個人で途上国に貢献する道を選んだのです。人はそれを「安定を捨てて、もったいない」と言うでしょう。けれどもこの人にとっての安定とは、そこで自身を「自転」させ続けることだったのではないでしょうか。

常に何かに挑戦し続ける「運動性」こそが、本当の「安定」だと思います。「もう安心だ」と、静止してしまった瞬間から、恐怖の「不安定」がやってくる。そのように理解することがもし出来たならば、日々何かをしなければ成らない状態で、毎日を必死で動き続けていることは、むしろ「ありがたい(幸福な)状態」なのかもしれません。お金に対する考え方も一緒で、多くの蓄えがあること自体が(決して)安定ではなく、そのお金が順調に(清浄に)「回っている(動いている)」状態こそが、本当の安定と言えます。しばしば、大きなお金を持ちながら、決して幸福な人生で終らなかった人がいます。きっと、お金を良い形で社会へ回さなかったことが原因ではないかと想像します。つまり、大きなお金を得た人ほど、大きな責任(=役割)を負う訳です。

この度、楽天イーグルスの田中将大投手が米ヤンキースに入団することが決まり、巨額の契約金額が新聞紙上を駆け巡りました。これは、田中投手にとって、むしろ大きな負担(責任)に成るものでしょう。「それだけの成績を残さなければ成らない」という意味では無く、このお金をどのように世の中へ回していくかという面においてです。ただ田中投手は、楽天時代から様々な形で(決して目立たないように)多くの寄付をして来たと聞きます。多分、そのような人間性であったからこそ、昨年の様な偉大な成績と今回のメジャー行きを引き寄せたのでしょう。ならば今回の報酬についても、さらに生きた使い方をされて、またさらに大きな役割を与えられるに違いありません。本当に物凄い人物だと思います。

富や幸福、知識や知恵を、自分自身だけで止めないで、広く社会(他者)へ流していく。流して行けば、その時は(一瞬)減ってしまうように見えますが、(けれどもいつか)必ず与えた分がさらに大きく成って、別の方向から入って来る。そしてそれをまた流していく。この連続する運動が真の安定であり、その最初の一手は(間違いなく)「与える(捨てる。損する)」から始まるということです。「入ってから、出す」のではなく、「出してから、入る」の順です。だから難しいし、厳しいし、怖い。勇気が無いとできない。挑戦心が無いとできない。この不安に打ち勝てる者こそが、最後に真の安定を得られるのでしょう。

「安定」とは「得る」ものではなく、「在る」ものだと思います。必死で動き続けること。世の中の為に何かをやり続けること。その「状態」を言うのだと思います。だから、誰かの為に、社会の為に、今を必死で生きている人は、みんな(既に)「安定」を手にしている幸福な人だと思います。


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※吉祥寺南町の井の頭通り沿いの現場がもうすぐ完成です。お客様と自然の恵みに、心から感謝いたします。ありがとうございます。

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