MARUNIの社長ブログ

日本の役割

2015年3月26日

免震ゴムのデータ改ざん事件が発生し、以前の姉歯事件同様の大きな問題と成っています。建物の構造計算上のトラブルは、住む人(利用者)の生命に関わるため、非常に厳しい状況ではないかと思います。姉歯事件の場合は、一人の(個人の)設計者に起因するものでしたが、今回の場合は信頼性の高い大手メーカーの製品で、より根の深い病巣を感じます。一人の個人も、名のある大企業も、決められた法律や法規、取り決め事を守らないと、一瞬で崩壊する時代に成ったのでしょう。逆に言うと、真面目にコツコツ、社会的ルールや規律を守り続けている人や企業に対しては、「光」が当たる時代でもあります。「愚直に生きること」が評価される社会への移行が始まるのでしょうか。そのような意味では、むしろ「大安心」の時代が始まったと観るべきなのでしょう。

さて、最近のTV番組の中で、素晴らしい日本人の姿を観ました。ある小児科専門の外科医の先生は、他の病院に見放されてしまった難病の子ども達に対して、「絶対に何か方法はある」とその可能性を探し続け、最後には極めて難しい手術を成功させていました。元来の性格である心配性のおかげで、手術を行う前までの徹底した準備を行い、「実際に手術を行う時には、既に手術は終わっている」と言います。準備、準備、準備の繰り返しで、先生のノートには、手術の手順が克明に書かれており、それを何回も何回もペンで追いかけていました。心配性とは一見マイナスの性格のように感じますが、それを準備、段取りの徹底という習慣に反転させることで、自信と挑戦のエネルギーへと転換しているのです。心配性だからこそ、常に最悪を想定し、最悪を想定するからこそ、そのための完璧な準備を行う。よって物事が成功する。心配性と挑戦性という両極二面性を持つ素晴らしい人でした。

また、もう一人は中小企業の経営者で、汚れた水を浄化することのできる特殊な粉末を開発し、発展途上国の汚れた川の水をきれいな飲料水にすることによって、社会貢献とビジネスの両立を実現している方でした。当初はお金儲け(だけ)の為にいろいろな事業を行っていたのですが、全て失敗の連続で、その後に発展途上国の小さな村の村長さんや村民の方々との出会いによって、「人の役に立つことをしたい」という考えに変わったそうです。その後、この粉末の需要が増え、発展途上国の方々にも収益が上がる仕組みを考え、世界の貧困な地域での安全な水の普及に努力されています。一時的な形で終ってしまうボランティアではなく、永続するビジネスという仕組みの中で、全ての人が(少ない負担で)喜びを得られる道を開拓しているのです。「社会貢献なんて言葉は大嫌い」などと言いながら、お金儲けを追求していた人が行き着いた場所が、真の社会貢献であったという、これも両極の思考の一体化ではないかと、とても不思議に面白く感じました。

また他の番組では、世界で最も早く日付が変わる国である(太平洋の小さな島国の)「キリバス共和国」の現状を紹介していました。ここは第二次世界大戦時に日本の統治下にあった場所で、戦後も日本からの援助が行われ、キリバス国民の日本に対する感謝の思いが、とても強く感じられました。日本の援助により完成した(島と島との間を結ぶ)「連絡路(コーズウェイ)」は、日本語の歌にも成っていて、今でも毎日ラジオから流れているそうです。キリバスの若者たちの夢は、日本語を学び、日本で漁師に成ることです。TVではその夢を果たそうとする明るく元気な若者たちの姿を追っていました。このようにして、知らないところで、日本はとても良い事をしている・・・。日本に感謝し、日本を尊敬し、日本に憧れている人々がたくさんいる・・・。その事実を知れば知る程、私たち日本人は、襟を正して、見本と成る姿を見せて行かなくては成らないと感じました。キリバスの島は、年々の海面上昇によって、いつか国土が失われてしまうそうです。そのための移住先も既に確保しているとのことでした。それでも明るく前向きに生きている人たちの姿を見ると、私たちの方も学ぶべき点があると感じました。

地球温暖化による海面上昇、迫り来る大地震、難病を治す医療、発展途上国への支援・・・これから日本(日本人)が果たせる役割はまだまだたくさん在ると思います。日本の技術、日本人の智慧と良心はまさに地球(世界)の宝です。その宝物を与えて頂いたことへの感謝の心と謙虚さを決して忘れないで、更なる大欲を持って、日本人として恥ずかしくない行動をして行かなければと思います。その先に、世界から尊敬され、感謝される「黄金の国ジパング」が見えて来ると期待して・・・。

※海面上昇に思う

上記のキリバス共和国における海面上昇の件は、決してこの地域だけの問題では無く、これからの地球全体に及ぶ重大な危機の1つではないかと思います。日本においては、大地震に対する防災意識は他国よりも高く、建築的にも(まだ完璧では無いですが)耐震性能も高く、過去の経験からの様々なシミュレーションと準備が行われています。海面上昇に対しても、3.11の津波によって大きな危機意識を持つに至りましたが、津波の場合は、あくまで一時的なもので、必ずしも被害に遭うとは限りません。けれどもこれが海面上昇と成ると、世界中の海抜の低い地域の全てが(ゆっくりとですが)水没して行くことに成ります。

もちろん今日、明日の事では無いので、慌てる必要は無いと思いますが、既にキリバス共和国の様に、別の国のある地域(土地)を購入することで、確かな準備を始めている国もあります。実際どれくらいの海抜まで海水が上昇してくるのかは分かりませんが、津波の被害を受けた東北のみならず、全国の海沿いのエリアにて、建築不可地域の設定等が必要に成って来るのではないでしょうか。突然襲ってくる地震の様な災害が(確かに)一番怖いのですが、でも本当に怖いのは、ゆっくりと、少しずつ、近づいて来る、静かなる恐怖です。知覚しているのに、まだ先のことの様に思えてしまい、実際に近づいて来た時にはもう、「時すでに遅し」という状態が多いものです。先ず認識をして、最悪を想定した上で、今から出来る事を(ゆっくりと、少しずつ)進めて行くこと。この様な準備の力と災害の力が相殺されて、無難に成ることも有るのではないかと思います。

また火山の噴火についても、これから頻発する可能性が高いと言われています。日本の場合は、昨年の御嶽山の噴火で、そのような意識が目覚めましたが、地震に比べればまだ危機意識は低いものと思われます。けれども火山噴火の影響は極めて大きく、街は焼け、火山灰に埋もれ、都市機能は停止し、噴火自体も長期化することが多い様です。日本は地震国であり、火山国であり、そして島国です。日本がこれらの自然災害に対してどのように向き合い、どのように準備をし、どのように対応して行くのかを世界が見守っていると思います。そして、その日本の姿勢が世界に対しての良き見本、良き雛形に成るはずです。建築も深く関わることですので、今後の日本の総合的な防災戦略に注目して行きたいと思います。

最良の建築をプロデュースします。

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