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楽願

先日、街を歩いていたら、ある文字が目に飛び込んできました。すれ違った男の人が来ていたTシャツにこう書いてあったのです。「You Are Here」。その瞬間、「お前は、今ここにいるんだ。いいじゃないか」と言われたようで、少しドキッとした次第です。人間は、ついつい現在の自分自身の状態に対して(大なり小なり)不満を持ったり否定的になったりしてしまうもの。でも、その状態(今の位置、場所)にいるのは歴然とした事実ですし、それをマイナスに捉えても何も始まらない。「I Am Here」、「そうです。私は今、ここにいます。意外と、いいかもしれない」と肯定的に捉えてみる。そうすれば気持ちが明るく元気になって、結果的に嬉しい結果が生まれてくる。・・・このメッセージ、けっこうスゴイ意味があるじゃないか。そんな風に思ったのです。このTシャツを着ていた男性が、何かしらの意味を感じて着ていたのかどうかは分かりませんが、通り過ぎた一瞬の間に私にある種の「気づき」を与えてくれたのですから、本当に感謝ですね。「今いる場所に感謝する」は、丸二の「ありがとうございます」に通じるような気がしました。
だんだんと世の中が混沌としてきて、今まで経験しなかったような事が起きてくると、様々な迷いが生じてきます。一方、TVでオリンピックを見ていると、そんな迷いなど一切無く、ただひとつの目標に向かって努力し、夢を実現している人たちを目にすることが出来ます。そのことに驚嘆し、感動し、賛美しながらも、実は彼ら(彼女ら)も、実際は多くの迷いと挫折と不安と恐怖の中から這い上がってきたことを知ると、ああ・・・個人の力ってすごいものだなあ、私たちにもきっとそのような力があるはずだと、信じざるを得ない心境になってきます。常に自分のいる位置を確認し、それを否定せずに、肯定し、感謝し、楽しさや感動の方向へ気持ちを誘導していくこと。何となく、そういう「意識の調整法」をマスターするために、今の人類は生きているのかもしれないと思ったりもします。人から与えられる感動に加えて、自らの内側から湧き上がる感動を体感するために。
さて、その北京オリンピック日本選手団の福田富昭団長の総括会見を見ていたら、ドキッとする言葉がありました。「オリンピックは国と国との戦い。国策として強化しなければ。英国は470億円が使われた。日本オリンピック委員会がもらっている強化費は27億円。比べものにならない」・・・何か、昔の軍部の発言みたい。世の中から戦争が少なくなってきたから(もちろん、まだゼロにはなっていないけど)今度はスポーツで戦うの?防衛予算を増やすみたいにして、スポーツ予算を増やすの?どうしてそんなに競争や戦いが好きなの?今回の北京大会で金メダルをたくさん取った国のベスト3が、「1位中国、2位米国、3位ロシア」。日本も、こういう国家のようになりたいの?
国としてスポーツをもっと振興させて、国民の健康と楽しみを創造することは大賛成ですが、「敵に勝つため」という悲壮感に満ちた発想は、どうしても違和感があります。「悲願」の金メダルと言いますが、「楽願」の金メダルでいい。選手たち一人ひとりの、目標に向かっていく真摯な姿勢こそに私たちは感動するのであって、決して金メダルの総数では無いと思います。金メダルが1個や2個でも、楽しくリラックスして参加している国の方が、ずっと大人で進んでいるように見えます。日本もそれでいいんじゃないかな。それなのに、金メダル取っちゃうから、余計にかっこいいわけです。