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加子母のエネルギー

先週の22日~23日に開催された「加子母森林モニターツアー」には、おかげさまで約30名のお客様が参加され(キャンセル待ちも出て・・・)、とても有意義な二日間となりました。森を守ることと、天然の神宮ひのきで家を造ることについて、様々な体験と学習ができたものと思います。私自身も、「(岐阜県)加子母」というあまり有名ではない土地に何度も訪れているうち、その場所の持つ不思議なエネルギーのようなものを感じるようになりました。
今回の二日間でも、皆で見学した「ひのき」伐採現場の森や、二日目の朝の霧に包まれた幽玄な山々の風景、初めて触れることの出来た大きな杉の御神木等、あくまで感覚的な表現ですが・・・何か特別な力が宿っているような気がしました。実は、今回参加された方々の中にも、そのような感覚を持たれた方が多く、本プロジェクトの意義を強く感じていただけたと思います。
伊勢神宮、姫路城等に使われている神宮ひのきで、<健康・安全・幸福>な住環境を造る、間伐することで森の中に光を入れ、美しい日本の自然・環境・景観を護り、育てる。この二つの美点を実現することが、このツアーに参加された方々全員の「志」にまで昇華されたような、無限(∞)の時間でした。東京武蔵野と岐阜加子母・・・。この線がしっかりと結びついて、日本の政治・経済の中心地である東京へ、神宮ひのきと共に素晴らしいエネルギーが流れてくることを期待します。
さて、新政権になって、2ヶ月くらいが経ちますが、なかなか状況は厳しいようです。事業仕分けに対しての評価は高く、内閣支持率も高い状態をキープしていますが、対米問題や景気浮揚策は、なかなかビジョンが見えてきません。今は恐らく、「それどころじゃない」「とにかく出費(出血)を止めなくては」・・・という程、財政状況は想像以上に厳しいのかもしれません。
確かに、崩壊しそうな家に乗り込み、先ずは押入れや机や屋根裏から全部を引っ張り出し、実体を把握をしている最中ですから、仕方のないことです。今はとにかく、国民と一緒になって、今の日本の本当の姿を明らかにすることだと思います。そうすれば、きっと次なる一手は見えてくるでしょう。また、かつての住人だった方々も、家の中が整理整頓で混沌としている間、先回りをして、次なる一手をどんどん提案して行ってはどうでしょうか。その両方の作業が追いかけっこをしながら、何とか良い方向を見出して欲しいと思います。
それにしても、先々へ向けての「ビジョン」は、とても大事です。会社で言うと、今行われていることは、固定費の削減であり、(もちろん大事なことですが・・・)限度があります。問題は、これからの新しい成長分野を、どう造っていくかだと思います。例えば、温室効果ガス25%削減のためのクリーンエネルギーの開発・普及や、地方活性化のための観光(林業)への投資、食糧自給率アップのための農業政策等、日本の素晴らしい技術や国土があれば、すぐにでも着手できるものばかりです。事業仕分けも、これからも継続して行かなければならないことですから、あらためて「ビジョン」を示し、どこに重点を置くかを決め、さらに無駄の削減と戦略的な予算の配分を進めて欲しいと思います。
加子母に行くと、日本には素晴らしい資源が眠っていることが分かります。もう石油の時代ではありませんね。素晴らしい自然、山、川、木、水、田んぼ、畑、湖、海、温泉、四季・・・。このような見事な資源を生かし、多くの人々に来ていただき、観ていただく(観光立国)。そこで産み出される食物を食べ、そこで生み出される木に暮らす。そういう事業やビジネスに、人もどんどん流れていく。そうすれば、もっと健康的な、晴れ晴れとした、お互いが分かち合える人生が始まっていく。
今、起きていることは、いずれ来るであろう、このような社会に向けてのキックオフであり、とても良いことだと思います。今までの事を全て日の光に当てて、明らかにして、悩みながら、苦しみながら、混乱しながら・・・最後には「自然と総和」する道を選ぶ。もう、それしか道はないと気づく。そういうプロセスに入ったのではと思います。昨日、子どもたちに言いました。「本当に素晴らしい国に生まれたね。大きくなった頃にはいい時代になるよ」と。大きくなる頃に間に合うかどうか・・・でも、そのような願いを込めて。

これからの大変化と丸二の考え

世界的な経済環境の激変により、国内の各産業も、大きな変革が必要になってきました。とりわけ建設業界においては、「コンクリートから人へ」という国の大方針により、公共事業・ハコモノ行政からの決別が進むでしょう。丸二は無事に、公共事業からの脱却を、10余年をかけて達成をいたしましたが、本当に大変な道のりでした。そう考えると、今からそれを始めるということは、事実上不可能であり、もう間に合わないのではと思います。地方においては、農業等の異業種への事業転換も進むと思います。
また、今までのような新築工事一本やりのようなことも無くなるでしょう。建てては壊し、スクラップ&ビルドを繰り返すことで、長期的な売上を立てていたゼネコンや住宅メーカーも、大きな岐路に立っています。これからは、モノを大事にする時代。修理・営繕・耐震・リフォームをしながら、長く使っていくという方向への大転換です。丸二もすでに、数年前から「リフォーム部門」を立ち上げて、現在では毎月100件以上のお客様からのご依頼をいただけるようになりました。このように、小さなこと、誠実なメンテナンスに本気で対応していくことが、新しい時代の要請だと思います。
新築工事についても、住宅着工件数が減っていく中で、「百年建築(ルネス工法+外断熱工法+パワー・コンクリート工法)」や「農商工連携認定事業:加子母ひのきの家」等をご提案し、健康で安全で幸福な環境共生長寿住宅を普及させていきます。賃貸併用住宅あるいは戸建住宅も、よりよい建築であれば、これから多くの建て替え需要が出てきます。環境、エコの時代と言われていますが、その中での本丸が、実は、「建築」「住環境」ではないかと考えます。
例えば、断熱方法についても、これからは「外断熱」へ移行していくと思います。日本の鉄筋コンクリート造のマンション、ビル、住宅のほとんどが、現在は「内断熱」であり、いつも結露、ダニ、カビに悩まされ、夏も冬もエアコン無しでは暮らせない状態になっています。ところが、広く欧米で標準となっている「外断熱」では、建物自体が外から守られ、建物寿命が長く、室内空気環境も改善され、結露、ダニ、カビが減少し、エアコンに頼らない省エネ環境をつくることができます。「温室効果ガス排出量25%削減」という日本の大目標を達成するためにも、国土交通省が「外断熱の推進」を行う必要が出てくるでしょう。丸二も、「外断熱」には、10年前から積極的に取り組み、すでに多くの施工実績があります。このように、住む人にも、建物にも、地球環境にもプラスになる工法を、私たちは無視する訳にはいかないのです。
「コンクリートから人へ」と書きましたが、もうひとつ、「コンクリートから木へ」という方向性もこれから出てくるはずです。日本の山は今、荒れ始めています。森の木を間伐しないと、日の光が入らず、森が死んでいくからです。日本の美しい森を守り、林業を復活させるには、森の木を間伐することが大切です。外材ばかりに頼らないで、国産の素晴らしい木を使って、家を建てることは、地球環境への貢献にもなります。コンクリートから木へ・・・。丸二は、農商工連携事業の認定を受けて、岐阜県・加子母森林組合様と共に、伊勢神宮の御用材として有名な「加子母ひのき」を産地直送でお客様にご提供し、都会に癒しの住環境を造ることと、森を守ることに貢献しています。
そして・・・、建築デザインも大きく変わっていくと思います。これからは、自然と調和する「自然風水デザイン」が始まります。つまり、人間が頭で考えるデザインではなく、そもそも自然の中に無尽蔵に宿っている力を利用したデザインです。風水というと、方位とか、占いのイメージがありますが、ここで言う自然風水とは、「あるがままの自然(風、水、木、火、草、土、石、光・・・)と調和する」と言う意味で、つまり、古来から先人たちが、建築や都市計画に利用していた自然科学の智慧のことです。丸二も、時間を掛けて研究を進めていますが、徐々に現代科学でも立証され始めていて(建築医学として確立)、とても興味深いテーマになってくると思います。これらのノウハウを、今後は基本設計に取り入れていきたいと考えています。そのコンセプトは、「シンプル」「美しい」「安価」です。
さて、今まで、家やマンションは「買うもの」「選ぶもの」でしたが、これからは「建てるもの」「造るもの」へと移行していくでしょう。住環境を得るということは、人任せに出来るほど、簡単なものではないということです。丸二が10年間かけて実績をつくって来ている「コーポラティブハウス」は、まさにその代表選手です。お客様一人ひとりのビジョンやイメージを叶えるために、私たちはさらに磨きをかけていきたいと思います。
最後にもうひとつ。あまり言われていないことですが、これからは建設会社と言えども、男性中心から男女協働へと移り変わっていくでしょう。建築、住宅、リフォーム、デザイン、住まい方・・・このようなご提案の中に、女性の視点、優しさ、繊細さを含めていかないと、造った側だけの自己満足で終わることになります。「建築は男の世界」というイメージから、いかに脱却し、男性・女性がお互いの役割の中で、総合的な住環境を造っていくことが、お客様のニーズにさらに一歩近づいていくことになると思います。丸二は、少しずつですが、新卒女子社員の採用を続けながら、じっくりとお客様志向の社風づくりに取り組んでいます。
さて、こうして考えてみると、21世紀の建築は、百年レベルで持続していく「百年建築」と、人や自然の生命を育む「生命建築」となるでしょう。丸二は、その二つを実現する技術と人を育てている会社です。

世界一の野球を

松井選手の大活躍で、ヤンキーズがワールドシリーズを制し、松井選手自身もMVPに輝きました。本当におめでとうございます!松井選手は7年前に巨人を退団して、メジャーリーグに行ったわけですが、もしそのまま巨人に居れば、今でも四番打者で平穏かつ安泰な選手生活を送っていたでしょう。それなのに、「巨人の四番」という最高級ブランドを自ら捨てて、あえて茨の道を選んだところに、独特な美学を感じていました。
それでもやはり、メジャーは厳しいんですね。松井選手にとっては、イチローの活躍の影に隠れてしまった7年間だったと思います、WBCにも参加せず、怪我もあり、いろいろと精神的にも苦しかったのではないでしょうか。でも、このワールドシリーズでは日本人選手として大活躍し、とうとう世界一を経験することができました。いわば、野球界の最高峰を手にしたわけですよね。本当に、これまでの苦労の賜物だと思います。
考えてみると、イチロー選手の凄さと松井選手の凄さは、何かが違います。打ち方や体格のイメージもありますが、イチロー選手は「個・ミクロ」を求め、松井選手は「全体・マクロ」を求めているように感じます。どちらがいいのか、悪いのかは判りませんが、案外松井選手の大局観的な生き方は、私たち普通人にとっても、大いに参考になるような気がします。苦しくても、諦めずに努力する。そうすれば、長い目で見て、きっと結果は付いてくる。細かいことは気にせず、世間に惑わされず、人や環境と調和しながら、謙虚に自然体で生きる。松井選手がそういう信条を持っているかどうかは全く知りませんが、多分そうではないかと感じます。
「個」を磨き上げるイチロー選手と、「全体」に貢献する松井選手。不思議と、所属しているチームの強さもそれに呼応していますね。二人とも個性的で、面白い。それぞれが力を発揮した一年。WBCで始まりワールドシリーズで終わる。日本人の素晴らしさが全開したメジャーリーグでした。
ただ・・・、アメリカの威信、ドルの強さがどうもおかしくなってきたので、今後のメジャーリーグをはじめ、アメリカの行く末には暗雲が立ち込めていると思います。イチロー選手も松井選手も、そろそろ日本に帰ってきて、本場仕込のベースボールを日本で確立してはどうでしょうか。今、日本の政治や経済は確かに大変な状況ですが、政権交代が可能な環境が整い、いろいろな大混乱を経ながらも、世界の雛形としての新しい日本の姿がいずれ見えてくると思います(相当、先のことかもしれませんが・・・)。
その時は、環境、健康、農業、林業、景観、代替医療、ナノテク、バイオ、クリーンエネルギー等がリーディング産業になっていて、それぞれの分野において、日本が世界をリードしているはずです。その中にきっと、夢とか感動、喜びを味わうことのできる世界一の野球があってもいい。その礎を、この二人にぜひ造って欲しいです。