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明るく観る力

あと少しで平成の世が終わります。昭和64年1月7日、昭和天皇が崩御された時、私は前職の(兜町の)証券会社で入社3年目の新米営業社員でした。昭和という巨大な時代から平成という未知の時代が始まる改元の瞬間を、株式市場のど真ん中で体感できたことは貴重な経験だったと思います。その瞬間全てが静(鎮)まり返り、無限に続く程の長い静粛な時を刻みつつも事態は粛々と動き、時代は完璧に(当たり前のように)移行しました。その改元の運行は、正に天の意思の如く全くもって自然体でした。
このようにして、私にとっての平成は、日々の株式市場の喧騒が一時停止した後、僅かな静寂の時を経て、再び何事も無かったかの様に始まったのです。けれども今思うと、その僅かな静寂の時の背後では、昭和天皇から平成天皇へ、強烈なる「平和への覚悟」が引き継がれたのではないかと想像できます。私たちはそのおかげをもって、戦争の無い平和な30年間を享受できたのではないだろうか・・・と。只々、感謝の30年でした。
平成時代では、阪神淡路大震災や東日本大震災等をはじめとする大規模な自然災害が日本各地に発生しましたが、私たち日本人一人ひとりに出来ることは、自然の恩恵に感謝する意識を強く持ち、日々の経済活動や生活習慣を変えていくことしか無いと思います。これこそが令和の道と思います。令和という言葉からは、「天(自然界)の秩序(道理)との調和」を感じます。典拠が万葉集とのこともあり、日本古来の精神文化への回帰も予感されます。西洋文明に感化された時代から、再びの大和の良心を復興させることで、天地は鎮まり、大きな和の時代に成ると信じて・・・。
そして今、世界各国の情勢は(経済面でも治安面でも)悪化しています。けれども日本だけは(確かに同じく厳しい状況下ではありますが)、本年の改元(令和元年)、来年の東京オリンピック開催、2024年の紙幣デザイン刷新等、なぜか大きな祝典事が重なり、明るい気持ちが(梅の花のように)膨らみつつあるのも事実です。此処に何か特別な意味が在ると感じます。要するに、目に映る風景を明るく観る力が大切な世の中になって来たのではないだろうか・・・。
仮に、時代が西洋的な物質文明から東洋的(日本的)な精神文明へ移行(あるいは回帰)するのであれば、令和の世とは、心の力が全てを凌駕する時代に成ると想像できます。自身の五感で感じられる全てのものを、明るく観ることのできる人に成れれば、全てが変わるのではないか。目を覚(冷)まし、頭を冷やし、天(自然界)に生かされている自分自身に気づき(思い出し)感謝すること。明るく観る力の総和で、国も社会も会社も家族も、きっとみんなが良く成るはずです。あと少しで令和の世が始まります。きっと素晴らしい時代に成ると思います。
※バッハ:管弦楽組曲全曲(サヴァール指揮/ル・コンセール・デ・ナシオン)
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クラシック音楽の中で、私がお気に入りの作曲家は、ヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナー、マーラーですが、特にバッハの音楽には畏敬の念(神聖な感覚)を強く感じます。つまり生身の人間が(努力して)造った音楽という気がしないからです。まるで、元々自然界に存在している微細な音の粒子たちが(ある一定の秩序の元で)自発的に様々な配列で並び替えをしている様子を描いた絵画の様なのです。音の一粒一粒が妖精のように(楽しく自由に)宙を舞う姿を、バッハは心の目で観て、只音符として書き留めただけなのかも知れません。バッハの音楽は全て素晴らしいのですが、最近聞いたCDでは、スペインのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者であるサヴァールの指揮する「管弦楽組曲」にとても感銘を受けました。もうバッハの時代に迷い込んでしまい、ワクワクしながら最新曲を聞いている様な感覚なのです。今年のゴールデンウィークは、たくさんバッハを聞いて、令和時代の幕開けとしたいと思っています。