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ワイオミングへの夢

今年から、丸二の社内で「オンラインカレッジ」という新しい取り組みが始まりました。これは社員一人ひとりが(順番に)講師と成って、動画で、自分の仕事の解説を行うものです。要するに、「社内YouTuber(ユーチューバー)」の養成ですね。社員みんなが持っている(仕事上の)知識、技術、経験、智慧、成功談、失敗談、アドバイス等を惜しみなく出し合う場として開設しました。みんなの情報をみんなで共有し、お互いがお互いの得意の分野で、役に立ち合う。要するに、互助の精神の具現化です。例えて言うと、みんなが持っている美味しい食材を、目の前にある大きな一つの鍋に入れて、みんなで最高の鍋料理を作るのです。これによって、誰もが美味しく、同じ味の料理を食べられることに成ります。
与えることで、与えられる。みんなが共に成長し合う。その結果、お客様へのベストな(最高の)提案が出来、会社全体も良く成る。このような社員みんなの「脳内サーバー(共有財産)」を造り上げることが出来れば、「みんなで育て合う企業風土」が醸造され、「してもらったことを、してあげる」という善循環の流れが自然発生し、結局は自分自身に良い事が巡って来るでしょう。まさに道理の世界です。
逆に言うと、「オンラインカレッジ」によって、自分は一体何(食材)を持っているのだろうか。何で貢献できるだろう。何が自分の得意技なのだろう。この様な自分自身に対する根元的な「問い」も生まれて来るはずです。つまり、無意識に、自分自身の長所や個性に向かって、フォーカスされて行く訳です。実は、此処がポイントで、「オンラインカレッジ」とは、確かに仲間に対するメッセージなのですが、本当(裏側の真実)は、自分自身の内面に対するメッセージでもあるのです。みんなの役に立てる自分とは。お客様の役に立てる自分とは。自らを知り、自らを認めてあげること。この様な、ある種の自分自身への応援歌と言えるでしょう。
とは言え、実際にカメラに向かって、自分の考えを言うことは、なかなか大変なことで、難しいです。何となく恥ずかしい面もあります。けれども徐々に慣れてくれば、けっこう楽しく成って行きそうな気配がします。コロナ禍のおかげで、このような新しい取り組みを始められて、とても良かったと思います。
ところで、この「オンラインカレッジ」の中身ですが、もちろん業務上の情報共有が主たる目的なので、仕事の話がメインに成るのですが、それだけでは味付けが弱いと思い、各自の趣味や道楽の話題も積極的に盛り込むことにしました。実は、丸二には「道楽倶楽部」という変な名前の制度があります。社員一人ひとりの趣味や道楽に対して、会社が(ほんの気持ちばかりの)応援するものです。社員としては、自分の趣味についての話題を、社内の掲示板(NET)に時々投稿などしていますが、今後は、「オンラインカレッジ」の動画も利用して、自分の趣味の世界をさらに広げていくことに成ります。
社員の趣味や道楽と言っても、結構いろいろです。読書や映画鑑賞、音楽鑑賞はもちろん・・・ラジコン、バイク、自動車、グルメ、旅行、登山、山城、和太鼓、ダイビング、家庭菜園、キャンプ、盆栽、ウォーキング、ゲーム、自転車、ゴルフ、カメラ、ドローン、ペット等と、バラエティーに富んでいます。私の趣味は、映画と音楽に集中していますが、これを機に何か新しい趣味を持ってみようと思いました。社員一人ひとりが持っている世界観を共有し合い、尊重し合えたら、もっともっと素晴らしい会社に成ると思います。更には、お客様や地域の方々とも共有できたら・・・と夢は膨らみます。コロナ禍という貴重な時間の合間にて、丸二の微々たる前進の一例をご紹介させていただきました。
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※映画「シェーン」(アメリカ/1953年)
私の第1回目の「オンラインカレッジ」で、好きな映画を紹介しました。私が子どもの頃、地元の吉祥寺には多くの映画館(古い名画座)があり、都内でロードショーを終えた作品が(少し遅れて)2本立でやって来たり、昔の洋画を上映していました。その中で、私はよく「武蔵野映画劇場」に行って、数々の名画を観て育ちました。その最初の記憶は、「シェーン」です。その時点でも古い作品で、よくTVでも放映していたと思います。最近、「シェーン」のBlu-rayが発売され、改めて見たところ、やはり素晴らしい映画でした。
映画「シェーン」は、南北戦争後のアメリカ(ワイオミング州)の西部が舞台で、流れ者のシェーン(アラン・ラッド)が、悪徳牧畜業者から、ある農民の家族を守ってあげるという物語です。最後には悪党どもを酒場でやっつけ、シェーンは馬に跨り、ワイオミングの山へと去って行きます。その後を(農民家族の)息子のジョーイが追いかけます。ジョーイはシェーンが大好きでした。そこであの有名な「シェーン!!カムバック!!」です。その美しいラストシーンとジョーイの叫び声に(昔も今も)心から感動しました。
そして今回、改めてBlu-ray を観て気づいたのは、この有名なラストシーンの後に、実はあともう2カット程の短いシーンが存在したことです。映画評論家の方々の中では有名なことの様ですが、シェーンは(悪党を片付けて)また別の町へ去って行ったのではなく、実は相手の弾に当たっていて、そのまま自ら墓場へ向かったというのです(決してジョーイには悟られないようにして・・・)。確かに「シェーン!!カムバック!!」のシーンの後、エンドマークと重なるようにして、腕をだらんと下げながら、うなだれた姿勢で、墓場らしき場所を(馬に跨り)行くシェーンの姿が(ほんの短いの2カットほど)映り、そのまま画面は暗く成りました。
このカットの存在の認識により、よりシェーンの生き様とジョーイとの別れの意味を実感することができました。自らの生命と引き換えに、人々の生活を守った男。それは単なる別れではなく、永遠の別れだった・・・。この映画のワイオミングの風景はとても美しく、私にとって、いつか行ってみたい場所と成りました。私の吉祥寺の思い出は、武蔵野映画劇場から遠いワイオミングまでつながったのです。