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加子母ひのきと小津安二郎

このたび、経済産業省と農林水産省が一体となって、中小企業者と農林漁業者との連携事業を支援する「農商工連携事業」に認定されたこと受け、先週の20日(火)~21日(水)、岐阜県加子母の森へ総勢30名をお連れし、「加子母森林モニターツアー」に行ってきました。今回は主に建築関係のNPO、設計士の方々を中心としましたが、実際に、伊勢神宮の御用材として有名な、由緒ある加子母ひのきの森や、伐採の現場、製材所とプレカット工場等を二日間かけて視察し、あらためて自然の力、木の素晴らしさ、山の現状、環境保全、家づくりの原点を学ぶ良い機会になりました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
このツアーの詳細は、あらためてHPでご紹介いたしますが、第2回目として11月22日(日)~23日(月・祝)に、今度は一般の方々を中心にして、「加子母森林モニターツアー」を開催いたします。ご参加をご希望の方は、ぜひお問い合わせをください。日本の美しい森を守ることや、健康的で自然な住環境をつくることにご関心ある方は、ぜひご参加ください。今回はモニターツアーですので、参加費は無料ですが、モニターとしてのアンケートやインタヴューにご協力いただきます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
さて、最近BSで放映していた映画を2本見ました。2本とも小津安二郎監督の作品で、「晩春」「東京暮色」です。有名なローアングルから家庭を見つめる構図は、とても特徴的であり、何か摩訶不思議な感覚を覚えます。つまり・・・床ギリギリの低いところから、家族の会話、表情、行動、心情を見つめているのは、本当はカメラではなく、観客でもなく、実は「家」そのものではないかと。家はそこに住む人の息づかい、思考、心模様、動きを、いつも静かに見つめているのではないか。きっと、そのような意志のようなものを、家は持っていると思うのです。
よく、住んでいた人によって、その家の空気は違うと言われます。確かに、そう思います。家はいつも、住んでいる人のことを、愛情を持って見つめているはずです。でも、家を汚したり、壊したり、いつも怒っていたりすると、きっと家の方も住人を嫌いになってしまうでしょう。そうなると、家は荒れ、家庭も崩壊します。最終的には、すべて住んでいる人へ返ってくるのです。だから・・・いい家に住んで、その家を大事にすることが大切だと思います。
加子母ひのきに触れると、何か本当に温かいもの、優しいもの、美しいものを感じます。もし、この加子母ひのきに毎日見つめられて、日々の生活ができたら、きっと素晴らしい家庭が生まれ、素晴らしい人生になるのではいかと思います。小津安二郎監督の映画に出てくる人は、みんな温かくて、優しくて、美しい。きっと、日本古来の木の家の中で、家族が共に愛情を育んでいたからではないでしょうか。ふと、そんな風に感じました。

無限大(∞)の感謝の力

2020年のオリンピック開催地に、広島と長崎が共同で立候補するようです。世界で歴史上唯一、核(原爆)を投下された日本の2つの都市で、平和の祭典「オリンピック」が開催されれば、歴史的な出来事になるでしょう。そのことが1つの求心力(圧力)となって、もう二度と戦争が起きないよう厳しい目が世界に向けられるかもしれません。淡い期待かもしれませんが、そう考えることで、一歩前へ進んでいくように思います。
一方、オバマ大統領が、ノーベル平和賞を受賞することになりました。原爆を落とした国の大統領が、「核のない世界」を宣言して、ノーベル平和賞を受賞するというのも、何か違和感はありますが、「アメリカが率先して核廃絶、世界平和への道を約束する」ことへの無言の圧力と捉えれば、1つの有効な手段かもしれません。ノーベル平和賞を受賞した人(国)が、これから簡単に戦争を始めるわけには行かないからです。確か、受賞がニュースになった時に、「実績より期待での受賞」という評が出ていましたが、私はむしろ、「実績」でも「期待」でもなく、ある種の「命令」のような印象を持ちました。アメリカが追い詰められて来た1つの兆候のような気がします。
世界経済も、このようにしてアメリカ主導の形が崩壊し、それぞれの国が自立していかなければならない状況になったと思います。何かに依存する時代は終わりです。人も企業も地方も地域も、国や大企業に依存していた生き方から、全体調和の中で、自立した生き方に変わらなければなりません。今、政権交代が起きて、いろいろな変化や軋轢が生じていますが、全てが全体調和へ向かう大切なプロセスですので、とても良いことだと感じています。
今まで、そのような変化や軋轢への恐怖心のために、なかなか手を付けれなかった多くの問題があったのでしょう。でも、幸いにして、それらが徐々に「表」に出てきています。私たち国民にとっても、実際の状況を知ることによって、より一層身近な問題として考えることが出来るようになりました。大切なのは、一人ひとりが思考していくことだと思います。そうすれば、自ずと正しい結論は導き出されるでしょう。正しい状況、背景、真実を知ることさえ出来れば、大衆の判断は間違えないと思います。
恐怖と言えば、ゼネコンが公共工事を手放すことも大きな恐怖です。営業活動、商品開発、販促マーケティング、社員教育、アフターサービス、CS運動等をしなくても仕事が入ってくるという別世界の状態から、通常のビジネスに切り換えるということは、極めて困難なことであり、まさに「恐怖」そのものです。でも、その恐怖を乗り越えない限り、ゼネコンの生きる道はありません。丸二は幸いにして、その大きな山を越えることが出来ましたが、約20年も掛かりました。それはつまり、全く違うビジネスを始めるに等しい作業だったからです。
「リストラ」とは、本来「リ・ストラクチャリング」で、「再構築」という意味です。人員整理という意味ではありません。今、必要なのは、本当の意味での「リ・ストラクチャリング=再構築」ではないでしょうか。お客様の側に立って、共に考え、共に建てる。喜ばれる技術や商品をご提案し、アフターサービスに力を入れる。その原動力は、お客様への感謝の力。丸二という社名には、○が2つ、「無限大(∞)の感謝の力」という意味が込められています。これからもその精神を持って、挑戦を続けて行きたいと思います。

縁は不思議

リーマンショック以降、アメリカの経済が、どれほど日本の私たちの仕事や生活とつながっていたかを、肌で理解できるようになりました。本当に世界は狭くなった・・・。このように、人々の認識力を高めたという意味において、今起きている一連の出来事はきっと良いことであり、必要なことではないかと思います。何か流れが変わるような出来事が起きないと、自分自身の真の生き方を見出すことは容易ではありませんね。だから、ここをチャンスとして捉えれば、自らの生き方や経営の方向性を見直す良い機会になると思います。
私自身も、丸二も、このような大変化が来ることを、実は潜在的に望んでいたように感じます。私たちがご提供させていただいている商品や技術が、真に求められるような社会になるのには、あと数十年くらい掛かると思っていたのですから・・・。ところが、昨年来からの世界的な金融不安や日本での政権交代等が起き、社会全体が猛烈な「ふるい」に掛けられ始め、一気に時代の速度が上がってきたようです。ここで、本当に良い商品、良い技術、良いサービスを持っていれば、むしろ「表」に出てくる可能性があるということです。
おかげさまで今の丸二は、人材が集まっています。このようなご時世の中で、非常にありがたいことです。縁とは不思議なものですが、必ず思いは通じるようです。「技と人」が組み合わさって初めて、お客様に対して、ベストな提案とベストな建物をご提供することが出来るわけですから、人との出会いは本当に大切です。最終的には、人生は、人との出会いで決まってしまうのでしょう。そんなことを最近は、実感として感じています。
また、昨日の創立記念日には、来年4月入社予定の内定者2名にも参加していただき、一緒に創立56周年をお祝いいたしました。今回は、女子2名の入社となります。新しい時代は、本当にどのような社会になるのか・・・まだ想像できない部分も多いですが、女性が活躍する時代になることは間違いありません。建設会社としても、新たな発想と仕組みを考え出して、女性の感性を生かせる組織や風土を今から築き上げていく必要があります。丸二の場合、男女比は(この二人が入社すると)8:2です。小さな建設会社としては、良い方かもしれませんが、もっと智慧を出して行きたいと思います。
会社に入ることも縁、お客様との出会いも縁。丸二と関わる全ての人たちが、「良い縁をもらえた」と思っていただけるような経営を目指して行きたいと思います。

創立56周年に感謝

本日、10月8日は丸二の創立記念日です。おかげさまで、56周年となりました。あらためてお客様、関係各位に心から感謝申し上げます。誠にありがとうございます。でも、社歴が長いからと言って、良い会社であるとは限りません。よって丸二は、常に変わり続けていくことを選択していくのです。その方向性は、一歩一歩お客様の満足、喜び、感動に近づいていくことです。
今、時代が大きく変化していますが、私たちが見据えているのは、その変化の先にある素晴らしい社会です。今までは、随分先のような気がしていましたが、昨年来からの金融や政治の大転換により、突然目の前まで近づいてきた感があります。こうなるともう、流れは決まりです。数多くの実績を積んだ技術や工法をもって、本当に良い建築、住まい、リフォームをご提案しない限り、建設業の未来はありません。そういう新しいステージに入ったと確信できます。
公共工事や分譲マンションなど、どこのゼネコンでも出来る工事ではなく、独自の技術やサービス、提案力によって、付加価値のある建築を目指していくことが、丸二の最近10~20年間の取り組みでしたが、おかげさまで様々な工法、ノウハウ、人との出会いによって、それが実現可能な状態になってきました。随分早くから取り組み始めたことで、逆に社会にニーズが起こるまでの時間が長く、かなり待たされましたが、やっと時代のペースが上がり始め、ピッタリと合って来ました。
未来への方向性があるかないか・・・これが全ての分かれ道だと思います。目先の事ばかりやっていては、もうダメです。丸二が、未来のために物凄いエネルギーを掛けて準備をしてきたことを、これから社会のお役に立てるよう還元していきたいと思います。本当に面白い時代になりました。窓から外を見ると、大型台風も通過して、台風一過の素晴らしい天気になってます。雨で迎えていただき、太陽の光でパワーをいただく。素晴らしい創立記念日を迎えさせていただき、心から感謝します。

環境を守る責任

2016年のオリンピックが、ブラジルのリオデジャネイロで開催されることに決まりました。東京開催を推進してきた方々にとっては、とても残念な結果だったと思いますが、未だ南米大陸での開催が無かったことを考えると、良かったのではないかと感じます。これで、五大陸の5つの環が本当に結ばれたわけで、オリンピックの精神としても、良い形が出来たのでしょう。ぜひ、素晴らしいオリンピックになるよう心から期待しています。
ある意味、もう東京のような近代都市の時代はピークアウトしたのかもしれません。東京は「環境」をテーマにして招致をしていましたが、環境のことを本当に強く語れる資格を持った国や地域は、実は南米大陸であり、アフリカ大陸であったはずです。もしろ東京(日本)は、今まで環境を守ることと引き換えに、戦後復興の経済成長を優先させてきたのですから、立場が逆のような気がします。鳩山総理が二酸化炭素25%削減を約束したのは、そういう経過に対しての(先進国である)日本の責任としてであり、環境を売り物にしようとしたのではないはずです。
今回の招致活動で、都は150億円(それ以上かもしれません)を使ってしまいました。もし本当に地球環境を守ることを理念とするならば、南米のような長きに渡って自然環境を大事にしてきてた地域を、むしろ積極的に応援した方がよかったとさえ思います。150億円以上と言う税金も、もっと本質的なことに使えたかもしれません。オバマ大統領が自ら乗り込みながら、シカゴが最下位になったことを見ても、世界の勢力地図はすでに大きく変わっているのです。
日本は、助けるべき相手を間違えてはいないだろうか・・・。本当に環境を大事にするのであれば、経済成長よりも自然環境を残すことを優先させた国や地域を尊敬し、そこに対する物資的、精神的な支援をしていく方がいいのではないでしょうか。遠回りのようですが、結果的に、日本の発展に繋がると思います。でも・・・いま動いている一つ一つの歯車を一回止めて、逆方向に回すのには、相当なエネルギーと時間が必要です。ですので、あせらずゆっくり、この静かな変化を見守りつつ、自らもこの静かな変化に参画していきたいと思います。
※静かなる巨匠、ジュリーニ
ジュリーニ.bmp
もう亡くなってしまいましたが、イタリアにジュリーニという指揮者がいました。残した録音も多く、たくさんのファンがいます。私も最近になって、数枚のCDを聴くようになり、とても好きになりました。何が違うのだろうかと思うのですが、音楽がとてもゆったりとして、深くて、静かで、温かい。そんな印象です。イタリア人と言うと、陽気で弾けるようなイメージがありますけど、ジュリーニはちょっと違いますね。見るからに紳士ですし、穏やかです。音楽もそのような印象と重なります。特に良かったCDは、ブルックナーの交響曲第9番、フォーレのレクイエム、モーツァルトのレクイエム、ベートーヴェンの交響曲第9番です。ブルックナー以外は合唱が入っている曲で、歌の心を大切にしているジュリーニの良さが出ていました。例えば、二つの「レクイエム(死者のための鎮魂曲)」も、普通は暗くて、悲しい音楽となるのですが、ジュリーニで聴くと、とても穏やかで優しくて温かい。細かいところにこだわるというよりも、全体の流れを大切にしていて、聴く人の心に、何かプラスの思いを残そうとしているような感覚を受けます。うまく言えませんが、そういう人です。こういう時代だから、こういう人がいいのです。

堰を切る

トヨタがアメリカで380万台のリコール。日本の超一流メーカーも、昨年のリーマンショック以降、次々と大きな問題に直面しているようです。そもそも企業があまりにも大きくなりすぎて、一転流れが変わると、こんなにまで制御不能に陥ってしまうのでしょうか。お客様に本当に良いサービスや良い商品をお届けすることが真の目的であるならば、行き過ぎた拡大路線は、このように信用を落とす結果を招く可能性があるわけで、結局のところ本末転倒になってしまう・・・。そのような、今までの行き過ぎた経済の動きに対するある種の戒めが、様々な形として現象化しているのが「今」だと感じます。
また昨日は、広島県鞆の浦の埋め立て架橋事業の差し止めという判決が出ました。鞆の浦は、宮崎アニメ「崖の上のポニョ」の舞台となったという素晴らしい景勝地とのことで、今まででは考えられなかった判決となりました。八ツ場ダムの中止問題にしても、テレビでは「中止反対」の住民のみを追いかけていますが、実際には「中止賛成」の声の方が大きいそうです。景観を守る、自然を守る。少々不便でも、そこに良さを見つけ、前向きに共有していく。その先に、観光立国という日本が真に目指すべきビジョンが見える。そのような考え方は、確かに以前より強くあったはずですが、利潤追求の勢力の前では弱者でした。
でも・・・流れが変わってきました。ダイア建設が分譲した新築マンションに住んだことで、シックハウス症候群(化学物質過敏症)になってしまった女性が損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁はダイア建設に、3600万円の支払いを命じました。建材で健康被害が認められる時代になったのです。これも今まででは考えられなかったこと。いま、何かが急激に変わり始めました。しかも、良い方向へ・・・。
今までの、このような理不尽さに対して、真面目に前向きに取り組みながらも、なかなか現実の壁にぶつかって諦めざるを得ない状況に陥った個人や中小企業が多々あったと思います。でも、いよいよ動き出しました。物事は、動き出すまでは本当に時間もエネルギーも掛かります。相手が巨大であればあるほど、なおさらです。そこで大体は諦めてしまいます。でも、一端流れが変わって、動き始めると、堰を切ったような激変が始まります。
これからの2~3年は、今までの20~30年に値するくらいの大変化になるのではないでしょうか。その変化に対応できるかどうかは、むしろ今までどのくらいの準備をしてきたかで決まってしまうように思います。これから起こる大変化の先の社会に照準を当てて、その時代に必要な技術、商品、ノウハウ、人材を準備する。丸二も、この10年~20年で苦労しながら身につけてきた様々な技術、工法、ノウハウ、ソフトを、今後もさらに磨き上げ、この大変化の先を目指して行きたいと思います。