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500円を1000円に

昨日のブログでご報告した「加子母フォーラム」の中で、「一本500円の間伐材を、1000円で購入します」という話をしたところ、そのような(あえて高く買うなどと言う)発想は今までに無かったということで、とても珍しい考え方であると、極めて好意的に受け止められました。
植えてから50年も経っている立派なヒノキが、直径14センチ未満だからと云って、一本500円にしかならないと云う現実がそこにあります。山は適度に間伐をすることで、森に光を入れ、自然環境を守らなくてはなりません。当然、直径14センチ未満の木も、森の生態系を維持するために伐採する必要があります。でも、そのような素晴らしいヒノキが一本500円でしか売れないのです。これでは林業は成り立ちません。ここが一番のポイントです。
仮に国産の間伐材が多く売れるようになっても、価格が今のままでは、山への経済的な還元は出来ず、永続的に山を守ることは不可能です。であるならば、一本500円を1000円で買わせていただく。もう、そのことを最初に決めてしまう。その後のことは、いろいろな智慧を出し合ってやって行く。
実は、今回の「丸二・加子母森林組合」の理念がここにあります。「山が先」という考え方です。この理念を曲げずにやり切っていくことを最優先にしているのです。もちろん、そうは簡単に行かないでしょう。ただ、私たちは、「一本500円を1000円にする」ことから、物事を始めることにいたしました。
後は、私たち(丸二)の努力のみです。こんなに素晴らしい加子母の「神宮ヒノキ」を建築のために使わせていただける。こんな光栄なことは無いのです。日本の山(大自然)からの贈り物だと思って、大切に、有効に使わせていただきたいと思います。
また、私たちは「加子母森林ツアー」の定期的な開催によって、このような理念を共有できる方々を増やして行くことを目指しています。できるだけ多くの都会の方々に、加子母の森を体験していただき、また「神宮ヒノキ」の住環境をご提供していきたいと願っています。
加子母の「神宮ヒノキ」は、木造住宅はもちろん、鉄筋コンクリート造(RC)の内部空間にも最適です。あるいは、木装リフォームでも最高です。ぜひ、ご興味のある方は、森林ツアーにご参加ください。とても楽しくて、美味しくて、癒される一泊二日の旅です。心からお待ちしています。

「加子母フォーラム」無事、終了!

22日(土)は、午後から武蔵野商工会館にて「加子母フォーラム」を開催し、おかげさまで会場一杯となる約100名の方々にお集まりいただきました。本当にありがとうございます。皆さまに心から感謝いたします。
「丸二・加子母森林組合」農商工連携事業としてスタートして2年が過ぎましたが、このような形にまで発展するとは夢にも思わず、とても感謝・感動と共に驚嘆の気持ちで一杯です。ご協力いただいた全ての方々に心から感謝しています。
本フォーラムには、(前)林野庁長官・島田泰助様、中小企業庁長官・高原一郎様、岐阜県中津川市長・大山耕二様という大変な立場の方々にご支援・ご協力をいただき、当日もパネリストとして、大変貴重なお話・メッセージをいただくことができました。また、コーディネーターとして、NPO農商工連携サポートセンター代表理事・大塚洋一郎様にもたくさんの問題提起をしていただきました。
終了後も熱気冷めやらず、多くの方々から様々なお声掛けをいただきましたが、やはり現在の林業(国産材)の状態、自然環境(日本の山)の状態、地域経済の状態、建築業界の状態を覆っている閉塞感を打破するための、一つの大きな「きっかけ」になってきたという感が強いです。
それだけに、本プロジェクトの役割、責任は大きいものだと認識しています。しかしながら、このような大きな流れや風が起き始めているということは、これからは確かな時流になってくるはずです。私たちが、今までのように着実に、誠実に、理念と志を曲げずに継続をしていけば、自ずと素晴らしい結果が見えてくると思います。
また、このような取り組みが全国的に拡がって、日本の林業、山が再生し、生態系が回復して行けば、確かな世の中への貢献につながります。そのような未来図を描きながら、丸二は「加子母・神宮美林のヒノキ」の普及に力を入れて行きます。
※20年ごとの「伊勢神宮の式年遷宮」が、いよいよ2年後の2013年に行われます。そして、加子母・神宮美林のヒノキは、もうすでに伊勢に行っています。伊勢神宮の御神木で住まいを造れる喜びと誇りを、私たちは日々感じています。

タイガーマスク

タイガーマスクが全国に現れました。善意の気持ちを具体的な行動に移すことは、とても勇気がいることだと思います。また、タイガーマスクとは違う形で、すでに善意の活動をされている人々も、たくさんいらっしゃると思います。日本と云う国が、個人の善良な精神(良心)によって成り立っていることを、あらためて強く感じます。きっと外国では、なかなか起きにくいことではないでしょうか。
やはり、全体でなんとかする時代から、個人や仲間、グループで助け合う時代に変化しつつあるのかもしれません。そうなると、個人の感性こそが、最も問われる社会が来たとも言えます。時代の流れを感じたり、自然界からのメッセージを受け取ったり、心豊かに、穏やかに生きることができる人。人のために、自然のために、自然に行動できる人。美しいものを見つけられる人。感謝できる人。ごめんなさいと言える人。祈る人・・・。
「エコ」を「エゴ」で売る時代の中で、本当に「エコ」を「良心」で捧げられるような世の中になっていくことが大切な気がします。そのためには、いろいろな制度や教育や環境の改革が必要になるのでしょう。でも、本当に必要な改革は、先ずは個人の意識改革ではないかと思います。「私」自身の意識を変えれば、少しずつでも、何かが変わっていく。自分一人では限界があっても、誰かが共鳴し、同調すれば(何かをきっかけにして)一気に巨大な動きに変わる。
今回のタイガーマスク現象を見て、そのような「きっかけ」の凄さを知ることができました。これが「力」だと思います。今(仮に)何かをすることが出来なくても、小さなことでもいいから、意識を持って、日々1mmずつでも前進していけば、必ずある時(突然!)花が開いたり、一気に動き出す。そのための日々の1mm。決して良心を忘れずに・・・。私も「力」をいただきました。

生命を守る産業

東京建設業協会が発行している今年最初の月報に、「新年への期待」というコーナーがあり、そこへ寄稿した文章を御紹介いたします。私は、建設業こそこれからの花形産業であると信じていますので、そのような気持ちを書いてみました。
「生命を守る産業」
新年明けましておめでとうございます。
いよいよ大変革、大激動の始まりです。2011年は、あらゆる国家や地域、ビジネス、業界においても、全く未知なる段階・領域に突入していく年になるのではないかと考えます。そうであるならば、それぞれのリーダーは、物事に対する確固たる軸(モノサシ)を持って、来るべき新時代を見据えて、様々な事象・現象に当たらなくてはなりません。
特に日本では、不安定な政治・外交、少子高齢化、収縮する経済、環境ストレスの拡大等、解決の見通しが立たない難問が山積しており、そのような状況下に置かれながらも、明るい「夢」「希望」「目指すべきもの」を自ら創造していくという「力」が必要になって来ました。ある意味、とても面白く、やりがいのある時代になったと言えます。
右肩上がりではなく、右肩下がりの時代をいかに乗り越えて行くか・・・戦後以降、日本人が未だ経験したことのない大航海を、私たちの世代がやってみせるのだ・・・そのような大きな気概を持って、新時代を明るく笑顔で、楽しんで行きたいと思います。
私は、建設業は本当に素晴らしい未来のある産業だと思っています。何故かと言うと、建設業とは「人の生命を守る」という普遍的な役割を担っているからです。そこに対する焦点がブレない限り、この仕事はいつの時代になっても(もちろん多少の波はあっても)生き残っていくものと確信しています。否むしろ、流行りのビジネスよりもずっと魅力的で、力強く、頼りになる存在です。
私も、この「生命を守る」というキーワードを基軸として、この大変革の時代に新しい光を灯せるよう、全社員と共に最善を尽くしてまいります。そのようなプロセスの中で、きっと新しいスタイルの建設業の形が生まれて来ることに期待しています。

「ありがとう」から「ニコニコ」へ

丸二は「ありがとう(ございます)」という言葉を、15年も前から、企業理念のメッセージとして標榜して来ました。最初の頃は「ありがとう?・・・何か重いし、真面目すぎる。利益に繋がらない。精神主義は受けない」という反応が強く、社内的にもあまり評判は良くありませんでした。
でも、その意味合いの本質、つまり「感謝の力」がどれほど人生や経営において重要であるかが徐々に理解され始め、最近では、多くの企業が「ありがとう○○」と謳ったプロジェクトや商品・サービスを開始したり、有名歌手が「ありがとう」の楽曲をどんどん出し始めました。社会がますます不安と恐れに支配されつつある昨今、人々の心の中に何か大きな変化が生まれてきたことは間違いないと思います。
地元の氏神様でも、1月4日になっても、初詣の行列が続いていました。また、多くの一般雑誌でも、パワースポットや風水、お寺巡りの特集が組まれ、人々の意識が、「内面」に向かいつつあること示しています。
また、「トイレの神様」という歌がヒットしていますが、これも風水の基本的なお話です。家の中で一番汚れてしまう場所(トイレや水まわり)をキレイにすることは、家の神様に喜ばれ、また自分自身の心も磨かれます。斎藤一人さんや小林正観さんも、随分昔からトイレ掃除の重要性を提唱していました。
もっと有名な話では、北野武さんが、「なぜこんなに有名になり、成功できたのですか?」という質問に対し、「下積み時代、トイレ掃除を欠かさなかったこと以外、理由が分からない」と答えたということです。
丸二でも、会社のトイレは社員が順番に掃除をしています。そのようなことは、会社の下地に「ありがとうございます」という理念の積み重ねがあって出来たことで、単なる流行りのイベント事や運動ではありません。
そのようにして、「ありがとう(ございます)」は、会社の理念として(もちろん、まだ完全ではありませんが)浸透し、社員一人ひとりの中に「当然あるべきもの」まで昇華され始めました。と同時に、世の中にも「ありがとう」がどんどん出始めたので、丸二は次のステップに進むことにしました。
そこで「ニコニコ」です。一人ひとりが深い「感謝の力」をベースに持ち、それを形や行動、提案に変換して、お客様や社会へお届けする。その結果、本当の「ニコニコ(笑顔、喜び、幸福感)」を実現する。丸二は、今まで積み重ねてきた「感謝の力」で、お客様や世の中に本当の「ニコニコ」をお届けする。そのような段階に入ります。それは、単なる笑顔づくりではなく、「感謝の力」から派生した真の喜びをご提供していくということです。
「ニコニコ」は、丸二という社名の「○が2つ」とも繋がっていて、笑顔が2つで「ニコニコ」です。今年の1月からは、今までの「ありがとう通信」が「ニコニコ通信」と改名し、スタートいたしました。今回が第76号で、このまま行くと、丸二の「創立60周年」を迎える2013年の新年号が第100号となります。その頃の世の中は、もっと大きく変わっているでしょう。きっと素晴らしい時代の幕開けになっていると思います。これからも「ニコニコ」の丸二をよろしくお願いいたします。

iPodでクラシック

昨年の暮れ、子どもたちがiPod nanoを買うのに便乗し、自分も買ってみました。パソコンを使わないといけないので、それが何となく嫌で今まで敬遠していたのですが、(子どもに教えてもらって)やってみると簡単です。でも、iPodでクラシック(マーラーやブルックナー)を聴いている人なんて、あまりいないでしょうね。音質的にはCDそのものに敵いませんが、これだけ小さなモノにしては、確かに凄いと思います。
入れている音楽もクラシックだけではもったいないので、持っている洋楽CDもいくつか入れてみました。ちょうど学生時代に聞いていたポリス、ジェネシス、U2、エコー&ザ・バニーメン、ビーチ・ボーイズや、最近のサラ・ブライトマン。よく考えたら、みんな日本公演のコンサートに行ったバンド(歌手)ばかり。やはり、いつまでも好きでいられるのは、生の感動を味わったからでしょうか。
最近は、音楽も商品と化し、使い捨ての時代。本当に長く残っていくものは少ないでしょう。また、聴き手がiPodの音質でOKとなってくると、作り手も、お手軽に曲を作るようになり、だんだんと芸術性(良い意味のこだわりや追求心)が失われて来るような気もします。音楽もひとつのファッションとなり、日々の生活を彩るアイテムで、明日はもう違うものでいいのだから。でも、それはそれで、全く新たな価値観として、とても面白いと思います。
日経ビジネスに、秋元康氏のインタヴューがありましたが、年末年始に子どもたちが見ているTVに一杯出ていた「AKB48」を売り出した手腕と感性は凄いものです。秋元氏が言うには「自分が面白いかどうか」、ただこれだけだそうです。なるほど!それを信じて、諦めずにやり続けるだけ。そういう「根拠のない自信」があるかないかだけ。マーケティングもプレゼンテーションも関係なし。ただ、自分が面白いと思ったことを信じて続けること。あとは「運」。だからうまく行かなくても気にしない。だって、「運」なんだから。
今の時代、ちょっと変だなと思う側面も多いです。でも、若い人たちが自分の人生を自分らしく、楽しく、面白く生きようとしているのは、素晴らしいことです。今後は、そのような新しい価値観の中で、建築や住まいに対する捉え方もどんどん変化してくるのでしょう。そして私も、全く新しい発想の住宅のイメージを持っています。多分時間が掛かると思いますが、少しずつ商品化を進めています。これは私自身が超ワクワクする家ですし、何か根拠のない自信もあります。いずれ、HPで紹介できるようにしたいです。iPodに音楽が入る時代、住まいも新しい発想を。

自然な姿

毎週FAXで送られて来る藤原直哉氏の「ワールドレポート」を愛読していますが、新年1月5日号を読むと、あらためて、これからは本当に農業・林業の時代だと認識できます。
「林業も政権の混乱にかかわりなくこれを再度復興しようという動きが全国に広がりつつあり、森林整備に新しい仕事が生まれつつある」「無から有を生むのが植物にしろ魚にしろ木にしろ第一次産業というもの」「多様な生物が棲むことができる田んぼや里山のような場所をとにかく復活させて、それを維持すること」「再生はまず場を作ること、場ができればそこから一斉に多様な花が咲き始める」・・・丸二としては、農商工連携事業(加子母森林組合様との連携)を通じて、さらに林業再生に力を入れていくことです。
木の年輪を見て、本当に摩訶不思議に思うのは、全くの「無」から「有」が生まれているという事実、しかも「少しずつ、少しずつ・・・」。このような大自然の営みに対して、真摯な姿勢で向き合いながら仕事をさせていただくことが21世紀の王道のような気がします。また「場」を作ることも大切とのこと。細かいことは心配せず、とにかく場を作ってしまうこと。本当にそうだと思います。
昨日の「年次計画発表会」では、会社の今年の方針を、社員全員で共有いたしました。その中のひとつの大きなテーマとして「もっと好かれる会社になる」ということがあります。好かれるためには、商品の良さ、技術、社員の人間性、会社の信用、価格、サービス、対応、マナー等の様々なものの総合力が必要です。
私たちは、それらが常に自然に向上するような場づくりを、時間を掛けて行ってきました。後は、「意志の力」。お客様にもっと喜んでいただくために、もっと「ニコニコ」していただくために、もっと好かれる会社になるために、強い意志を持ってこれからも建築に当たってまいります。それはきっと、最も自然なビジネスの姿だと思います。

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
2011年(平成23年)が始まりました。多分、とても重要な一年になるような気がします。今までの常識や構造が崩れ、全く新しいシステムや意識の時代が始まると感じます。年末年始のTVを見ていても、「真実」を語ったり追求したりするものは少なく(もちろん、良いものもありますが・・・)、未だに「深く考えさせない」という意図が全体を支配しているようです。
そのようなことを理解した上で、様々な情報を取捨選択していけば良いのですが、多くの人はただ情報に支配されているだけのようです。物事の本質が、今どのような方向に向かっているのかが感じられる感性が無いと、これからは羅針盤を失った船のように迷走し、不安と恐れからの脱却はできないと思います。
表面的な現象だけに囚われず、大きな流れを観て、人生も経営も考えて行く。この10年~15年はそのための移行期(準備期間)で、2011年からが本番です。その間、何を考え、何をやってきたのか・・・。会社も個人も、それを問われて来るのでしょう。そのような意味で、とても緊張感があります。
ただ、少なくとも丸二の場合は、まだまだ道半ばではありますが、正しい方向へ向かっていることは間違いありません。正しい方向を定め、そこへ向かって行くことは、大変なエネルギーと時間が掛かります。まるで北極星に向かって歩いているようなものです。
それでも諦めずに、多くの年数を積み重ねて行けば、まるで木の年輪のごとく、少しずつ形になって行くでしょう。私たちが現在、取り組んでいる岐阜県加子母の神宮美林(加子母ひのき)は、伊勢神宮の式年遷宮の御用材ですが、次の式年遷宮の年である3年後の2013年までに、世の中は本当に大きく変わっていると思います。それまでに、どれだけの年輪を刻めるか・・・。世の中も、私たちも、より大きく飛躍するための、面白い3年間になりそうです。
そのスタートの年として、今年も一年、お客様への感謝の気持をお届けして行きたいと思います。今日は年次計画の発表会と新年会を行い、明日から通常業務です。今年も何卒よろしくお願いいたします。