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土井さん

「2番、セカンド、土井」という場内アナウンスを今でも思い出します。元巨人の土井正三さんが亡くなられました。V9時代というと、ちょうど私が小学生の頃と重なりますが、特に私自身の記憶に残っているのは、9連覇達成の日だったと思います。確かデーゲームで、学校の授業が終わり、みんなでそのまま教室のテレビを見ました(学校も、のんびりした時代でしたね)。甲子園での阪神対巨人の最終戦で、勝った方が優勝という大一番。でも試合は、大差で巨人優勢。もう決まりだなと思い、途中で家に帰り、家のテレビで胴上げシーンを見ました。
王、長嶋の現役時代は、よく後楽園球場で見ました。巨人の土井というと、地味だけどなかなか手ごわい選手というイメージでした。V9という偉業も、王、長嶋のような長距離打法のスター選手だけでなく、土井や黒江のような地味だけど、コツコツと後方支援をする人たちがいたからこそと、今ではよく理解できます。
会社などの組織でも同様ですね。会社も実際に、直接的に仕事を取ったり、商品をつくったり、利益を上げたりする部門や職種もあれば、それらを支援するスタッフや事務方も多くいます。どちらか一方だけでは会社は成り立たず、両方のバランスが取れてはじめて組織として機能します。もちろん、「主」と「従」という関係性は大切ですが、お互いが尊重しあい、評価しあうことが大事です。そういう分業性の強さを目に見えて示してくれたのがV9時代の巨人だったですし、その象徴が土井選手だったように思います。
この、表に見える「主」たるものと、裏に隠れる「従」たるもの、つまり陰と陽の両方があって、物事は成就する。とりわけこれからは、目に見えにくい、価値が分かりにくい「陰」の方に関心を持たなければいけない。今の時代の大変化も、つまりは、今まで「陽」ばかりを追い求め、「陰」を軽視してきた結果としての大調整ではないかと考えます。だから、これからは、土井さんのようなタイプの人に、きっと光が当たる時代になると思います。多分・・・公平で、温かい時代です。
さて、それぞれのチーム、組織、会社に、「土井さん」がいるでしょうか・・・。これは大きなチェックポイントですね。でも、必ずいるはずです。決して目立たず、人が苦手なこと、嫌がること、細かい作業を、毎日コツコツと積み重ねている人が・・・。そういう人に、心から感謝します。

未知との遭遇

先日、BSで映画「未知との遭遇」を放送していたので、途中から見始めたら、やはり最後まで見てしまいました。「未知との遭遇」は確か、私が中学生の頃の映画で、新宿プラザ劇場(今は無くなってしまった・・・)に見に行った記憶があります。新宿プラザ劇場のスクリーンは、他と違って、左右の両側に向かって画面の縦が長くなる、つまりパノラマのような形をしていて、そこに巨大な宇宙船が画面いっぱいに現れるのを見て、子どもながらに「大きい映画館はさすが違うなぁ!」と感動したものです。一方、当時の吉祥寺には、大きな映画館は無く、いわゆる名画座(ロードショー公開後の作品の2本立てがやって来る)が数館あった程度で、小さくて、汚くて、やはりロードショー映画は電車に乗って、都心に見に行くんだ!というのが、当時の私の一番の楽しみでした。
「未知との遭遇」は、「スターウォーズ」の公開よりも少し早く、まだSF超大作がまだそんなに認知されていない状況だったこともあり、中学生の私にとっては、人生最大の衝撃で、本当に驚きと感動を得ました。今思うと、宇宙人(!)をこれだけ友好的に(今流行の言葉で言うと「友愛」で)捉えた映画は無く、素直に宇宙とか未知なるものへの好奇心を駆り立てられたような気がします。鳩山さんも宇宙人と言われ、首相就任時にも「これから、未知との遭遇です」なんて話していましたね。確かに、これからの世の中の大変化は、全ての人にとって未知との遭遇になるのではないかと想像できます。
でも、恐怖と思って対峙した相手が、実は友好的で、優しくて、温かいものであったというこの映画の結末から言うと、もしかしたら今の世の中や社会現象も、いずれは平和、安定、幸福へとつながって道筋なのかもしれないと考えます。経験したことの無い恐怖は、心配すれば心配するほど(心の中で)巨大な化け物と化し、自分自身を攻撃してきますが、勇気を持って近づいて、だんだんとその正体が見えてくると、意外と全く違うものであることが良くあります。だから・・・今は、勇気を持って、何かに対峙するべき時なのでしょう。
昨日、仲間や友人たちと、「子育て住宅」についての研究会を行いました。子どもたちが健康で、元気で、心豊かに成長する住まいとはどんなものだろうか。少子化だからこそ、真剣に考えてみないと。住まいが人の精神や健康に相当な影響を及ぼしている。特に子どもは、環境から受ける割合が大きい。今、丸二が取り組んでいる「加子母ひのき」で、何ができるだろうか・・・。幼児教育、風水科学、建築医学、大脳生理学、音楽、美術、玩具、体験、森林、基地・・・。いろいろな要素が重なり合い、具体的なアイデアが出てきています。このような視点で家づくりを考え、具体化していくことは、まったく未知なるものですが、きっと実現の向こう側には、温かい微笑が待っていると思います。

大変化

鳩山首相が国連で二酸化炭素25%削減を発表し、世界に大きなインパクトを与えました。すでに二酸化炭素の削減にかなり努力している日本が、さらに絞り込んでいくという決意ですから、相当なものと言えます。当然のことながら、国内の産業界からは非難の声が上がっています。今までの常識や発想から言ったら、確かに不可能な目標でしょう。しかしながら、やらねばならないという決意を持って臨むことで、今まで考えても見なかった方法や技術が見つかり、それによって新たな経済効果が生まれるかもしれません。
実際に日本では、空気や水、磁力等からクリーン・エネルギーを取り出す技術がどんどん出てきているので、それらを国が認めて普及さえさせれば、地球環境は改善し、経済コストも下がり、新技術で世界をリードすることができるかもしれません。高速道路の無料化による二酸化炭素の増加にしても(本当に増加するのかどうか?ですが・・・)、低コストの電気自動車の開発に拍車をかけるかもしれません。そういう流れが一気に出てくることで、環境、景気を含めた様々な問題を同時に解決する可能性が出てきます。もちろんあくまで「可能性」ですが、そういうビジョンを示すことが大切ですし、それが「25%」という極めてハードルの高い数字の真意ではないかと考えます。
また、この25%削減に対して、実は建設業界でも大きく貢献できるものがあります。それが「外断熱」です。日本の建物(ビル、マンション)のほとんどが「内断熱」でできています。内断熱は、断熱材を建物の内側に付けるもので、結露・ダニ・カビが発生しやすく、室内温度も夏は高く、冬は低くなり、エアコンに大きく依存しなければなりません。一方、欧米で一般化されている外断熱は、断熱材を建物の外側に付けるもので、室内温度が年中一定し、夏も冬も少量の冷暖房器具だけで快適に過ごすことができ、結露も少なく、室内空気環境のクリーンな状態が維持できるものです。つまり、外断熱の方が、より大きな省エネ効果を発揮することができます。幸い日本が遅れている分野ですので、すでに進んでいる欧米よりも改善の余地が大きく、効果は大きいでしょう。「外断熱工法」を推進している丸二も、今後さらに力を入れてまいります。
さて、鳩山首相が国連にて「唯一の原爆被爆国」「ぜひ広島、長崎に来て欲しい」と訴えていましたが、オバマ大統領の「核兵器の無い世界」と協調して、これも大きなビジョンを示せたものと思います、とにかく戦争をしてはいけない。核を持ってはいけない。軍事費を減らして、世界を平和で豊かにしなくてはいけない。そういう共通の意識がやっと芽生え始めたと思います。「開発能力がありながら核を作らない唯一の被爆国、日本」という立場は、とても貴いものだと感じました。
さあ、いよいよこれから戦いですね。あらゆる世界、あらゆる業界において、旧体制と新体制のぶつかりあいです。建設業界も公共事業がどんどん少なくなるわけで、大改革の様相です。一方、JALが大変な状況に陥っていますが、やはり実質国営に近い経営だったことが、ひとつの原因だったと思います。例えば、親方日の丸の経営体質もあったでしょうし、逆に、国から新しい地方空港への就航を要請されれば、採算が合わなくても受けざる得なかったのでしょう。
そう考えると、公共事業に依存している建設会社も、国や地方自治体からの発注が、自社の売上の大半ですから、(もちろん国営ではありませんが)JALと近い体質と言えます。幸い丸二の場合は、20年以上前より「脱・公共事業(官庁工事)」を進めてきた結果、今では、ほぼ100%民間工事の会社に変わっています。そう思うと、今、このように公共事業が急激に収縮されてきたのを見て、早めの対策をして本当に良かったと思っています。
けれども、これからが本番です。社会の価値判断が変化し、より本物の建築を志向するようになることで、丸二のルネス工法、外断熱工法、パワー・コンクリート工法、建築医学、加子母ひのき、コーポラティブハウス等に脚光が集まってくるはずです。今までの多くの実績、経験、ノウハウが生かせる時代になりました。世の中はこれから大きく動いていくと思いますが、私たちもその流れに乗って、感謝の力で、素晴らしい建築を世に出して行きたいと思います。

矛先

群馬県の八ツ場ダムの建設中止は、民主党の選挙公約であり、新政権として解決しなければならない難問のひとつだと思います。これから地元の方々との信頼関係をどのように築き、いかにしてお互いが納得できる形に持って行くか・・・。確かに、とても大変なことだとは思いますが、それが政治というもので、国として積極的、かつ円満に取り組んで欲しいと思います。
そもそも、地元の人々はダム建設を反対していたわけですから、本質的・潜在的な部分において、今の政権と共感し合える合意点が、いずれ見つかるのではないかと思います。とすると、この問題の真の原因は何だったのか、ということになります。計画決定から約50年という歳月は、いったい誰のための50年だったのでしょうか・・・。お互いが矛先を向ける相手は、もしかしたら一緒なのかもしれない・・・そう感じます。
鳩山総理とオバマ大統領との会談風景をテレビで見ました。キャスターは「とても和やかな雰囲気で・・・」と言っていましたが、私には、二人とも極度の緊張感と緊迫感に満ちていたように感じました。お互い、自国の過去の問題や負債をすべて背負い込み、背水の陣にいるわけです。表向きの友好、信頼関係は結べたものの、本当の綱引きはこれからなのでしょう。ただ、国の立場の違いはあるにせよ、「CHANGE」しない限り、国も世界もおかしくなるという認識は共通だと思います。二人が矛先を向ける相手も、実は一緒なのかもしれません。
誠実に努力を積み重ねてきた人々に、光が当たる時代に入ったと思います。野球界では、すでにイチローがそれを体現してくれています。素晴らしい見本です。「地道にコツコツ」がこのような大偉業を成し遂げる様を、世界中の人々にリアルに、かつビジュアルに示してくれましたが、ここには何か、新しい時代への重要なシグナルが隠されていると思います。実は誰もがイチローのように、人生の中で、コツコツと何かを積み上げているはずです。仮に世界一にならなくても、その「地道にコツコツ」が必ず素晴らしい成果に繋がる時代に・・・。
私たちが戦うべき相手、向けるべき矛先は・・・「地道にコツコツ」を嘲笑する人間の心のあり様ではないかと思います。今まで、「うまくやる」ことを賛美し、「地道にコツコツ」を軽視してきたように感じます。政治でも、経済でも、私たち一人ひとりの生き方においても。だから、これからは政治も、経営も、生き方も、地道にコツコツと。そういう方向に向けて、みんなで楽しく助け合って前進しいていくこと。そんな風に思いました。

戦争が無くなったら・・・

本日、鳩山内閣が誕生し、日本もいよいよ事実上の「二大政党制」の時代に入りました。今後の適度な政権交代は、癒着やしがらみを絶つ上でも、お互いが緊張感を持ち合う上でも、情報公開という点においても、とても有効な仕組みではないかと思います。民主党は公約を果たして実績を上げ、自民党はニューパワーを生み出し次に備える。このように、お互いが切磋琢磨しながら、この国の難局を乗り越える道筋を示してくれることを心から期待しています。
また、私たち一人ひとりも、どのようにしたらもっと世の中が良くなるのかを、(考えるだけでもいいから)思案していくべきではないかと思います。例えば、もし、いま地球上からすべての戦争(軍備)が無くなれば、各国の軍事費は当然ゼロになり、仮にそのお金を世界中のすべての人々に均等に配分できたとしたら、きっと世界中の人々は一気に豊かになり、安全で平和な生活を得ることができるはずです。
そんなことは全く持って不可能だ・・・確かに、そう言われることは判っています。でも、そういう世の中になったらいいなぁという希望だけは持っていたいのです。もしかしたら、それが数年後、数十年後、数百年後に実現するかもしれません。私たちの子どもや孫の時代に間に合えばいいけど。地球上の人々の多くは、本当によく働いて、がんばって生きて、日々何かしらの富を生み出しているはずです。それなのに、その富の総和がどこかに消えている・・・。何となくそう感じませんか。
もちろん、お金だけですべての問題を解決することはできませんが、愛を根底とした具体的な実践として、経済的な部分の格差の調整を行うことは、いま起きているあらゆる問題の根本的な解決になると思います。例えば・・・飢餓、貧困、環境破壊、治安、戦争・・・。すべて、経済的な問題が根底にあります。
もし戦争が無くなったら・・・戦争への不安が無くなったら・・・武器や軍隊が不要になったら・・・、ほとんどの大きな問題は終わります。でも実際には、そうなると逆に困る人達もいるわけで・・・。だから難しいし、時間が掛かる。でも私たち一人ひとりが、そういう意識だけでも持って行けば、必ず少しずつ良い方向へ向かっていくと思います、イチローが小さなヒットを積み重ねた結果、大偉業を成し遂げたように・・・。
※思考と感情を調整するクラシック「ワルターのモーツァルト」
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今まで、モーツァルトの交響曲をいろいろ聴いてきた結果、結局(確か高校生か大学生の頃)一番最初に聴いた演奏(その時はレコードでした)が一番いいことに気が付きました。何と言う無駄・・・。否、そういう回り道をしたからこそ、本質に気がついたのだ(と、勝手に自己弁護をしています)。3枚ともワルター指揮コロンビア交響楽団のステレオ演奏です。交響曲第35番、36番、38番、39番、40番、41番。
ステレオとは言え、録音は1960年前後ですから、今から約50年も前。それでも美しい音で、ゆったりとしたモーツァルトの、温かく叙情に満ちた調べが木霊します。最近流行の古楽器によるセカセカ、キビキビした演奏とはまったく正反対ですが、日々のストレスや、頭の中のモヤモヤ、ネガティブな感情を爽やかに開放してくれます。思考と感情の調整にはもってこいで、お勧めです。

心を育む家

真夏の選挙が終わり、もうすぐ秋がやってきます。とうとう、政権交代になりました。これから、いろいろなものが変わっていくのでしょう。国民が変化を望んだ結果、国も変化していく。そのような大きな流れの中で、私たち一人ひとりの生活も、当然のことながら変化していくと思います。ただ、必ずしも自分自身にとって都合のいい変化ばかりではないでしょうから、やはり緊張感が走ります。国全体とすれば、よりオープンで公平な社会になるよう、心から期待いたします。
さて、国の未来を創るのは、いつでも子どもたちですが、その子どもたちの「心を育む」という捉え方を、様々な分野において、盛り込んでいくことが必要ではないかと思います。教育の現場、テレビ番組、携帯サイト等・・・いろいろな分野においてです。そして、もちろん建築でも。
かつての日本は、家も大きく、木造で、本物の木と共に暮らす毎日がありました。学校も木造校舎でした。そのような環境の中で、子どもたちは走りまわり、木の匂いや肌触りを体で感じながら、日々を過ごしていたのだろうと思います。テレビも今ほど見なかったでしょうし、携帯もありません。学校か、校庭か、空き地か、秘密基地か、家の中で、兄弟や友達と、走って、転んで、怪我して、遊んでいたわけです。私が子どもの頃も、まだそのような時代の名残は、充分にありました。
住宅はその後、高度成長の流れに乗って、木造が減り、外国産の木を輸入し、天然木から集成材に変わり、壁紙や塗り壁がビニール・クロスになり、床が合板に変わり、家は接着剤の匂いが立ち込める化学商品へと変わりました。安く!!早く!!・・・ですね。でも、そのような動きはもう続かず、再び環境、健康、エコ指向へと時代の流れは戻り始めました。だから、天然木の住まいへの強い志向がやってきたと思います。
特に、子どもたちにとって、家は「基地」であり、成長の場であり、心のふるさとです。柱にキズを付けたり、釘を打てない家なんて面白くない。そういう毎日の小さな冒険体験が、子どもの情緒を育むのではないでしょうか。その成長の履歴を刻むことができる家・・・これがいいんだと思います。今のような、化学物質中心の環境の中で、作られた生活をするよりも、(せめて家の中だけでも)味わいと風合いと情緒のある自然な環境で過ごしたい。本物の木の匂いや肌触りを知らずに過ごすことは、きっと子どもたちが大きくなった時に必要な、本物を見極める感性すら奪っているのかもしれません。
このようにして、家をつくるということの中にも、子どもの未来を考えることはできると思います。そして私たちは今、「加子母ヒノキ」に、そのような思いを込めようとしています。「加子母」には「母と子」の文字があります。家とは、子どもたちの健やかな成長を見守る、大いなる母の愛で満たせるべきものです。だから、国をよい方向へ導くためにも、住まい環境は大切だと思うのです。私たちは、地球上のすべての子どもたちが、心健やかに成長できる住環境を考え、その中から、できることをコツコツやって行きたいと思います。