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異界から次の時代へ

暑い日と寒い日が交互にやって来たり、4月なのに熱中症が起きたり、何となく最近は異質な空気感というものを感じます。京都祇園の自動車事故をはじめ、人の精神に起因するカタストロフも多くなり、世の中全体が何か「異界」へ移動中というような肌触りを感じます。政治の世界も、何もかもが「具体性」を喪失していて、政治家一人ひとりの目も泳ぎ、何をどうしていいか分からないようなフワフワした印象を受けます。つまり、確固たる軸あるいは方向性が分からなくなってしまい、壊れたナビを茫然と見つめながら、ただ何となく(ソソワ、イライラ、オドオドして)アクセルを踏んでいるような毎日ではないかと感じます。TVニュースも、遂に、大切な事が何かが分からなくなってしまい、撮れた映像を流すことで時間を埋めています。多くの人々が、考えることを諦めてしまったかのようです。
でもこれは、誰か特定の個人の問題では無く、超時代変革の過渡期としてのある種の症状なのかもしれません。本当はもっと思考しなければいけないのに、あえて目を向けない、考えない。できるだけ目を閉じ、耳を塞ぎ、口を閉ざし、知らないふりをして歩き続ける。本当は何か大きな「コト」が起きているのに、何も変わっていないから大丈夫と、自分自身を信じ込ませながら、今日を昨日と同じように(漠然と)生きている。でも、実際の意識の深い部分で、「世界は異界に入った」ことを感じているのに・・・。
早く目を覚まして、まわりを見て、自分の顔を鏡で見て、ハッと気づくこと。そして、この「異界」を抜けた先にある新しい世界をよく考え、想定し、それに向けて今すぐ準備すること。それが一番大事な事のように思います。「異界」を通過することを恐れる必要は無いと思いますし、あらゆることは時間と共に変化し、時間と共に終わります。本当に大切なのは、次の世界です。次の世界には、原発は有るのか無いのか。自分の居場所は有るのか無いのか。明るい希望は有るのか無いのか・・・。本当は何となく、分かっているはずです。
「異界」に居る間は、まだチャンスです。次の時代を知る努力をして、仕事や日常の中で、その「方向性」を目的地として、「ナビ」を再セットすることです。その道は、今の時代にはまだ合わない道かもしれません。逆にマイナスに成る(難しい、遠回りの)道かもしれません。でも、次の時代を正しく想定(設定)すれば、その道を選ばずにはいられないのです。クリーンエネルギーへの転換もそうですし、農業や林業の再生もそうです。今は厳しくても、やらなければならないことがある。そこへ取り組むラストチャンスが今ではないでしょうか。あの「3.11」で目を覚まさないと・・・(もう一年も経ってしましました)。そのような全体的な危機感を、一人ひとりが持ち、自分自身の中身を変えることで、次の時代に備える。それが2012年を中心とした超時代変革の意味だと思います。地球環境を破壊する仕組みを変える。一人ひとりの人間性を高める社会に変える。資本主義経済から自然主義経済へ変える。日常を変える。食生活を変える。心を変える。そして、建築を変える。
来るべき自然主義(精神主義)の時代における建築の在り様を考え、丸二は約15年を掛けて、あらゆる準備をしてきています。命綱の建築、増改リフォーム、健康エコ、コーポラティブ、森造り・・・。でもまだまだです。私たち一人ひとりの人間性が本物に成らない限り、まだまだです。それでも、次の時代は「よく」見えています。そして、その方向通りに進んでいます。時代も急激に変わり出しました。私たちには夢と共に安心感があります。「異界」を超えるために必要なのは、この「夢」と「安心感」です。
確固たる軸あるいは方向性を持つことさえできれば、今ほどワクワクした時代は無いでしょう。その軸(方向性)の根源は、「生かされていることへの感謝」です。そして自分自身の中身を(自力で)変えることです。決して、外側や他人を変えることではありません。そこが1つの「分水嶺」です。私たちは、日々生き生きとしながら、計画通りの道を行きます。本当に面白い時代に成りました。私たちは、「自然の恩恵への感謝」が、次の時代の根源的テーマだと考えています。そして、そこをナビの目的地としてセットしています。今は細いデコボコ道ですが、だんだん舗装された大通りに成るでしょう。これが次の時代への「王道」です。

認識力の時代

昨日は(全国的に)「記録的」な暴風雨が吹き、大荒れの天気でした。交通機関にも影響が出て、地震以外の自然界の脅威を、改めて感じることと成りました。今後もこのような暴風、強風、竜巻等が多発すると言われています。地震、火災、水害、放射線に加えて、「風」に対する防災意識も必要に成ってきました。このような「記録的」な出来事が加速度的に増えて行くのが、これからの時代だと思います。よって、正しい時代認識(認識力)を持つことが重要です。建築の分野も、「災害」と向き合う視点を抜きには考えられません。「生命を守る」「健康を守る」「心を守る」ことが求められて来たと思います。
また今日は、昨日と打って変わって、春らしい陽気です。昨年の春は、震災直後の混乱の中で、とても「春らしさ」を感じられる余裕はありませんでしたが、今年は少し遅めの「春」をゆっくり、気持ち良く味わえそうです。いろいろな出来事がある世の中ですが、自分自身の心はいつも暖かく、穏やかな「春」でいたいものですね。でも、そのためには、「今」という時代に対する正しい「認識」を持たなくてはなりません。つまり、外側の物事をいくら変えても、自分自身の中身が変わらない限り、何も「変わらない」時代になったということです。目の前に在る状況を変えたくても、自分自身の中身(本質)を変えない限り、どこへ行っても、何をしても、その状況に追いかけられるだけです。
だからこそ、今、目の前に在る壁や困難を、感謝の心で(その場、その場で)ひとつひとつ(強い気持ちで)乗り越えて行くこと。あるいは受け入れて行くこと。決心して行くこと。そして、その環境の中で、自分自身に出来る限りの「最善」を尽くすこと。そうすれば(逆に)きっと思いがけない御褒美が待っていると思います。東日本大震災に対しても、日本人は、真正面からこの問題に取り組み、日本の新たな時代を創造する機会にしなければなりません。このような「認識力」の差が、今後の未来の大きな差に成るような気がします。
「認識力」が付いてくると、あらゆることを前向きに(良き出来事として)捉えられるようになって来ます。状況や現象に感謝できるように成ります。もっと進むと、ワクワクしてきます。つまり、外側の事柄は単なる現象(=幻想)に過ぎず、内側にある自分自身の「心」こそが実体(=現実)と分かり、不安や恐れが無くなります。その上で、外側の現象を包み込めるだけの容量(度量)が生まれ、問題や困難を解決すること自体が楽しく成るのです。あるいは解決「できない」状況が面白く成るのです。なぜならば、私たちはそのような「経験」を求めて生きているからです(現象としての「結果」だけでは無く)。そこに気が付くことが、真の「認識力」だと思います。
「認識力」が無いと、自分自身の乗り越えるべき課題を先送りにする行動を繰り返すばかりで、いずれはその「延滞金」に追いかけられます。時々、小さな地震が起きた方が良いように、人間にも時々、悪いことや嫌なことが起きた方が良いと思います。それを先送りしたり、誰かに取り除いてもらったりせずに、ひとつひとつを(小さなうちに)前向きに乗り越えて行く。人生は、すべての人に「認識力」を持たせるべく、様々な出来事を起こすのでしょう。しかもそれは「苦労」という形でやってきます。嫌ですが、仕方が無いのですね。
それでも、戦争を味わった世代に比べれば、私たちは何と幸福なことか・・・。苦労と言っても、命を取られるわけではありません。しかも多くのものは「時間」が解決してくれます。このような正しい認識を持つことが出来れば、「今」という幸福な時代を生かされていることへの「感謝」が、自然に湧いてきます。現在の日本の状況も、新しい日本を造るために必要な「経験」を与えるという意味において、「愛」に満ちていると感じます。だから一人ひとりが、それぞれの立ち位置にて、辛抱して、感謝して、最善を生きること。そうすれば、全体も個人も、「さいわい」と成る日がやってくると思います。
「認識力」の時代が始まっています。それさえあれば、いつも心の中はポカポカ暖かく、穏やかな「春」です。今年の桜はどうでしょうか。今の時代に「日本」に生きていることだけでも、黄金の幸福を手にしているに等しいです。そのような感謝の気持ちで、今年も美しい桜を味わいたいと思います。本当にワクワクする、今日この頃です。