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無垢の力

木造の住宅を建てるにあたり、柱を無垢材にするか、集成材にするかという選択があります。私たちは、基本的に「無垢材」をお勧めしています。集成材の方がコストは安く、構造計算もし易いため、ハウスメーカー等では多く使われています。でも、小さな木材を接着剤で固めた集成材が、実際にどれだけの耐久性があるのかは未だ不明です。家を支える柱の耐久性が、接着剤の性能(寿命)によって左右されることに成るわけです。一方、無垢材は丸ごと一本の「生」の木ですから、(それぞれに多少のバラつきがあるものの)元々「一体化」されたものであり、数十年の風雨に耐えてきた実績があります。特に「芯持ち材(年輪の中心を持った柱等の製材品)」は、年輪の芯が柱の中心にあるため、木の本来の力がそのまま発揮されます。つまり、集成材の家は「接着剤の力」によって支えられ、無垢材の家は「自然の力」によって支えられると言って良いでしょう。私たちは「自然の力」の方が、強くて、丈夫で、長持ちして、体にもやさしいと考えています。
ただ無垢材は高いというデメリットがあります。そこで私たちは、本当に良い木を産地直送で(適正価格で)東京に送るシステムを造りました。それが伊勢神宮の御用材の産地として有名な、岐阜県裏木曽の加子母森林組合との連携事業でした。日本の山を守るには、木を適時伐採して行く必要があります。そうしないと森に光が入らず、木が育たなく成り、山は荒れてしまい、動植物や微生物も住まなく成ります。「良い木の家を造る」ことと「日本の森を守る」ことの両面を目的として、国の農商工連携事業の認定を受け、加子母森林組合と「産直木造住宅事業」を始めて約5年が経ちました。東京に「神宮ひのきの家」を広めたいと言う一心で、今後もこの取り組みを進めて行きます。
加子母は、東濃ひのきの産地でもあり、伊勢神宮の御用材の山(神宮備林)に指定されています。加子母のひのきは、本当に見事な独特のピンク色で、香りも良く、実際の強度も高いものです。寒暖の差が激しい気候や土壌の良さが、そのような立派な木を育てているのでしょう。加えて、日本全国で有数の森林組合である「加子母森林組合」の山造りに対する情熱と愛情は、とても素晴らしいものです。やはり最後は「人」です。山と自然を愛する人々が、丹精込めて(数十年をかけて)育て上げた「木」が支えてくれる家・・・それを私たちはお客様にお届けしたいのです。今年も加子母森林ツアーを開催いたしますので、ぜひご関心のある方はご参加ください。加子母の山と木と人との出会いが、きっと人生に笑顔と安心を与えてくれると思います。
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※ベートーヴェンの第九
ハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウによる1980年の第九ライヴです。約20年振りの再発売とのことですが、いつまでも繰り返し、繰り返し、受け継がれていく芸術は、まさに人類の遺産と言えるでしょう。それでもやはり人間の力は、人智を越えた「自然」の永続性には敵いません。私たちはいつまでも自然界から学び、生かされ続けて行くのだと思います。でも、ベートーヴェンの第九は、人間の力の最高峰の一つだと思います。