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自己肯定

数か月前、パキスタン南部の地震の影響で、海上に島が出現したというニュースがありましたが、今度は、日本の小笠原諸島・西之島(東京都小笠原村)付近の海で噴火が起き、新たな陸地が出現したそうです。ニュース映像を見ても、大規模な噴煙が上がっており、まさに「地球は生きている」と実感します。最近は、富士山噴火に対する様々な予測やシミュレーションが発表されていますが、このような現象が重なってくると、現実的な問題として認識し、想定しなければ成らないのでしょう。そうかと言って、このような不確定要素に振り回されて、自身の生活や人生を見失うのもナンセンスです。あらゆることを想定して、危機意識(心の準備)を持った上で、良き未来を信じながら、「いま、ここで」最善を生きることが大切だと思います。氾濫する情報に思考(精神)を奪われないように注意しながら、生身の自分自身を生き切ることが一番の幸福のような気がします。特に子ども達の良き未来は、「信じる心」によって実現されると思います。
さて、話は変わりますが、1970年代に製作された映画「キャリー」のリメイク版が現在公開されています。これは有名ホラー作家であるスティーヴン・キング原作の映画化で、旧作はブライアン・デ・パルマ監督の手によって名作と成りました。私も公開当時に見て、確かに怖くて気持ちの悪いシーンもありましたが、所謂一般的なオカルト映画とは全く別物の印象を受けたことを覚えています。これは、狂信的な母親から(精神的)虐待を受けている一人の少女(キャリー)の物語。学校でもクラスメート達から執拗なイジメを受け続け、遂にはその怒りと苦しみが爆発します。彼女には(生まれながらにして)特殊な能力(=念動力)が備わっており、その力の発動が(最後には)巨大な悲劇を生み出すことに成るのです。ただそこに在ったのは、むしろ恐怖でなく、悲しくも美しい、一人の純粋な少女の心の叫びでした。
虐待とイジメ・・・。今まさに此処に在る社会問題です。多くの子ども達にとって、命に関わる問題です。キャリーの場合は、念動力の開花と発動により、ある種の結論を見たのですが、それは自身を含めた多くの「命」との引き換えと成ってしまいました。それは決して幸福な結末では無かったはすです。けれども現実の子ども達に、一体どのような脱出方法があるのでしょうか。仮に特殊な能力があったとしても、そこには悲劇が待っているだけです。やはり「いま、ここで」最善を生きる以外に道は無いのかもしれません。その間、自分自身を責めずに、自己肯定の意識を持ち続けて行くこと。虐待やイジメを受けている人の多くは、(無意識に)自分自身を否定している(責めている)場合が多いそうです。それは自己を弱体化させ、逃避あるいは(逆に)攻撃へと向かわせます。常に「私は力だ」と信じ切ることで、自分自身に優しく成れ、いずれその心の状態が(時間差で)現実にも投影されていくような気がします。とにかく(何事も)時間が掛ると云うことです。自然治癒には時間が掛ります。でも自然治癒こそが本物です。最善を尽くしながら、未来と自分自身を信じ、時間を味方にすること。
住宅設計の中においても、子どもの心を見守る為の簡単なヒントが在ります。例えば、「玄関からリビングルームを通って各部屋へ」という動線を作ることも、その1つです。家族が集まるリビングルームをセンターに配置することで、子どもが家に帰った際、必ず親の居るリビングルームを通らせるのです。そのような場を意図的に設定することで、親子の「ただいま」と「お帰り」のコミュニケーションが生まれ、お互いの日々の心の状態を共有できるように成ります。確かに小さなことです。けれどもこの小さな習慣の蓄積こそが、未来の「変化」への気づきへと繋がるはずです。
子ども達の未来を真剣に考えた時、地球環境、経済、戦争、治安、教育、福祉等の外面的な問題に対する取り組みはもちろんのこと、子ども達一人ひとりの心の状態(内面)を整えて行くことも大切だと思います。今の大人たちの(めまぐるしく変化する時代に翻弄されている)姿は、子ども達の心の中に、ある種の不安と恐れを生み出しています。その芽を早く摘むことが、あらゆる課題解決を超える治癒に成ると思います。自分自身を肯定すること。無条件で肯定すること。「いま」を肯定すること。「ここ」を肯定すること。それが自分自身を思いやり、友達を思いやることに結び付きます。もしかしたら、人々は(無意識に)自分自身を虐待し、自分自身をイジメているのかもしれません。そのことに気付くことが出来れば、社会はもっと明るく温かく成るのではないでしょうか。時間は掛りますが、先ずは自分自身を肯定してあげること。大人も子ども一緒にです。