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8月に思う

今年の夏は異常な雨続きで、各地で水難事故も目立ちました。豪雨、落雷、竜巻、雹などが多発する原因は(長い時間を掛けて進行して来た)地球環境の異変によるものと思われます。もしそうであるならば、この状況は今後も長い時間を掛けて継続(拡大)して行く可能性があると思われます。気候や風土の変化は、人々の暮らし、文化、安全、経済、健康に大いに影響を及ぼすはずです。今まで以上の防災意識をもって、慎重な日々の生活行動を意識して行かなければ成りません。あらためて大自然の力への畏怖の念を感じました。
8月2日と3日、BS放送で長岡花火が生中継されていました。5年前の大林宜彦監督の映画「この空の花~長岡花火物語」で、<長岡花火は長岡空襲戦没者への慰霊の花火である>ことを知り、その後実際に長岡まで飛んで行ったことを思い出します。冒頭、戦没者への慰霊の花火である、三発の白菊。長いサイレン音と正三尺玉の大振動。クライマックスは、眼前の夜空を横一線の大輪で彩るフェニックス花火。TV画面からでもあの日の感動が蘇って来ました。戦争も災害も二度と起きて欲しくない。でもまたいつか起こるかも知れない。常にそのような最悪を想定しつつ、平和と安全を祈り続けたいと思います。
また今年の8月12日は、日航機123便の事故から33回忌でしたが、偶然にも同時刻、同航路、同地点で、123便と同様の異常が全日空機で発生し、急遽羽田へ戻る事態が発生しました。今回は無事で本当に良かったのですが、やはりお盆にはこのような不思議な現象が起こるのでしょうか。前回は陸(山)側へ旋回しましたが、今回は海側へ旋回して無事に戻って来ることが出来ました。機長の瞬時の判断に何か意味があったのかも知れません。明石家さんまさんは、あの日123便に乗る予定だったそうです(当日急に収録が中止となってしまい、いつもより早い便で帰ったとのこと)。人の一生とは分からないものです。分からないからこそ、今を懸命に生きて行きたいと思います。
毎年の夏は、戦争、災害、事故、慰霊、復興を思います。子どもの頃の夏と言えば、家の中から外の庭を眺めている映像が思い浮かびます。エアコンは無く、家の窓は開け放しで、風が通って気持ちがいい。電気を付けない暗い部屋の中から、外の庭の明るくキラキラと輝く眩い光のシャワーを観ている。母が植えた花壇の花々、ひらひらと舞う蝶々。猛烈な蝉の声。夕方になれば蜩が鳴き、突然の雷と夕立。稲妻の光に怯えながらも、雷鳴にワクワクした記憶。そのような平和なる日々がありました。日本の夏は、まるで時空の門が開く、不思議な時間帯のような気がします。そこには幻影と現実が入り混じり、過去と現在と未来とが繋がり合います。だからこそ(心静かに)未来の平和を祈りたい。長岡花火の白菊のように、静かに、質素に、清らかに・・・。
※ハイドン「天地創造」
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クラシック音楽の中で、ハイドンは非常に地味な存在ですが、104曲に及ぶ交響曲はどれも元気で清々しく、まるで心が洗われるような曲ばかりです。そして今回聴いたオラトリオ「天地創造」(アーノンクール指揮)も大変素晴らしかった。ハイドンを聴いていると、無色透明な自然界の音響(そのもの)を感じます。バッハほど高尚、緻密でなく、モーツァルトほど天国的、精妙でもない。その分、大らかさと親しみやすさがあります。ハイドンの音楽はBGMとしても最高です。自己主張が無く、聴いている人を(空気のように)優しく包み込んでくれるからです。無名の画家の美しい風景画を見るが如く、上質な音楽を味わえます。そのような地味で質素で清らかなハイドンが、私は大好きです。