社長ブログ

素直、情熱、感謝

今回の大震災直後、この日本の巨大地震によって、地球の自転速度がわずかに増した可能性があると、米航空宇宙局(NASA)が発表していました。地震によってプレート(岩盤)が動き、地球内部の質量分布が変わったことで自転速度が増し、1日の長さが100万分の1.6秒短くなったということです。他に、地軸が十数センチ傾いたという報告もありました。また最近、作家の村上春樹氏がスペインでスピーチした際も、この自転速度の変化に言及しつつ、原発(核)の反対を唱えていました。ドイツはすでに「脱原発」を決めています。
今回の東日本大震災によって、日本列島のみならず地球規模の巨大な地殻変動が起こり、天体の運行に影響を与えたことは事実のようです。1日の時間が短くなるというような、全く信じがたい出来事が今まさに起きている。このことを私たちは良く理解し、これからの大変革に備えなければなりません。
3.11以前の常識やルールはもう通用せず、全く新しい仕組みによって世の中が動き始めたと思って良いのでしょう。おそらく10年以上前から、そのような変換は始まっていたのかもしれません。ただ私たちは、なかなか気づくことが出来なかった・・・。でも、今からでも良く物事を見聞きし、最善を尽くすことしかありません。
先週の金曜日には、今年で2年目となりました「農商工連携人材育成事業」が開講し、十数人の受講者の皆様が集まりました。このような志、意志のある方々がどんどん増えてきているということに、新しい時代への息吹を感じます。まだまだ道のりは遠いですが、自然を守るために、林業を復活させるために、神宮ヒノキの家を広めるために、様々な取り組みを進めて行きたいと思います。来週からは、加子母の山で体験学習等が始まります。
さて、このような大変革の中で、一番大切なことは「気持ちの持ち様」ではないかと思います。今を「大変」と捉えるか、「チャンス」と捉えるかで、全く生き方も、精神状態も変わって来ると感じます。当然私たちは、今を「超ウルトラ大チャンス」と見ていますので、現実を直視しつつも、ワクワクした感覚の中にあります。建築の世界も、きっと様変わりするはずです。面白いことが起きる予感がします。
個人としては、「素直」「情熱」「感謝」を大切にして行こうと意識しています。起きていることを否定的に考えず、何事も肯定的に捉え、素直に受け入れ、素直に動いて行こう。夢をもって、情熱をもって、自らを信じて行こう。今、生かしていただいていることに、心から感謝しよう。以上の3つのことを忘れなければ、新しい世の中の仕組みに、きちんと入ることができると思います。大変革とは一度全てがバラバラになることですから、(今まで苦労してきた)あらゆる人々にも同様のチャンスが巡って来ると思います。ここを逃さず、一気に良い流れに乗る為にも、「素直」「情熱」「感謝」で行こうと思います。
情熱と言えば、5月下旬に、日本人の指揮者の佐渡裕さんがベルリン・フィルを指揮したというのがニュースになり、その特集番組(TBS)を見ることが出来ました。日本人の指揮者でベルリン・フィルを振ることができたのは小澤征爾氏と佐渡氏だけだと思います。何しろ、天下のベルリン・フィルですから、指揮台に立つこと自体が奇跡的なことで、なお且つ世界トップレベルのオーケストラ楽団員から評価されたとなれば、最高の賛辞ということです。佐渡さんは子どもの頃の作文で「ベルリン・フィルを指揮する」と書いていたそうです。イチロー選手や松坂選手と同様に、ついに夢が実現したのです。その情熱と諦めない精神から、勇気をいただきました。
51Y48js9K8L__SL160_.jpg
ベルリン・フィルを指揮するということは、今ももちろん大変なことですが、かつてのカラヤン時代のベルリン・フィルの時は、もっと違う意味で大変だったようです。ベルリン・フィル首席指揮者だったカラヤンは、自分以上の指揮者を指揮台に立たせることを異常に嫌ったようです。同時代のもう一人の超有名な指揮者バーンスタインが、ベルリン・フィルと共演できたのは、実はたったの1度だけ。その時に演奏した「マーラー:交響曲第9番」は、今でも語り草となるような超名演となりましたが、それを聞いたカラヤンは、二度とバーンスタインをベルリン・フィルの指揮台に立たせませんでした。まあ、何と言うか、心が狭いと言うか、器が小さいと言うか・・・。でも、それほどまでにして、守るべきは「ベルリン・フィルの指揮者」という勲章・名誉だったのではないかと思います。
untitled.bmp
その指揮台に今、再び日本人(佐渡さんは、実はバーンスタインの弟子です)が立つことが出来ました。このような現象は、きっと今後ますます世界へ波及して行くと思います。「東日本大震災」と言う大きな災害を最初に引き受けた日本が、良き見本を示し、世界へ日本の力を伝播していくために。そのような大きな流れを掴むことで、私たちの乗っている船は、(今の)荒波を超えながらも、必ず穏やかな大海原へ出て行くと思います。それを素直に信じる力こそが、最大の財産だと思います。

復興へ

P5291454.JPG
先々週末、(農商工連携事業の打ち合わせ等のために)仙台に行った際、宮城県の被災地を目にしました。特別なボランティア活動ではないため、そこへ行くこと自体「申し訳ない・・・」という思いもありましたが、今は行って良かったと思っています。「3.11」が現実のことで、その復興には全日本人の(いろいろな意味での)力が必要だと、あらためて感じられたからです。と同時に、東北の美しさや荘厳さを(ほんの一部でしかありませんが)知ることができました。
小雨の中、仙台から石巻~津山~南三陸町とまわりました。被災地の写真も撮りましたが、このブログに出すのは止めようと思いました(代わりに、移動中に撮った、風景の写真を一枚、アップしました)。もう、そのような段階は過ぎ、東北は復興に向かっていると感じたからです。それは(国や東電が早急に行うべき)具体的な復旧・復興対策という意味ではなく、写真からは伝わりにくい、その土地(場)から発せられていた(ある種の)「空気感」からでした。
最後まで津波警報をアナウンスし続けた女性をはじめとする(この土地の)善良な方々の魂が、生き残ることのできた方々を温かく見守っているような気がしたのです。豊かな自然や山々、雲たちも「大丈夫」と話しかけているように感じました。でも現実は厳しい日々が当面続くものと思われます。私たち全日本人は「いま」「ここで」、祈りと共に、日々最善を生き、復興を応援していくことです。
この流れは、日本から世界へと拡大していくのでしょう。チリで火山が爆発したそうですが、今後は世界的(地球規模的)に多くの自然災害が発生する可能性があると言われています。太陽活動との関連性も判って来ました。地球の資源の枯渇も大きな影響を及ぼしているようです。日本の東北の復興を見事に行うことで、世界がそれに続くようにしていきたいと念願します。

三羽の鳩さん

数日前の新聞で、ベトナムの国会議員選挙に、経済界から過去最多の約100人が立候補したとありました。結果はまだ分かりませんが、国政とビジネス界が一体となって、これから国家的プロジェクトを推進して行くようです。何か元気と活気があって、素晴らしいなあと感じました。
政治とはまさに国家経営ですので、このように事業家、経営者、ビジネスマンが、どんどん議員になっていくのは、とても良いことだと思います。逆に日本の場合は、経済界から政治家へ入る例が少なく、先の東京都知事選挙ではワタミの会長が立候補をしましたが、大差で落選をしています。どうしてもTVで人気のあるタレント、評論家、作家たちの方が強いのでしょう。力のある優秀な経営者がいても、一般に馴染みがなければ、なかなか当選できないですし、仮に議員になっても、トップには行けないのでしょう。そういう土壌では、日本の政治はなかなか変われないような気がします。
東日本大震災のような巨大な危機が発生した時、もし経営感覚に優れた人物が政権内にいたら、もっとスピーディーかつ最適な対応を行い、国民と全世界に対して、魂のメッセージを(日々)発信し続けたと思います。結果的に被害も最小となり、東北の方々に向けられた賛辞と同様の評価を、日本政府も得ることができたと思います。大難を小難に、あるいは好機にまで転換することができたかもしれません。
これで3回目の核による被害を受けた日本が、まさに世界の先頭に立って、脱原発と共生の社会を目指し、新たな経済の仕組みを構築し、さらにV字回復を達成する。そういう好機にできたかもしれません。しかしながら現実は、緊急に止めた浜岡原発もいずれは再開するらしいですし、結局、脱原発ではなく原発維持ということで、これは本当に不思議な気がします。安全なら「絶対に安全」と示して欲しいですし、そうでなければ誰もが原発の無い社会を望むのは自然だと思います。仮に10年、あるいは20年掛かっても良いから、明るいビジョンを示すことが必要ではないでしょうか。
今、震災の影響もあり、政府のみならず、企業も個人も、明るいビジョンを示すことが難しくなってきています。先行き不透明で、先々のことが心配で、どのような方向へ行くべきか・・・多くの企業や個人は迷っています。迷う以前に、やる気を失っているような感じです。ベトナムのような元気や活気があれば、何とかなるのでしょうが、節電と自粛ムードの中では、心もうつむき加減です。
でも、このような混沌とした、先が見えない時こそ、本当にたくさんのチャンスが眠っていると思います。戦後はもっと厳しくて苦しくて大変だったと思います。それでも日本は大復興を遂げました。チャンスをものにしたからです。だから今回も(確かに次元の違う危機ではありますが)千年に一度の大きなチャンスの中にいることは確実です。
私たちも、東日本大震災の発生から2ヵ月後の5月の連休明けに、<ゴールド・プラン>と名付けた(約15頁にわたる)経営ビジョンを(社内で)発表し、「丸二は、建築業を通じて、人々の生命を護ることをミッションとする」という経営使命を掲げ、これからの全く新しい時代の夜明けの前に、元気に歩き始めました。まだ暗いから良いのです。でも、間違いなく太陽が昇る方向へ向かって歩いています。あと少しで、鳥のさえずりが聞こえ、空が徐々に明るくなり、黄金の太陽が昇って来るでしょう。これからは建築が人々を護る時代です。私たちが20余年かけて磨いてきた技術と経験が実る時です。もう丸二は、どんどん歩き始めています。
そして個人的にも、(震災直後は、あのような大変な状況の映像を繰り返し見ることで、随分ナイーブになってしまいましたが・・・)徐々にとてもクリアーな意識となり、一気に<ゴールド・プラン>をつくり上げることができました。つい先日も、朝、会社に行くために家の門から出た時、目の前の道路に、三羽の鳩が正三角形に並んでいました。それがあまりにも綺麗な配置(並び方)で、きちっと整列して待っていてくれたかのようでした(勝手にそう思っただけかもしれませんが・・・)。そして三羽の鳩さんは、一斉に飛び立って行きました。何かとても縁起が良いなと、嬉しくなりました。
でもそれだけでなく、その7~8分後、コンビニでペットボトルの水を買って、会社のそばの道まで来た時、また!(もちろん違う鳩さんだと思いますが・・・)三羽の鳩さんが、今度は正三角形の編隊を組んで、私の頭上を(正面から後ろに向かって)、航空ショーのように上昇して行ったのです。まさかさっきの鳩さんではないだろう!とは思いましたが、家の前と会社の前で、二度も「いい気分」にさせていただいた鳩さんに、心から感謝をいたしました。
ただそれだけのことですが、でもすべての事象は、何かを暗示していると思いますので、私なりに良き出来事として、自分の心の中に刻みました。それが元気の源にもなります。現象は、時間差で起きて来るもので、先に感謝をしておけば、後で出来事(良い事)が起きます。だから、先に「いい気分」になっておこうと思いました。そうすると、きっと後から良き事が起きてくると思います。だから、今からワクワクです。今は、一人ひとりが精神的に元気になることが大事。まわりからの評価ではなく、自分自身を信じることだと思います。

住環境を安全にする

本日は、第6回「風水生活セミナー」を開催させていただき、(おかげさまで)今までで最も多くのお客様にご来場いただきました(ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!)。このようなセミナー企画を行っても、なかなか人が集まらないことの方が多いのですが、本セミナーは、回を重ねるごとに(少しずつですが)良い気が集まって来ているようです。
本日のセミナーの中でも触れられたのですが、人が集まるところが「人気」と成り、「財気」と成ります。しかも、このような大震災の後にも関わらずです。時代の流れが3.11以降、確かに変わったような気がします。私たちは、そのような新しい時代を先回りして、今まで様々な準備をしてきましたが、ここでやっと「世のため、人のため」にお役立ちできる環境が整ってきたようです。今後も本セミナーを軸に、「加子母森林ツアー」や現場見学会等のイベントを開催していきますので、ぜひご参加ください。
さて、今のような現状に対して、一体どのような心構えや意識が大切なのか、いろいろと考えます。最近は本屋さんを歩くと、ブッダ(釈迦)に関する本がたくさん並んでいます。しかも宗教・精神世界のコーナーだけでなく、一般の新刊書の目立つ所にも、平積みで置いてあります。このような状況は、ちょっと前では考えられませんでした。もうすぐ手塚治虫の映画「ブッダ」も公開されるようです。
何もブッダだけではなく、伊勢神宮に関する本の出版も増え、実際の参拝客も増えているそうです。いろいろな宗教関係やスピリチュアル系の本もたくさんありますが、ごく普通の人々が、ごく普通に「ブッダ」の本を買って読む時代になったという意味では、大きな心の変革が(静かに)進行していると感じます。
もちろん、実際の本の中身が真実なのかどうかの判断は出来ません。でも、人々が何か目に見えない心の拠り所を求めていることは確かですし、それはとても素晴らしいことだと思います。今、目に見える世界がどんどん悪くなっているせいもあり、人々の意識は内面(無意識の世界)へ向かい始めているのではないでしょうか。
これからも大きな地震やその他の災害が増えると思われます。それに備えて、私たちは出来る限りのことを懸命にやっていく以外ありません。それでも日々の生活のことや先々のことに対する不安・恐れは消えないでしょう。精神的な面で、いかに自分自身の心をコントロールするかが、生きる上でとても重大なテーマになって来たのです。それに立ち向かうには、まず自身の住環境を安全にすることです。自分が住んでいる家、住宅を物理的、身体的、精神(脳科学)的に安全にすることです。
まず物理的には、耐震対策(工法、補強)、鉄筋コンクリート建築(ルネス工法、パワー・コンクリート工法)、強度の高い「加子母ヒノキ」等の活用で、可能と成ります。身体的には、外断熱工法(結露、ダニ、カビの防止)、建築医学(天然素材)等の活用で、精神(脳科学)的には、風水環境科学(立地、間取り、色、レイアウト、デザイン等)の活用で、かなりの対応が出来ます。
このように、出来る限りの対策をしておけば、自分の外側の世界は万全です。後は、内側(心)です。そこは、まさに人それぞれですので、「これだ」と決めつけることは難しいものですが、少なくとも「感謝」の心が大事であると云うことは分かります。今のような状況に感謝できるかどうか・・・ここを問われているように感じます。
今は「人心改革」の時代。人々が自らの意識を見つめ、入れ替え、感謝の心を取り戻す時。同時に、まわりの環境(特に住環境)も見直す時。この両面が重なり合って、安全・安心な日々を送ることが可能になると思います。私たちは、その住環境の部分に対して、一生懸命お客様のお役に立って行きたいと思います。

命綱の建築3

今回の震災による大津波の被害を受けた地区の中で、 「此処(ここ)より下に家を建てるな」という石碑の教訓を守った集落があり、実際に津波の被害を受けなかったことが伝えられています。明治、昭和の三陸大津波によって2度の壊滅的な被害を受けた宮古市重茂の姉吉地区にその石碑はあり、結果的に11世帯約30人の集落を守ることになりました。津波は先人の教え通り、石碑より海側で止まったとのことです。
古き先人からの教えが、こうして今、人々の生命を救うことになるとは、まさに時空を超えた(目には見えない)救出劇だったと思います。本当に正しいことや、大切なことは、なかなか「その時」は分からないものです。今こうして事が起こり、はじめてその意味を理解します。おそらく、このような石碑は別の場所にもあったのかもしれません。先人(御先祖)たちの(子孫やこの地への)深い愛情を、感謝の心で、受け止めた・・・。そのような素直な心が、未来の自分自身や子孫を救うのかもしれません。
ところで、今の私たちは、子孫たちへ何か「石碑」を残しているでしょうか。自分たちの子どもや孫の世代、そしてもっと先の子孫たちへ、大切な石碑、メッセージ、贈り物を用意できているのでしょうか。先日、首相が浜岡原発の停止を(中部電力へ)要請しましたが、その他の日本全国の原発はそのまま維持のようです。原発の危険性については、様々な意見があり、実際のところは一般人ではよく分かりません。でも、福島の状況を目にした以上、原発の全廃への流れが国民の(本当の)総意ではないかと思います。
未来の人々を救う「石碑」を建てることが、いまを生きる私たちの世代の役割だと思います(原発は、その中で特に重要な問題だと思います)。日本の森が荒れ始めていること、今後も多くの災害が起こる可能性が高いこと、まったく新しい世の中の仕組みをつくる必要があること・・・他にもたくさんの課題が残っています。困ったことは、それらの全てに対する方向性(柱)が、未だ立っていないことです。ひとつひとつの課題をクリアーするには、本当に長い年月が必要です。よって、全てを解決することはできないでしょう。でも、せめて「このような世の中にしていくべき」という正しい方向性だけでも立ちあげておけば、次代への立派な「石碑」になると思います。
私たち(丸二)は、「いつまでも家族、子孫の生命を護り続けられる建築」を、謂わば「石碑」の代わりとして、地域に建てていこうと思います。これからも、自然災害は(全国的、地球規模的に)増えるようです。そのような厳しい自然環境の中で、住む人の安全、安心を第一に、その上に快適さ、豊かさを求めて、いまできることを懸命に進めて行きます。そのような「命綱の建築」は、これからの時代に向けての大きな方向性となり、多くの人々にとっての拠り所にもなると思います。建築とは、その土地の「柱」であり、住む人の心の「柱」であり、人々の精神とリンクします。だから私たちは、建築で良き社会を築いて行くことができると、信じています。

前夜祭にて

先日、(私と娘たちが卒園した)地元の幼稚園の園長先生が亡くなられ、昨日(教会式の)「前夜祭」に参列させていただきました。神父様がお話されていましたが、八十八歳という御歳で亡くなられた方の前夜祭としては、とても多くの方々がお集まりになったとのことで、教会は満席状態でした。祭式は教会式でしたので、オルガンの演奏、讃美歌、神父様のお話や祈りの言葉があり、最後には献花をいたしました。とても温かく、穏やかで、厳かな会でした。
園長先生には、私(姉たちも)もお世話になり、そして娘たちもお世話になりましたので、もう四十年来のお付き合いになります。本当に長い間、ありがとうございました。人間の成長にとって、幼少の頃の教育、経験、思い出はとても大切なものだと思います。私はとても弱くて、幼稚園ではよく泣いていました。それでも、幼稚園の日々の記憶は、今でも色鮮やかに、温かい温度で、体中に蘇って来ます。それもきっと、園長先生の持つ優しさのおかげだったのだと、今、感じます。
昨日の神父様のお話の中で、「幼稚園での教育は、記憶に残らないから良いのだ」という主旨の言葉がありました。なるほど、と思いました。大人になってからの教育や経験は、それなりに記憶に残り、誰から何を教わったのかも覚えています。それ故に、恩師に対する感謝の気持ちも持ち得ます。ところが、まだ幼少の頃のことは、本人自体がほとんど覚えていないのが普通です。誰から何を教わったのかも記憶には残ってないでしょう。だから、その恩を感じることも無いのかもしれません。
けれども、その人の心(潜在意識)は、すべてを覚えているはずです。小さな時、親から離れ、友達と触れ合う初めての共同生活で、本当にその後の人生を左右するほどの「何か」を身に付けたはずです。そしてそれは、大人になってからも確かに存在している。ただ、本人はその源泉を覚えていないだけのことです。そこには、目には見えない、存在を感じさせない、ある種の力を感じます。それは、目に見える、存在を感じさせるものよりも強いものです。
私たちは、きっと園長先生や幼稚園から「何か」を得たのだと思います。それは、今の自分自身を構成している心や体のどこかで「作動」しているはずです。感謝されることを期待しない「ただ与えるだけの愛」に生命をかける方々のおかげで、人間は一人ひとり、大人になって行く。四十年という長い歳月を経て、その御恩への感謝を献花に託すことができました。両親、恩師、そして御先祖の皆々様方。私たちは、その方々からの無償の愛のおかげで、生かしていただいている・・・。
さて世の中の方は、東電社長のお詫び、焼肉店社長のお詫び等、人間の生命に関わる重大事故を通じて、様々な人間模様が浮き彫りにされています。被災者の方々、被害者の方々、そして被害を出した側の責任者。お互いが地獄の苦しみの中にいるのではないかと思います。もう二度とこのようなことが起きない社会にしたいと、心から思います。多分きっと、世の中の仕組みがどこかで間違ってしまい、その仕組みの中で多くの人々が迷い、苦しんでいるように感じます。
2011年は、これから全く新しい社会を築き上げることを、皆が決心する年になると思います。それは「見返りを求めない精神」が基軸になると思います。名も残らないし、記憶や記録にも残らないけど、(何かできることを)やってみる・・・。園長先生の前夜祭は、小さくとも、大きな出来事でした。必ず良き時代への「前夜祭」にしてみせます。

美しい魂

元キャンディーズの田中好子さんが亡くなられたニュースを見ながら、心に強く感じるものがありました。それは、葬儀の際に流れた本人の肉声テープの中で、「私も一生懸命病気と闘ってきましたが、もしかすると負けてしまうかもしれません。でも、そのときは必ず天国で被災された方のお役に立ちたいと思います」という言葉を聞いたからです。自らが死と直面している状況にも関わらず、この震災で亡くなられた多くの人々のことを、深く心配されていたのだと思い、何とも言えない気持ちになりました。
後日、雑誌の記事等で、田中好子さんは、(決して目立たなかったですが)ご主人と共に様々な社会貢献活動をされていたことを知りました。キャンディーズを解散して、2年程で芸能界に復帰したのは、弟さんの病気が大きな理由だったそうです(結局、弟さんは亡くなってしまいました)。その後、女優の夏目雅子さんと親友になりましたが、彼女も白血病で亡くなり・・・。本当にいろいろなことがあったのだと思います。結局、夏目雅子さんのお兄さんと結婚し、今度は自分自身の(この世での)命が消えていきました。
随分、長い闘病生活だったようです。でも、そのことはあまり知られていなかったようです。そのような病状にありながら、多くのボランティア活動、社会貢献運動を行い、世のため、人のために尽くしてきた人。その人が最後に残した言葉が、「天国で被災者のお役に立ちたい・・・」。天国を信じ、天国にいる多くの被災者の方々のお手伝いをするために、自ら旅立たれたのです。
今、被災地は復興に向けて、(少しずつですが)前に向かって動き始めていると思います。そこは目に見える世界ですので、多くの人たちが力を合わせて、具体的な活動を行うことができる場所です。でも、(残念ながら)亡くなってしまった方々が行かれた場所は、私たちの目には見えません・・・。だからこそ、田中好子さんのような美しい魂の方々が、そこへ向かっているのかもしれません。それが自分自身の使命、人生の目的であるかのように。本当に心の優しい方というのは、あまり目立たない存在のような気がします。いつも、見えなくなってから気づくものです。

魂を振るわせて

バッハ ( Johann Sebastian Bach )
ゴルトベルク変奏曲 ペライア
301.jpg
最近聞いたCDで、良かった3枚です。一枚目はバッハのゴルトベルク変奏曲(ピアノ:ぺライア)。鍵盤楽器系の曲はあまり聴かないのですが、バッハのゴルトベルク変奏曲は有名なグールド盤を新旧2枚持っていて、曲自体がとても好きです。ぺライアのCDは、ある評論家が推奨していたので、試しに買って聴いてみました。今までグールド(ピアノ)とヴァルヒャ(チェンバロ)の演奏しか耳にしていなかったので、とてもクリアーで新鮮な感じがしました。ピアノ曲で70分以上という大作ですが、バッハの音楽の深さ、楽しさ、幾何学性が心地よく感じられ、最後は厳かな感動に包まれました。バッハの音楽は、やはり人間業とは思えない、天上から降って来たような印象があります。このCDでは、まさにそのような神聖さ、魂の力を感じました。
ベルリオーズ ( Hector Berlioz )
ベルリオーズ:『幻想交響曲』、ドビュッシー:『海』 ミュンシュ&パリ管弦楽団(1967 ステレオ)
788.jpg
二枚目は、(以前買ったまま、あまり聴いてなかった)ミュンシュ指揮/パリ管弦楽団のベルリオーズ「幻想交響曲」(ライブ)です。ミュンシュ&パリ管弦楽団の「幻想交響曲」は、随分古くからスタジオ録音盤が有名で、私も好きで良く聴いていましたが、この盤はパリ管弦楽団の設立演奏会のライブ録音で、スタジオ録音とはまったく違う、凄まじい迫力&スピード感になっています。多分はじめて聴いた人でも、その異常なほどの違いが分かるのではないでしょうか。指揮者の叫び声(?)も入っていて、一回きりの設立演奏会の持つ特殊性がよく出ています。聴いている方も、ドキドキします。世の中自粛ムードで、なかなか元気が出ない日々が続いていますから、こういう演奏を聴いて、魂に「気合い」を入れるのも良いと思いました。
ベートーヴェン ( Ludwig van Beethoven )
交響曲第9番『合唱』 アーベントロート&ベルリン放送交響楽団(1950)
557.jpg
三枚目は、ベートーヴェンの第9ですが、今回はドイツのアーベントロートという指揮者の1950年のライブ演奏を聴いてみました。60年前の録音ですから、もちろんモノラル録音ですし、決してきれいな音ではありません。でも、やはりこの頃の本場ドイツの演奏のクオリティと言うか、徹底した音楽に対する命懸けの姿勢というものが伝わって来ます。ベートーヴェンの第9は、もう聴き飽きるくらい聴いていますので、新たな感動も希薄になっていましたが、このアーベントロートの指揮で聴くと、他の演奏とは違うベートーヴェンの魂(のようなもの)を感じます。今の時代もいろいろと大変ですが、ベートーヴェンの時代も、アーベントロートの時代は、もっともっと大変だったと思います。
魂と言えば、先日古くなったBSアンテナを交換する際、確認のために画面に映っていたメジャーリーグの試合を目にしたら、そこに松井秀喜選手の姿を見つけました。ヤンキーズの時とは違う色のユニフォームを来ていて、今までとは違うイメージを感じましたが、いろいろなことがありながらも淡々と、自然体で野球に取り組んでいる姿勢に、とても共感を持ちました。数字だけをみると、必ずしもベストな状態ではないと思いますし、イチローの実績に比べると評価は低いのかも知れません。でも、そこにはやはり特別な存在感があります。前のブログに書いた三浦カズ選手にも感じた、何か温かいもの、おおらかさ、(人間としての)器の大きさが有るように思います。技術とか手法よりも大切な、大きな魂のようなもの・・・。あまり多くを語らない中に秘めたもの・・・。松井選手のような人は、野球を終えた後も、きっと何かやってくれると思います。
今、人それぞれの魂が振るえ始めていると思います。その振動エネルギーを束にして、何とか良い方向へ向けて行きたいものです。大きな変革や難局は、見方を180度変えると、「超ウルトラ大チャンス」でもありますので、この動き出した魂の力をさらに拡大していくことだと思います。確かに世間は自粛ムードで、なかなか新しい動きを出しにくい状況にあるとは思いますが、でもそのような時だからこそ、自らの魂を揺さぶり、その振動力を持って、(今まで不可能だと思っていた)大きな障害を超えて行くことができると思います。そう思えば思うほど、「超ウルトラ大チャンス」の到来だと思います。

温かい志

日経新聞のスポーツ欄に三浦知良選手のコラムがあって、たまに目を通すと、必ずいつも何か心地よい気持ちになります。先日の記事では、岩手の被災地を回って、子どもたちと一緒に遊び、「うれしい」「楽しい」時間を共有したことが綴られていました。その中で、「こちら側でできることをしよう」「こちら側の僕たち自身も変わっていかなければ」という印象的な言葉がありました。
「こちら側の僕たち」は、「(向こうの被災地に)何かをしてあげたい」と考えます。でも、それ以上に「こちら側の僕たち」自身が変わることの方が大事・・・。それはきっと巡り巡って、東北を救い、日本を救うことになる・・・私もそう思い、そして共感しました。確か以前も、この三浦知良選手のコラムに感銘を受けたことがありました(特別、サッカーファンではないのに・・・)。
多分、何か温かいものを感じたからだと思います。温かくて優しい目を。スポーツも人生も、結局勝ち負けや成績だけでなく、そこには(もうひとつ)心の世界が同時に流れていると感じます。そして最後は、心の世界の方に比重が移って行くと思います。今回の震災では、何かその比重の移動が一気に進んだような感覚があります。震災まで光り輝いていた人が震災後からフェードアウトしていくこともあるでしょうし、その逆もあるでしょう。すべての転機がやって来たと思います。
また今日の新聞に、ソニーの元社長の大賀典雄氏が81歳で亡くなったとありました。大賀氏と言えば、「バリトン歌手」「指揮者」で「ソニーの経営者」という異質の経歴の持ち主で、特に指揮者カラヤンとの親交が深く、CD(コンパクトディスク)の開発の成功も大賀氏とカラヤンの2人の力が大きかったと聞いています。
例えば、CDの記録時間の長さは「ベートーヴェンの第9が一枚に収まるようにしよう」という理由で、約70分になったという話は有名ですが、これもこの2人が相談して決めたことです。カラヤンの指揮者(音楽性)としての評価は、必ずしも高いものではありません(と、私は思ってます)が、やはりCDの開発、そしてクラシック音楽の世界的普及には大いに貢献しましたし、その技術的なパートナーとしての大賀氏(ソニー)の存在も大きかったと思います。
このように日本の技術や日本人の人間性は、本当に素晴らしいものがあります。その根底には必ず何か「温かいもの」が流れているようにも感じます。それは(仕事を通じて)世のため人のために貢献したい気持ちがどこかにあるからではないでしょうか。そのような「志」が、一人ひとりの人生の動機になっているからこそ、どのような大きな困難が来ても、必ず日本は再生し、復興し、今まで以上の成長を遂げていける思います。私たちも、大いなる「志」を持って、建築業を通じ、もっともっと世の中に貢献しようと思います。

命綱としての建築2

IMG_5058.jpg
昨日は、丸二恒例の「風水生活セミナー」を開催させていただき、いつものようにアットホームな雰囲気で、お客様と共に楽しい時間を過すことが出来ました(ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!)。このセミナーは、毎回10名~15名の方々が参加され、「国際風水科学協会(ISF)」認定講師の種市先生のとてもワクワクするお話を聞きながら、(吉祥寺の)美味しいケーキと紅茶を楽しむと云う、ちょっとした茶話会のような趣向になっています。
風水と言うと、どうしても占い的(方位学的)なイメージが強いのですが、ここでは暮らしという「場」の中に、積極的に喜びや楽しさを取り入れて行くことで、住んでいる人の「脳」と「心」を明るく元気に快適な方向へ動かしていくことを目的としています。当然、人の心は、自らの意志で変えて行く以外無いのですが、場の環境が(無意識に・・・)関与していることも事実です。
つまり・・・温かくて、落ち着く環境(部屋)に居ると、前向きで積極的な気持ちになりやすいですが、暗くて、散らかっている環境(部屋)にいると、どうしても思考がマイナスになってしまいます。これは、本人が自覚している、いないに関わらず、無意識で感じる世界ですので、意外と大きな影響を受けているといえます。
よって、自分自身の身の回りの環境(=外面)を整えていくことで、自分自身の心の状態(=内面)の(良い)変化を応援していくことが、「風水生活」の目的ということになります。昨日のテーマは、「片付け」「寝室の風水」でしたが、日々の生活の場の整理整頓や、最も無防備(無意識)な状態で長時間を過す寝室の改善によって、健康と精神の安心感を得ることが可能となります。
建築という分野は、まさに生活環境を造ることが仕事ですので、この「風水生活」を学ぶことによって、本当の「最良の建築」とは何かという答えが見えて来ます。つまり、建築には住む人の人生を大きく左右する力があるということです。住む人が、前向きで、元気で、明るい思考になりやすい住宅というものを(計画的に)造ることができるとすれば、これは知っておいた方が良いという当たり前のことなのです。
TKY201103110607.jpg
今回の震災の映像で、巨大な津波によって全てが失われた町の中に、いくつかの建物が残っていました。それを見て、建築は住む人の命綱なのだと理解しました。「日々の生活」「住む人の心と体の状態」「家族の生命」を護る、最優先であるべきものです。ところが、現在の建築のあり様は、「早くて、安くて、不健康で、すぐ壊れるもの」が、巨大なCM(広告)によって普及してしまい、住宅に対する「真の価値観」を壊してしまったように感じています。住宅や建築は単なる生活用具(あるいは金融商品)の一つではありません。人々の命綱なのです。そのような正しい価値感を早く取り戻すことが、これから自然災害や健康被害が増えて来る時代において、重要な国家戦略にもなると思います。
よって、海抜が低い海沿い(川沿い)の地域等は、早急に住宅の防災対策が必要ですし、築年数の長い木造住宅、2×4住宅、鉄骨系住宅等の補強(耐震・突風対策)、あるいは鉄筋コンクリート造や国産無垢材(加子母材)による強固な木造住宅への建て替えも重要です。国や自治体は、国民や市民の生命を守る責任があるのですから、そのようなものにどんどん助成をして、積極的に支援していくべきと思います。
ですから、増税ではなく財政出動です。建築によって、日本の人々の命綱を太くしていくことが、(今は)国の財政再建よりも優先すると思います。だって、国とは、国民(と国土)の集合体なのだから・・・。しかも結果的に、それは好況を創造し、時間差で国の財政に(数倍になって)戻って来るはずです。なお且つ、日本中に、安全な建物という資産価値も増えて行くのです。
01_px250.jpg
原発については、(当然)別の自然エネルギーに変えて行かなければならないと思います。今朝の新聞に、ソフトバンクの孫さんが個人の資金で「自然エネルギー財団」を設立し、「脱原発」の推進を始めるとありました。本当にとても素晴らしいことと思います。日本の電力事情については、いろいろな利権が絡んでいて、(もちろん現実的な問題もあり)政府も明確な方針を出せないようですが、これからの大きな方向性として、原発に代わる安全なクリーンエネルギーを開発していきたいものです。
ただそれまでの間、日本各地の原発を縮小しながらも、安全な状態にすることも必要で、例えば原発のもうひとまわり外側にコンクリート建屋を建築する、あるいは海側に(20m以上の)高い堤防を建築する等、当面運転しなければならない原発への安全対策も行うべきと思います。また福島原発も、早くコンクリートで固めてしまいたいところです。
日本の建築技術の水準は高く、今回も地震そのものによる被害は小さかったと思います。しかし、これからは地震以外の災害にも備えなければなりません。日本全体の住宅・建築がさらに強固になれば、仮に大きな災害があっても、多くの人命は守られ、かつライフラインへのダメージも小さくなると思います。だから今こそ、日本の建築に任せて欲しいのです。建築は、住む人の心、体、生命を守るためにあります。その本来の力を発揮すべき時が、今だと思います。