社長ブログ

命綱としての建築

太陽活動(太陽黒点)の活発化が進行していることを知ってから、最近の日差しの鋭さのようなものを感じています。今は花粉症と放射線対策があるので、マスクをしていますが、いずれサングラスをして歩くのが普通になるのかもしれません。地球も(当然)宇宙空間に浮かんでいるわけですので、宇宙からの様々な影響を受けているようです。結局、地球温暖化の原因も二酸化炭素ではなく、太陽黒点によるものが本当のようですし、逆に今後は寒冷化の予測も出ています。
このようにして、私たち人間はいろいろな情報に踊らされながら毎日を生きています。何が本当で何が嘘なのか、それを測るモノサシは自らの感性を高めて行くしかないようです。福島原発の事故の実体も、本当のところは誰にも分かりません。でも、日々できることに最善を尽くしながら、起きたことを(淡々と)受け入れて行くことで、道はきっと開けると思います。東北の被災された方々の姿を見ていると、そのような本物の生き方を学ぶことが出来ます。
この時代に日本で生まれ、この大きな震災と遭遇したことも「縁」だとすると、丸二が(時に取り憑かれたかのように)取り組んできた一切の物事の意味も、次第に判明して来るのではないかと感じます。鉄筋コンクリート造建築(住宅・集合住宅)、ルネス(逆梁)工法、外断熱工法、パワー・コンクリート工法、建築医学、コーポラティブハウス、耐震補強、国産材(加子母の神宮ヒノキ)。これらは震災以後の建築、都市計画、まちづくりにおいて、きっと欠かすことのできないエレメントとして拡がっていくと思います。
つまり「エコタウン」とか「環境共生」とか言う耳触りの良いイメージ優先ではなく、本当に(いかなる災害や健康被害からも)人の生命を護る「命綱」としての建築を造ることです。まさに私たちの使命はここにあるように感じます。今後も太陽活動の動きが活発になれば、様々な災害が起きるでしょう。原発以外の放射線もありますし、考えられないような強風が吹くかもしれません。それでも安心して日々の生活を送ることが大切です。防護としての建築は、安心安全な生活基盤に不可欠です。
もう自然との共生などという甘い話は終わり、これからは大自然の怒りに耐える段階に入ったと思います。生活面でも、建築面でも、できる限り可能な対策を行い、防災・防衛・防護意識を持って生きて行くことだと思います。そうしながらも、あらゆることに感謝をして、心を洗い、人間性を磨き、自然界から許される新しい人間社会を創造すること。本当に強い建築と強い人間、その両方を造る時代になったと思います。

立て直そう

4月に入り、今年も桜の季節になりましたが、お花見気分になれないというのが正直な心境です。近くの井の頭公園も、自粛を要請する看板が立ち、例年のような賑わいはありません。経済的に悪影響を及ぼすということで、自粛ムードに反対する意見も出始めています。確かに自粛とは、あくまで自らの意志によるもので、強制されるべきものではありません。でも、仮にそのような看板が無かったとしても、いつものように大騒ぎをするような人は出ないと思います。それが日本人です。
かと言って、暗くなるとか、悲観するとかということでは無く、やはり多くの亡くなった方々に対する哀悼の気持ちの、せめてもの表現なのではと思います。確かにこのような自粛ムードが続くと、経済的には大きな打撃になるでしょう。でも、今までどおりのやり方が壊れた訳ですから、今までどおりの経済活動で当面を繕っても、結局またやり直しが来るだけです。
国民全員の心がひとつになっている今こそ、勇気を持って、全ての物事を見直しに入るべきです。そして一日も早く、新しい価値観の世の中、新しい経済の仕組みに移行すること。「とりあえず」の時間稼ぎではなく、みんなで一気に建設作業です。それはそれで、とてもビッグなプロジェクトではないでしょうか。
今だったら、みんなで乗り越えられると思います。この天の時を大切にして、これから数カ月あるいは数年間を、あらゆることの立て直しに力を注ぎたいものです。大量消費(無駄遣い)や金融商品(虚業)で富を生み出す時代はもう完全に終わったのです。これからは自然と共生しながら、モノと心を大切にして、長く使う時代。より良いモノ造りをしている人たちが、最も富むような経済の仕組みを創造していきたいものです。
今回の東北地方の被災地には、本当に優秀な中小企業や工場が多数あり、震災の影響によって部品や材料が止まり、大変多くの大企業(世界)が困っているようです。つまり一番大事なモノづくりの部分を、自社でやってなかったという訳です。日本の素晴らしい技術は、実は中小企業のものです。日本の中小企業が損なわれると、世界が潰れるということです。
重要な部品を下請けに作らせ、ブランド料で稼ぐ。カンバン方式で、納入時間を厳しく管理し、在庫を持たずにリスクを減らす。企業経営としては効率的なやり方ですし、利益も上がります。でも何かあったら在庫が全くないというのも、本当に顧客志向なのかどうか・・・疑問に感じます。東京電力という会社も、何層にも及ぶ下請け構造になっていることが分かりました。それでは現場で生命を掛けて原発と戦っているのは、一体誰なのでしょう・・・。このような様々な疑問が浮かんでは消えます。
でも、それは決して怒りではなく、クレームでもありません。そういう時代だったということです。人間の力では変えられないほどの、大きな流れだったと思いますし、私たちもそのような時代のおかげで今があります。でも「このままではいけない」と、大自然の力が発動された訳ですから、その意思に素直に従い、前向きに、立て直しを始めていけば良いと思います。責め合うのはやめて、力を合わせ、この3.11を経験した全ての人たちと共に。

日本の人気

竹田恒泰さんという方が書いた『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(PHP新書)という本が目に入り、つい買って読んでみました。日本が一番人気があるなんて、きっと何かの間違いだろうと思いつつも、今回の震災に対する各国からの大変な支援や応援の数々を見ると、実は本当にそうなのかもしれないという気持ちもあったからです。
本の内容は、とても素晴らしいもので(ぜひ、読んでください)、様々な調査の結果から、いかに日本(=日本人)が好かれているかがよく分かり、正直、驚きました。好かれているというよりも、尊敬され、信頼されていると言った方が近いかもしれません。今回、台湾の人々から多額の寄付をいただきましたが、そこには尊敬する日本への最大級の感謝の思いを感じます。
また伊勢神宮の式年遷宮のこと、その御用材のこと、山の木を伐ることで森を守る伝統があること等にも触れられていて、私たちの取り組み(加子母プロジェクト)が日本国の歴史的な根幹・文化と深く結びついていることも分かりました。日本のように二千年以上、国家が継続している国はないそうです。それに、二百年以上戦争が無かったのは、人類史上、日本の平安時代と江戸時代の二例のみとのことです。このような国は、世界中どこを探しても、日本しかない・・・。
この日本という国がどんなに厳しい危機や国難に直面しても、ギリギリのところで救われ、むしろその復興を通じて大発展を遂げる。それは、二千年以上続いている天皇の存在と決して無関係ではないと思います。今回の震災に際しても、皇居では自主節電をされていて、那須の御用邸も被災された方々に開放されています。決して目立たなくとも、国民の幸せを常に祈っている方が確かにいらっしゃる。そういう心の拠り所というものが、実際にあるように思います。
著者の竹田さんは、明治天皇の玄孫(孫の孫)とのことで、皇室の存在の大きさが良く分かる内容になっていました。先の戦争で負けた時、もし昭和天皇が自らの生命に代えて国民を守ろうとしなかったら、間違いなく今の日本は無かったことでしょう。ひとつひとつが奇跡のつながりです。
今回の震災と原発事故も、きっと乗り越えられると確信します。でもそのためには、私たちが新しい価値観と生活スタイルを確立しなければなりません。その転換のエネルギーは相当なものになるはずですが、そこには、今まで想像もしなかったような大きな夢、希望、感動が見えてくると思います。

イーハトーブを目指して

ある週刊誌の対談の中で、堺屋太一氏が、宮澤賢治の小説『グスコーブドリの伝記』の話をしていました。その物語では、理想郷イーハトーブの海岸に潮汐発電所を二百、設置しています。世界初の潮汐発電所は、1967年にフランス北西部・ブルターニュ地方のランス川河口で完成されましたが、この小説はそれよりもずっと前に書かれています。
潮汐発電には、平均潮位差5m以上が必要なので、実際に日本ではまだ実現できていないそうです(潮汐発電とは、干潮時と満潮時の時に、海面と河口との水位の差を利用して、海水の流れをつくり、その水流によって水車を駆動し発電するものです)。
宮澤賢治の故郷であり、理想郷イーハトーブのモデルとなった岩手(東海岸)が、今回の震災で被災しました。そして原子力発電所の事故によって、美しい東北が被害を受けています。ここには何か意味があるように思います。だからこそ・・・今からでも、理想郷イーハトーブの実現を目指して、動き出す時ではないでしょうか。
宮澤賢治の理想は、当時の人々には夢物語(非現実)だったのかもしれません。でも、今まさに時空を超えて、重要な啓示となって降りてきました。仮に潮汐発電でなくても、現代の技術で可能な自然エネルギー発電を進めていくべきだと思います。
同様に、死の直前に書いた「雨ニモマケズ」からも、今回の震災に対する心構えを読み取ることができます。「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ、丈夫ナカラダヲモチ」は、今の私たちの現状そのものです。放射線を防ぐため、雨と風に注意しています。被災地では雪が降り、寒さと戦っています。また電力不足の影響で、夏の猛暑も覚悟です。いずれにしても自分自身が強い体(精神)を持つことしかありません。
「慾ハナク、決シテ瞋ラズ、イツモシヅカニワラッテヰル」は、これで資本主義的な競争、欲望、エゴから早く卒業し、みんながニコニコと、おだやかで、あたたかい生活をしなさいというメッセージのようです。「一日ニ玄米四合ト、味噌ト少シノ野菜ヲタベ」は、放射線対策のためのレシピかもしれませんし、これから始まる食糧難の時代に向けての心構えのようです。
「アラユルコトヲ、ジブンヲカンジョウニ入レズニ、ヨクミキキシワカリ、ソシテワスレズ」は、今回被災された東北の方々の姿を見れば、もう説明は入りません。世界が驚愕と共に賛辞したその美しい人間性、助け合いの精神は、きっとこれから始まる世界的な大変革の中で、大いなる規範・目標となり、結果的に世界を救うことになると思います。「自分のことを勘定に入れない人たち」を、人類は初めて現実に目にしたのだと思います。
「野原ノ松ノ林ノ 陰ノ、小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ」は、質素、節約の大切さで、住む場所(衣食住)があること(日常)のありがたさです。あたりまえのことに感謝できる心を、私たちは思い出さなくてはなりません。
「東ニ病気ノコドモアレバ、行ッテ看病シテヤリ、西ニツカレタ母アレバ、行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ、南ニ死ニサウナ人アレバ、行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ、北ニケンクヮヤソショウガアレバ、ツマラナイカラヤメロトイヒ」は、大和の国、和の精神の日本人が持つ本質的な優しさ、共生の心、ボランティア精神を表していると思います。現代の若い世代においても、このDNAは強く流れていると確信します。
「ヒドリノトキハナミダヲナガシ、サムサノナツハオロオロアルキ」は、もう自然と戦うのではなく、自然と共に生きること、自然の驚異と素直に向き合うことで、すべてに対し正直に生きていくこと。そういう姿を恥ずかしながら出してしまう強さ、受け入れる強さです。
「ミンナニデクノボートヨバレ、ホメラレモセズ、クニモサレズ、サウイフモノニ、ワタシハナリタイ」・・・デクノボーとは「木偶の坊」であり、一般的には「役に立たない者、気の利かない人」の意味ですが、ここではむしろ「愚直さ」ではないかと思います。人からどのように思われても、褒められなくても、自分の存在すら忘れられても、正しいと思うことを愚直に、素直に、感謝の心で続けて行くこと。それが、最終的に生きる意味であり、真の幸福なのだと。
岩手は、私の祖父が製材所を建てた場所です。また山形は、曽祖父の故郷です。祖父は山形から北海道の滝川へ行き、そこで農業を始め、その後岩手の松尾村で製材所を建て、同時に父が東京・吉祥寺にて建設業を興しました。そして私が生まれました。丸二には、東北~北海道の血が流れていると感じます。これからも、愚直に、前向きに、元気に、感謝の心で生きて行いこうと思います。

新しい時代へのシグナル

福島原発事故の影響で、東京でも放射線対策が日常のことになってきました。具体的にはマスクをしたり、風向きを確認したりと、今までの花粉症対策の延長線で良いようです。そう考えると、近年の花粉症の拡大は、(ある意味)来るべき放射能事故の準備のために必要な出来事だったのかもしれません。もし花粉症が無ければ、マスクは普及品になっていなかったはずで、今頃はパニックになっていたと思います。
また、放射線に負けない体をつくることも大切で、そのためには和食が最高とのことです。特に味噌、大豆、昆布(海藻類)等が良いそうです。もちろん食べてすぐ効く訳ではないと思いますが、そのような体質改善が重要なのでしょう。今まであまり味噌汁や納豆を好んでなかったので、(そこは反省して)、今は(ほぼ)毎日食べています。おかげで味噌汁の美味しさが分かるようになってきました。本当に素晴らしい日本人の智慧です。大感謝です。
住宅の方は、(可能であれば)放射線を遮断できる鉄筋コンクリート(RC)造が良いと思います。地震、火災、強風、液状化等にも強いので、これからの建て替えの際には、検討をお勧めいたします。太陽光にも放射線があり、なおかつ太陽活動(太陽黒点の増加)も活発になっているとのことで、そういう意味でも、時代の流れのように感じます。さらに太陽光エネルギーによる自家発電も普及させていかなければなりません。木造であれば、強い天然ヒノキ柱(加子母産)の家です。
一方、住宅の内部においては、化学物質による健康被害防止のために、天然無垢材や健康素材(塗料等)で仕上げることが重要です。丸二では、岐阜県加子母森林組合様からの産地直送の天然無垢材を使用し、健康で、温かく、美しい内部空間をお造りいたします。この加子母ヒノキは「伊勢神宮(式年遷宮)の御用材」ですので、そこには精神的な安らぎも加わるでしょう。神宮ヒノキの「心柱(大黒柱)」が家族の絆も深めます。リフォームにも最適です。
まったく予期せぬ事態が起きている昨今ですが、このように(各分野ごとに)新しい時代へのシグナルが出てきていることも事実です。安心、安全、節約、共生、復興というキーワードが、新しい日本が創造していくのでしょう。そこに希望を持って、元気に、安心して、行動していくのみです。今思うと、国の大きな無駄使いを強制的に止めさせるため、このような現象が起きたのかもしれません・・・。起きたことには、必ず理由があります。日本が世界の先陣を切って、「立て直し」に入ったと云うことだと思います。だから、絶対に大丈夫です。

日本大復興

Flood Map(洪水地図)というものがあります。これは海抜が上昇した際に、水に浸かってしまう場所が分かる地図です。このような地図を必要とする状況が来るとは思わず、今から見てもどうしようもないのですが、今回の津波の高さである海抜20mで検索して見たところ、あることが分かりました。
それは、もし今回の地震が関東(東京湾)沖で起きていたら「自分は死んでいた」ということです。私がその時にいた場所は、20mの津波で浸水します。しかも地下街でしたので、逃げ遅れたらアウトです。電車も止まり、エレベーターも止まり、大きな津波が来るという概念がそもそも無い中、30分以内に駅ビルの階段を駆け上がる判断はできなかったと思います。
予定より長い人生をいただいた。そのことに心から感謝すると同時に、未だ使命・役割・目的を果たせていないからこその延長であることを認識し、反省し、自戒し、心をいったん白紙に戻し、被災された東北の方々の素晴らしい人間性を学びながら、今後の新しい日本の建設のために最善を尽くしていきたいと思います。
そして、これから始まる東北・東日本の復興のためにも、東京から西日本が元気になって、経済的にも精神的にも、タフにならなくてはなりません。そして日本全体を支援して行くことだと思います。以前「ガイアの法則」という本を読みました。それによると、文明の一周期は1611年で、経度で見ると、正確に22.5度ごとに文明の中心地が東へ移動しているとのことです。そして1995年、次の文明の中心が「東経135度」に移りました。そうです、日本の明石です。明石は、日本の標準時間の基準地として有名ですが、1995年の阪神淡路大震災の発生地でもあります。
1995年に起きた阪神淡路大震災と共に、世界の文明の中心が明石(神戸、関西、西日本、日本)に移った。だとしたら、まさに今回の東日本大震災の復興は、この地に託されたのではないか。当時の震災から復興への未曾有の経験は、これから始まる日本大復興に確実に生かされるはずです。
もちろん1611年周期という(とても長い時間軸の)ことですから、実際に文明が移動するには相当な時間が掛かると思います。それでも、今の日本にとって、これは非常に大きな希望の光です。先ずは、東京(関東)が力強いリーダーシップを取って日本経済を立て直し、明石・神戸を中心とする関西・西日本が新しい文化・文明を興隆させ、日本全体で「美しい東北(東日本)」を救うこと。そのような大きな時代の流れの中で、今それぞれの場所に居る一人ひとりが、(その場所で)与えられた命を大切にしながら、(前向きに)自身の使命を果たして行くこと。生かしていただいていることへの感謝を忘れずに・・・。これが今回の震災で犠牲になった多くの方々、被災された多くの方々への約束のような気がします。

未知への挑戦

今回の大震災の発生以降、さすがに好きなクラシック音楽をゆっくり聞く心境にはなれませんでした。それでもTVで繰り返し流れる「エー・シー」の音が少々気に障るようになり、(感謝と祈りの思いを込めて)いくつかのCDを手に取りました。ところが、どうもベートーヴェン、ブラームス、ワーグナー等の重厚長大で感情移入の濃いものはダメで、バッハやモーツァルトのような天上的な音楽がすっと入って来ました。このようなことはクラシック音楽のみならず、あらゆるジャンル・分野で起こってくるように思います。本当に必要なもの、良質なものが見えてきます。被災地の方々が、ゆっくりと音楽に耳を傾けられる日が来ることを、心から祈ってます。
さて、今回の大震災以降、計画停電や節電が行われていますが、気が付いたのは、街(繁華街や施設内)の照明が少々暗くなっても、全く支障が無いということです。逆に落ち着いた雰囲気で、仮に電力が回復しても、このままでいいのではと感じます。このような街の風景・・・そういえば、ヨーロッパに行った時のことを思い出します。
向こうはいつでもこのくらいでした(もっと暗いかもしれません)。お店も開いているのかどうか分からない感じで、騒々しいBGMもありません。温かい電球色の明かりの中で、ゆっくりした時間が流れています。街の電気を少なくして、節電ができ、人の心が温まるのなら、それはそれでいいのではと思います。そのようにして原発からも撤退です(原発なしでも十分まかなえるという話も聞きます)。
他にも・・・。電気が無いと動かない電気式のものより、機械式で動かせるものの方が役に立つ。電車や車より自転車がいい。家で家族と過す時間の大切さ。水や空気のありがたみ。一方、今後も長期的に被災地の方々を支援するためには、首都東京が元気になって、経済的に活性化していくことも重要です。とは言え、今までのようなやり方ではダメ。となると・・・これからは、全く新しい生活スタイルに移行しながら、持続可能な経済活動を創造していかなくてはなりません。本日公示された東京都知事選にて、このような視点が入って来るのかどうかも見て行きたいと思います。そして、未知への挑戦を期待します。

医・職・十

今回の大震災を経験し、私たちの価値観は大きく変わりました。とにかく生きていくこと。もうそれ以上の幸福はない・・・。今ここに、生かして頂いていることに、心から感謝いたします。そして、生きるために必要な「衣・食・住」の産業に関わらせていただいていることに、強い誇りを感じます。と同時に、もう一つの「イ・ショク・ジュウ」=「医・職・十」の大切さを、ひしひしと感じているところです。
この「医・職・十」は、いま思いついた当て字ですが、最初の「医」はまさに医療(医学)に従事する方々のことであり、今現場で数多くの被災者を救っているお医者さん、看護婦さん、スタッフの方々をはじめ、病院・医薬品・健康医学・代替医療・東洋医学・福祉等に関わるプロフェッショナルの方々のことです。この存在無しに、人々の命を救うことは出来ません。
次の「職」とは、職業的使命感を持ち、その責任を自らの命に代えてでも全うしようとする真の英雄たちのことです。今回の福島原子力発電所の復旧には、自衛隊、消防、東京電力等の方々が、まさに命を掛けて取り組んでいます。その勇気、その職業的使命感は、私たち日本人の誇りです。本当に頭が下がる思いと感謝の思いでいっぱいです(ありがとうございます)。一方、我が国の政治家たちは、この期に及んでも、責任のなすり合いをしている模様です。
最後の「十」は、ちょっと無理な当て字なので、うまく説明できないのですが、つまり心、精神、あるいは信仰的な部分です。誰の心にもある祈りの心。ぜひ無事でいて欲しいと祈る心。(残念ながら)お亡くなりになられた方々のご冥福を祈る心。できるだけ被害が大きくならないように祈る心。これからの人生が明るく元気で希望に満ちたものになるよう祈る心・・・。
「ジュウ」という音に合いそうなのが「十」(=キリストの十字架、あるいは日本という文字の中に隠れている十字架)でしたので、この文字にしてみましたが、(図らずも)多くの日本人が持っている(宗教ではなく)「見えない力」を信じる心を表現しているような気がしました。いま全ての人に必要なのは「心の支え」です。それは祈りと行動という両面で導かれるものと思います。
さて話は変わって、プロ野球の開幕時期をめぐってのドタバタがありましたが、私は個人的には(あえて極端に言うと)、プロ野球自体を中止にした方が良いと思ってます。資本主義的な競争社会がもたらした今回の大災害を見て、もう競争(=戦い)の時代は終わったと思いましたし、そうであるならば「戦い」で稼ぐプロ・スポーツ業界の役割もここで終わったのではないかと感じます。
人々の潜在意識の中にある「戦い」や「競争」への欲求の代替えの場として、プロ・スポーツ業界は発展しました。そして、贔屓の選手(チーム)が勝つことによって、日頃のストレスを発散していたと思います。でも、もうそのような(心の)代替え戦争は不要になると思います。今後は、スポーツは一般の人々が、あくまでゲームとして楽しみながら(お金を稼ぐためでなく)健康維持や自己成長を図る本来の目的に回帰していくものと思います。だから高校野球は、(もしいろいろな環境が整えば)開催しても良いと思います。
また八百長問題で混乱している大相撲は、(どちらかと言うと)そもそも勝ち負けを争う競技という見方よりも、その競技自体を一種の文化として鑑賞している面があると思います。あくまで興行であり、むしろ文化・芸術・舞台鑑賞に近い感じがします。だから本来、勝敗は二の次で、そういう下地があったから、お互いの「リハーサル」があったのかもしれませんね。大相撲は日本の文化として、今後も残って欲しいと思います。何しろお相撲さんが近くにいると、何となく安心します。ホッとします。笑顔が生まれます。それに力持ちです。これは、とても大切なことだと思います。
天皇陛下が今回の震災について、国民に対する温かいメッセージを出されました。平時の時は何も感じないのですが、いよいよこのような国難が迫って来た時、皇室の存在(心の支え)は非常に大きいものだと感じます。(仮に)どんなに政府の対応が悪くても、「日本には皇室がある」という事実が(もちろん無意識ではありますが)日本人の見えない「柱」になっているように思います。絶対に大丈夫と信じられる根拠、「心の柱」があるように思います。

新しい建築文化へ

今から思うと、いろいろな前兆があったのかもしれません。3月4日、茨城県鹿嶋市の下津海岸に、約50頭のイルカが打ち上げられましたが、これはもしかしたら今回の地震と関係していたと思います。また、地震の前日(10日)には、空に変わった細長い雲が浮かんでいて、自分なりに「龍みたいだな」と思った記憶があります。空はよく見上げているので、時々そういうことはあります。ただ、それを地震と結びつけることまではできず、人間の智慧も能力も、自然の力にはかないません。
それでも、今もこうして命をいただいて、日々修練をさせていただけることに、心から感謝したいと思います。日本だけでなく世界(地球)も含めての大転換が始まったことは、もう目に見える形となって、理解しました。その中で命をいただいている者としての使命は、一人ひとりが自分自身の心を洗い、明るく元気に、一歩を踏み出すことだと思います。資本主義的な競争主義がもたらした社会の結果が、今このような形で出たわけですので、もうこれからは東北地方のみならず、全国、全世界で「復興」「改革」の始まりです。
今、生かされている私たちは、そのような意識を持って、日々の生活や仕事に向き合い、常に明るい考え方で、小さな改革を始めることだと思います。先ずは人心改革。自分自身の心を洗い、思いやり、優しさ、互助の精神で生きる。そうすれば、また神風が吹くかもしれません。アインシュタインが「人類は日本という国をあることに感謝するだろう」という内容のメッセージを残しましたが、まさに今、それが始まったと感じます。自らが先ず大きな痛手を負いながら、そこから美しい助け合いの精神と素晴らしい技術で復興を遂げ、さらにはまったく新しい文明を造りあげていく(であろう)日本の姿を見て、全世界は驚嘆し、きっと後に続くはずです。その中では、私たち(&私たちの子どもの世代)一人ひとりが主役です。
そして建築業は、どのような時代になっても無くなりません。「衣食住」は人間にとって必要不可欠なものだからです。すべての人が(あらゆる意味で)安心して住むことができる住環境を整備して行くことに、丸二は全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。その鍵は、「ルネス(逆梁)工法」「外断熱工法」「パワー・コンクリート工法」を取り入れた「鉄筋コンクリート造り」であり、非常に強度が高く美しい色合いの伊勢神宮(式年遷宮)の御用材「加子母ヒノキ」や健康壁材「ダイアトーマス」です。これらの工法や素材を徹底して生かし、新しい建築文化を築いていきたいと思います。

前進あるのみ

福島原発の状況がなかなか改善せず、放射能の濃度が高くなってきたとのことです。実際どのようなことが現場で起きているのか・・・テレビやニュースだけでは、よく分かりません。もうここまで来たら、正しい(分かりやすい)情報を出して、早く行動することだと思います。必要以上の過度で大げさな表現はもちろんダメですが、正確な事実と対処方を出して、あとは国民の理性的な判断に委ねるしかありません。日本人の大勢は、大丈夫だと思います。
今日、いくつかの工事中の現場をまわりましたが、街も駅も本当に静かで、ひっそりとしています。計画停電や交通の不安定さもあると思いますが、今は一人ひとりが落ち着いて、いろいろと考えながら、状況に応じた立ち振る舞いをしているように感じます。テレビのニュースキャスターたちの過度な説明や評論をちゃんと差し引いて(聞いて)、冷静に事態を見届けていると思います。
後は、多少の不便さや今までとは全く違う生活習慣(あるいは健康管理)に慣れながら、共に新しい社会を造ることだと思います。先ずは、原発を無くすことです。計画停電によって「原発が止まると大変だ」という印象を持ったのは事実です。でも、だからと言って「やっぱり原発は必要だ」とは(絶対に)なりません。二度の原爆を受けた日本が、三度目の今度こそは、本当に安心・安全な社会、国家、世界を造るためのリーダーとなるべきです。その資格を持っているのは日本しかありません。
そう考えれば、これからやるべきことはいっぱいあります。テレビやニュースの情報に振り回されることなく、もっと自然で本質的なことに視点をおいて、安心して、世の中に役立つ取り組みを積み重ねて行くことだと思います。丸二としても、「家具の転倒防止」から「耐震補強」等の今後に備えた対策、加子母ヒノキの健康エコ住宅(&リフォーム)、「地震・津波・強風・電磁波・放射能」等に強い鉄筋コンクリート住宅・マンション・コーポラティブハウスの強化。このような時だからこそ、勇気と元気を持って、人々の安心・安全のために、前進あるのみ。そういう精神力さえあれば、全ての物事は解決していくと思います。東北地方の被災された方々に負けないように、がんばります。