社長ブログ

映画「街の灯」と般若心経

チャップリン.jpg
スカパーで録画した、チャップリンの名作「街の灯」を見ました。昔、何度も見た記憶がありましたが、各シーンを断片的にしか覚えてなく、今回あらためて全体像を理解することができました。本当に素晴らしい作品です。チャップリンの動作や表情は見事で芸術的。現在のお笑いタレントさんに、ぜひ見てもらいたいものです。命をかけた芸と、世間に迎合するための小手先のセンスとの差は、もう歴然としています。
物語も楽しく、愉快で、深く、そして悲しい・・・。盲目の美しい花売り娘のために、わが身を捨てて、目を治すためのお金を得ようとする浮浪者チャップリン。何とかお金を娘に渡せたものの、自分は警察に御用となる。そして最後の有名なシーンは、もうどうしようもなく、微笑みと悲しみが交錯する真実の瞬間。
娘は、目を治すためにお金を出してくれたのは、きっと紳士のお金持ちと想像していたでしょう。その彼女の眼の前に現れた、出所してきたばかりの浮浪者チャップリンは、彼女の目が治ったことを知り、心から喜び、微笑み、そして立ち去ろうとします。娘は、このかわいそうな浮浪者に花を一輪あげますが、その時触れた手の感触、服の感触、そして顔の感触・・・。
「この人こそが、あの人」と知った時の、彼女の何と複雑な表情。この世の全ての人間が持っている「何か」が、私たちの心を突き刺します。そして、チャップリンの嬉しくも悲しい無垢なる表情のアップのまま、この映画は「完」となります。
そこには、何か・・・般若心経の「色即是空、空即是色」の世界を感じます。見えるものは「空」であり、見えないものこそが「実体」であると・・・。目が見えない(満たされていない)時、心は清らかに光り輝き、本質(実体)を捉えることができる。でも、目が見えるようになると(満たされると)、本質(実体)が見えなくなる。ここに、この世が修練の場として存在しているという、道理の世界を感じ取ります。
この「完」の後、彼女はチャップリンにどのような気持ちで、どのように話したのでしょうか。それは、見終わった私たち一人ひとりが、彼女に成り代わって、考えるべきことなのかもしれません。ただひとつ言えることは、そこにこそ「真の幸せとは何か」という永遠の問いに対する答えがあるように感じます。

友人が指揮者に!

ゴールデンウィークの最終日の5月5日、中学校時代の友人が初舞台を踏むコンサートを、仲間たちと見に行きました。どのような初舞台かというと、なんと「指揮者」としてです!もともと音楽好きでピアノが弾けるとは言え、実際のオーケストラの指揮をすることなど、普通では考えもつかないことです。
でも彼は永い間、仕事をしながら指揮法の勉強をして(教室に通って)、とうとうフルオーケストラを前に、モーツァルトの交響曲第40番ト単調を振る機会を実現しました。「思いは通じる」「思いは実現する」と言いますが、実際にこのように一人の友人が夢を達成した姿を目の当たりにすると、(驚嘆とともに!)心から「おめでとう!」という気持ちでいっぱいになりました。
このコンサートは、日本の指揮法指導の第一人者である(サイトウ・キネン・オーケストラで有名な)斎藤秀雄氏に師事した、村方千之氏の主催によるもので、村方先生の生徒さん達が、日頃の成果を発表するものです。彼は、その発表会のトップバッターとして、モーツァルトを振りました。そして、とても素晴らしかった。
指揮法の基本をマスターしたこともあり、その姿はとてもシンプルで無駄がなく、余計な動きや大げさな表現を抑制し、自らの存在を消して、ただ音楽そのものだけを浮かび上がらせようとする、真摯で謙虚な姿勢を感じました。音楽自体もそれを受けて、とても素直で快活で、でも温かい悲しみに満ちたモーツァルトの40番らしい美しい調べとなって、会場に響き渡りました。
もちろん彼はプロではないし、しかも初舞台で、思うようにいかなかった部分もあったのかもしれません。それでも、終了後の彼の達成感で一杯の表情を見て、「なんてかっこいいのだろう」と感激しました。
夢を実現するには、「ワクワクしてやることだ」と言います。きっと彼は、自分自身がワクワクすることだけを、淡々と続けているのかもしれません。まわりの人がどう言おうと、どう感じようと、自分自身がワクワクすることをし続ける。そういう精神力の強さこそが、人生をより豊かに楽しくするのではないでしょうか。
ところで、彼の指揮姿がとてもシンプルだと書きましたが、往年の有名な指揮者の古い映像等を見ると、実は本当に動きが小さくて、静かな指揮ぶりであることを発見します。例えば、とても大きな音響の部分などを聞くと、さぞかし指揮者も大きく振りかぶったり、飛んだり跳ねたりしているのだろうと想像してしまいますが、実は指揮棒がほんの少し動くだけだったり、顔の表情だけで音を出しているようなこともあります。
クナッパーツブッシュという変わった名前の指揮者(昔のとても有名な大指揮者です)の白黒の映像を見ると、腕を少し前に出すだけで、オーケストラから「グァー!」という大音量が響き出ます。何というか、テクニックではない、精神の音なんですね。音楽とは不思議なものです。

社内結婚@武蔵野アンナ教会

先日、素晴らしい天気の日に、社員同士の結婚式がありました。当社のような小さな建設会社で、しかも女子社員が(最近、増えてはいますが・・・)まだ多くはない状況の中、このような社内結婚が生まれたことに対し、心から嬉しく思います。パーティの席で、祝辞を述べさせていただきましたが、その際、「丸二」という社名の縁起の良さに、我ながら、あらためて気づくことができました。
二人が交換した結婚指輪は、「丸」です。その「丸」と「丸」が結ばれて、二つの「丸」(丸二)になります。また二つの「丸」がくっつくと、無限大(∞)で、お二人の幸せが無限に無限に続くでしょう・・・と、話しました。
祝辞の最後に、「二つのありがとう」についても話しました。ひとつは、二人が丸二に入社してくれたことに、ありがとう・・・。もうひとつは、二人が丸二に入社することを、ご両親が許し、認めていただいたことに、ありがとうございます・・・。そのような感謝の縁のひとつひとつが、偶然に(本当は偶然ではないのですが)結び合って、今日の日があるのだなあと、考えさせられました。
丸二という会社が目指すものは、お客様への貢献と社員の幸せという二つの側面があります。これも二つの「丸」となって、無限大に成長発展していくものです。最近の落ち着かない天候の中で、珍しく大晴天となったこの吉日に、理念の再確認ができました。お二人の末永いお幸せを祈り、心からお祝いいたします。
尚、今回の結婚式の挙式は、丸二で設計・施工させていただいた「武蔵野アンナ教会」にて行われました。武蔵野市にあるとても素敵で美しいチャペルです。住みたい街ナンバーワンの吉祥寺で結婚式を挙げたい方は、ぜひ「武蔵野アンナ教会」をご利用ください。きっと最高のウェディングを演出していただけます。よろしくお願いいたします。

林野庁長官、関東経済産業局長と!!

昨日は、「丸二・加子母森林組合」による農商工連携事業の一環として、農林水産省・林野庁長官、島田泰助様と経済産業省・関東経済産業局長、高原一郎様を囲む座談会を、霞が関の林野庁長官室にて行わせていただきました。
林野庁 大.jpg
とにかく、林野庁長官、並びに関東経済局長とお会いできるだけでも大変なことで、その上、今回の丸二・加子母森林組合のプロジェクトに対する座談会まで行っていただいたことに、心から光栄に思い、感謝の気持ちでいっぱいです。
厳しい環境の中にある国内の林業ですが、その中で、日頃から積極的かつ前向きな活動を行っている加子母森林組合に対する高い評価が、このような機会に結びついたのだと思います。本当に素晴らしいご縁をいただき、心から感謝したします。
この座談会の模様は、今回の企画・進行をしていただいた環境情報誌「オルタナ」編集長、森氏によって記事となります。掲載号が発売されましたら、ぜひ皆様にご覧いただきたく、よろしくお願いいたします。
また、ちょうど17日の日経新聞にも、「国産材利用で林業再生」という記事が大きく載りましたが、まさに日本の林業再生は、国策としても、地球環境の保全としても、CO2削減のためにも、極めて高い優先順位に位置していると思います。
森を美しく守るためには、間伐と植林がバランスよく行われなければなりません。しかしながら、木材供給量の内訳が、外国材76%で国産材24%という現状では、間伐することもできず、さらに森は荒れていくでしょう。適度な間伐をしながら、森の中に光を入れていかない限り、国土の70%を占める日本の素晴らしい資産、森と山は、荒廃と化してしまいます。
山が荒れれば、森に生息する動植物や微生物もいなくなり、川や海を汚すことにも繋がります。もう本当に待った無しの状態で、早めに手を打っていかなければなりません。そうしないと、この日本の美しい、素晴らしい生態系が壊れていくことにもなりかねません。
国としても、このような現状に対して、大変な危機感を持っていて、この24%の木材自給率を50%まで引き上げる方針を打ち出しました。それを実現するためにも、山の環境整備、山道整備、物流整備等が急務なのですが、やはり財政難が大きな障害になっています。
そのような状況の中で、農商工連携事業のひとつとして、林業との連携という希少なプロジェクトが生まれたことが、林野庁にとっても大きな出来事だったようです。そのような経過の中で、今回の座談会が企画・開催されました。
丸二・加子母森林組合の連携体による、加子母ひのきの家づくりは、まさに今始まったばかりです。でも、この流れは必ず大きな渦となって、成長発展していくでしょう。森が守られ、動植物も喜び、国土が豊かになる。そして、人々の住環境も良くなる。
また、第一次産業が元気になれば、失業率も改善され、社会ももっと温かくなる。そして、日本の美しい自然を資産と捉えた観光立国も実現できる。環境、経済、生活のすべてに対してプラスである以上、私たちは積極的かつ前向きに、本事業に取り組んでいく所存です。
また、「加子母森林一泊バスツアー」も、昨年は10月と11月の2回開催し、キャンセル待ちが出るほどの反響をいただきましたが、今年も5月29日(土)~30日(日)、7月10日(土)~11日(日)、9月11日(土)~12日(日)、10月23日(土)~24日(日)の計4回を予定しています。一泊二日という短い時間ですが、伊勢神宮の御用材である加子母ひのきの山に入り、木の伐採現場を見て、山の現状を知ることは、とても重要なことだと思います。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお申し込みをお願いします。
昨日は、島田林野庁長官様と、高原関東経済産業局長様から、たくさんの貴重なお話をお聞きすることができ、とても有意義で素晴らしい時間をいただきました。本当に、ありがとうございました。このような大変ありがたい機会をいただいた分、しっかりと責任を果たしてまいりたいと思います。

「のだめ」や「V6」を見て、思ったこと

最近、映画のCMが流れている「のだめカンタービレ」等のヒットで、最近クラシック音楽に対する人気が少しずつ上昇しているようで、私のような(数少ない)クラシックファンにとっては嬉しい限りです。よく考えてみると、18世紀から19世紀に創られた芸術が、21世紀の今になっても継承され、楽しまれているということ自体、とても考えられないことです。おそらく作曲した当人たちも、自分の作品が100年とか200年先の未来において、未来人たちに弾かれたり聞かれたりするなどと、夢にも思わなかったことでしょう。どちらかというと、多くの作曲家たちは、不遇で、経済的に豊かでなく、様々な厳しい境遇にいたはずです。でも、そのような過酷な人生の中から、不屈の魂の叫びや、美しい天上の調べが創造されたが故に、人類の遺産にまで昇華したのかもしれません。
ひるがえって昨今における様々な分野から生まれ出てくる作品はどうかと言うと、確かに今の時代を華やかに彩ることはできても、22世紀や23世紀まで生き残る「芸術」にまで成り得るものは・・・ほとんど無いと言って良いでしょう。すべてが自由経済という、「お金」を第一にまわっていく現代においては、芸術・芸能もビジネス化しなければ継続できないという現実がそこにはあります。つまり・・・「今すぐ」「極めて多くの人に」受け入れられる商品でないと、相手にされないわけです。時間をかけて、未来に向かって、評価されていくであろう真の芸術たちは、表舞台に出ることさえ難しいのです。
そのかわり、「今すぐ」「極めて多くの人に」受け入れられる作品を提供するアーティストたちは、ビジネス的な成功をおさめて、極めて豊かな生活を謳歌しながらも、次から次へと作品を生み出さなくてはならない悪循環に入っていきます。誰かの売上のために、誰かの利益のために・・・。経済的に豊かになって、逆境の時代には溢れるほどあった(初期の素晴らしい作品を生み出したであろう)インスピレーションも枯れはじめ、ただ時代の猛烈なスピードに合わせるためだけに、作品を羅列し、消費されていく。そして才能も消費されていく。これでは、22世紀や23世紀まで遺すどころか、自身の人生が終わるまで持たせることすらできない状況なのかもしれません。
この世の中にある自然や芸術への関心は、いつの時代でも高い次元で存在していますが、どのような経済体制の中でも、そのような才能、創造力を持った人材に光が当たる社会にしていかなければと思います。優れた芸術作品は、直接「天」と結びついて創造されているはずですから、そこからは何かしらのヒントがあるように思います。たったひとつの音楽からでも、生き方、意識の持ち様、楽しい気持ち、ワクワクした感情、新しいアイデア、すばらしい人間関係の創り方等の叡智が聞こえるかもしれません。
いま、確かに世界の経済は大変な状況にありますし、どんどん経費削減に向かっていくとは必至です。でも、その国の文化や芸術を守り、さらに新たな才能を生み出すことに対して、積極的にならなくてはなりません。最近「V6」というジャニーズのタレントたちが、日本全国の名産品を探して食する番組をやっていましたが、日本の各地には素晴らしい食産物があり、それを生のまま、あるいは焼いたり、煮たり、茹でたりして、おいしく食べられます。このような自然という最大の資産があるのですから、本当にみんなが安心して、コストを掛けずに暮らせる社会は、多分できるはずだと思います。安全に、その国(土地)で採れる自然のものを食べて、スローに生きて、そしてみんなで才能を持った人たちをサポートしていく。そういう心の余裕が、次の時代・次の世紀を創造していくと思うのです。
建築も、ひとつひとつが、芸術です。住む人の、考え方や精神性を映し出すオブジェです。街とは、家や建物という芸術作品が建ち並ぶ無料の美術館であり、テーマパークです。そのような意識を持って、住まいを建てたり、ビルを建てることも、これからは重要でしょう。美しい街並みは、美しい心をつくり、美しい考え方を生み出します。建築は、まさに100年以上の時間、存在し続ける芸術です。だから、これから始まる本当にスローな時代こそ、建築に花が咲く時代だと思います。

中学校時代、あれこれ

昨夜は、中学校時代の友人たちと、いつもの飲み会でした。年、数回集まりながら、いろいろな事を話しつつ、各自の現状を面白おかしく理解し合い、とても刺激的で楽しい時間です。今回も6人が集まって、たくさん笑って、たくさん飲みました(私は少量)。
友人と会って、お酒を飲んで、いっぱい笑い合える幸せは、他の何よりも勝ります。話題も当時の話に加えて、「今」から「未来」へと向かい、それぞれ人生観や生き方も垣間見ることができ、単なる同窓会ではないところが大きな魅力なのです(幹事さんに感謝です)。
自分自身の中学校時代を振り返ると、まさに遠い過去のことで、本当に忘れ去ってしまったことが多いのですが、この地元の公立中学校に通うありきたりの毎日から、きっと何かしら大切な智慧のようなものを体得できていたのかもしれないと、最近ふと思います。
特に私は、おとなしくて、口数が少なくて、目立たなくて、インパクトがなくて、勉強も運動も中くらいで、高校入試も補欠合格という何となく中途半端な人生を歩んでいた時期で、もう少し時代が違っていたら、いじめにあっていたかもしれないような性格だったように思います。
でも、幸いなことに、私のまわりにいた友達たちは、頭のいいグループもワル系グループも、みんなが良いつながり感を持っていて、私のような「居るか居ないか分からないようなヤツ」の存在も、きっと許してくれていたのでしょう。結局、これがあるべき社会の理想形であり、この経験が大人になって役立っているような気がします。
どのような組織も会社もチームも、そのトップの考え方等に対して、2割の人が協力的で、6割の人がニュートラルで、残りの2割の人が批判的と言います。これも自然の摂理によるバランスで、変えようのない道理ですね。ただ、この飲み会の仲間たちに共通しているのは、愚痴や不平・不満を言わないことです。とにかく前向きで、明るくて、楽しい。きっとそれぞれが、それぞれの世界の中で、「協力的な2割」の中にいるのだと思います。
さて、中学校時代と言えば、映画に熱中し始めた時期で、結局その思いは大学時代での映画製作につながっていくのですが、当時の映画と今の映画を比べてみると、やはり映画作家の「熱」の違いというものを感じます。
例えば映画のファーストシーン(ファーストカット)に対するこだわり感のようなものが、今の映画からはあまり感じられません。つまり物語の説明上、わかりやすいファーストシーンから始まるだけで、そこにはこの映画を象徴する暗示なり、予感なり、メッセージは無いのです。昔の映画には、最初のシーンやカットに対する異常なまでのこだわりがあったような気がします。
フランシス・コッポラ監督の有名な「ゴッドファーザー」のファーストシーンは凄いです。ゴッドファーザーに対する相談者の顔のアップから、ゆっくりと絵を引いていき、マーロン・ブランドの後ろ姿、黒い頭と手が画面に入ってくる。その数秒感の緊張が、これからこの映画で語られる世界の背景、深さ、怖さ、異常性を表現しているように感じるのです。
また、ラストシーンも同様に、同じ部屋で終わるのですが、ゴッドファーザーを継ぐことになった三男のアル・パシーノが部屋にいて、その妻が部屋の外にいて、その部屋のドアが閉められるシーンで終わりますが、最後は妻のアップで、閉められる黒いドアが画面を覆い、妻と新しいゴッドファーザーを遮断します。これでエンドロール。どういう意味か・・・、言葉では語り尽くしない現象と心情がそこにはあります。
時代は変わってきました。いろいろな分野で・・・。中学校時代の友人たちも、間違いなく変わってきています。なので、私ももっともっと良い方向に変わっていきたいと思います。そして、これから始まる新しい価値観の時代に、(今度は補欠でなくて!)堂々合格したいものです。

新入社員へのメッセージ

4月に入り、新年度の始まりです。丸二の場合は12月決算ですので、1月1日が新年度のスタートとなるのですが、やはり4月1日もひとつの大きな節目です。それは・・・新入社員さんが入社する時期だからです。
おかげさまで今年も2名の新入社員さんに入社していただきました。これで6年連続の新卒採用です。丸二のような決して有名ではない小さな会社に、勇気を持って飛び込んできてくれる若い世代の方々がいるということは、本当に嬉しいことですし、感謝すべきことですし、さらに気が引き締まる思いです。
今年は二人とも女子で、設計と営業に配属される予定です。このように、社内に女子社員さんが徐々に増えてきましたが、これから建築の世界は、女性の感性、温かさ、優しさ、生活感がさらに重要になっていくでしょう。ぜひ、丸二に吹いてきた暖かい風に乗って、自らが「帆」となって、共に大海を悠々と進んでください。お客様の幸せと、会社の発展と、自分自身の夢の実現が共生する世界を目指して・・・。
そして、何があっても、良い方向に考えて、前向きに進むことです。毎日、1mmでもいいのです。太陽が昇る方向に船首を向けて、少しずつ進めばいい。ただ「最善の住環境」を、お客様にご提供することだけを考えて、誠実に生きていけばいい。共感する気持ちを大切にして・・・。そうやって、ひとつひとつの波を乗り越えていきましょう。自分や他人の良いところを見つけて、協力し合って、励まし合って、いい気分で進みましょう。
社会は今、大きな激変の中にあります。そういう意味で言うと、波は高く、航海は大変でしょう。でも、だからこそ、面白い時代です。自分の力を磨くには最適の時です。一緒に、お客様の住まい、事業、生活がより良くなるよう、最善を尽くしていきましょう。
4月という月は、私も、社員さんたちも、新たな気持ちなる時です。ここで、あらためて丸二の目指すべき方向を確認しあって、本物の建設会社になっていこうと思います。お客様に感謝をして、社員さんに感謝して、自然界の恵みに感謝をして・・・。

「経営革新計画」の承認

このたび丸二は、東京都の審査による「経営革新計画」の承認を受けることができました。「経営革新計画」とは、国(中小企業庁)が、経営革新に積極的に取り組む企業を特別に支援するためのもので、その対象としては、「新たな取組み」によって企業の事業活動の向上に大きく貢献する革新的事業となっています。この「経営革新計画」の承認を受けることは、経営理念の社員との共有化や経営目標の明確化にも寄与します。
ポイントは、「新たな事業活動」ということで、丸二の場合は、「建築医学に基づく無料診断システム開発による経営革新」というテーマで申請し、おかげさまで今年の1月25日付けで、東京都からの承認を受けました。これは、丸二が現在取り組んでいる「建築医学」という技術を、よりシンプルに分かりやすくシステム化し、各ご家庭の住環境を数値で評価するもので、このような診断サービスを無料で提供しようとするものです。
例えば、室内の明るさ、色、香り、騒音、温度、ホルムアルデヒドの量などの測定を行い、それが人間と脳と心と体に与える影響度を計算し、その結果と提案をビジュアルな診断シートでご提供するような中身になります。このような診断を受けることで、自分自身の住まいの環境が、良好なのか、不快なのか、を客観的に掴むことができ、またそれが家族の生活にどのような影響を与えているのかを理解することで、具体的な改善策も出てきます。
住環境が人に与える影響は、とても大きなものがあります。住まいと病気との因果関係を、いま多くの医療関係の方々が研究を行っており、それらが「建築医学」として体系化されつつあります。その根本的思想は、現在の医学のような「病気を治す」という発想ではなく、その逆で、「病気にならない(なりにくい)環境をつくる」・・・つまり「予防医学」「未病医学」という捉え方なのです。
住環境を整えることで、人間の脳や心や体は、無意識に反応し、良い方向性に向かいます。それならば、そのような良い影響を受けられる環境を住まいにインストールしてはどうかという発想で、予防医学と建築が結びついたのです。この考え方を普及啓蒙することは、病気になる原因を少なくし、病気になる人を少なくし、国の医療費を削減することに繋がり、人々が健康で元気で長寿になれる社会をつくることに結びつくと思います。
この「建築医学に基づく無料診断システム開発による経営革新」というテーマは、そのような社会をつくるためのひとつの地道な取り組みであり、これから丸二が大きな夢を持って取り組んでいくものです。今後、具体的なシステム開発を進めていきますので、適時ご紹介をしてまいります。
※音楽が環境を変える
住環境の改善の中で、「音楽」の役割も大きいと言われています。音楽は音の波動であり、その空間の空気や物体を、物理的に振動させていますので、明らかに空間に作用しています。良い音楽を聴くことは、自分自身の心と体を心地よく振動させるのと同時に、その住空間にある空気、水、植物、家具、建築素材も振動させていることになるのです。
ですので、もし家を留守にする時、小さな音で音楽を流したままにしておくと、家に帰った時に、とても気持ち良く感じます。普通であれば、誰もいない家に帰ると、空気が死んでいる・・・、淀んでいる・・・ような感じがして、なんとなく嫌ですよね。音楽を流しておくと、それが無くなります。良い音楽、住環境が喜ぶ音楽を聴いて、自分自身だけでなく、住まいも元気にしてみませんか?
今年の5月から、そのような住まい環境についての様々なお話を、お茶を飲みながら気楽にやりましょうということで、「(仮称)風水生活セミナー(茶話会)」を始める予定です。風水と言うと、占い的に聞こえてしまいますが、本当は環境を整えるための調整技術で、とても面白いものです。このセミナーにつきましても、あらためてお知らせいたします。
セル.bmp
ライヴ・イン・東京1970(モーツァルト:交響曲第40番、シベリウス:交響曲第2番、他) 
セル&クリーヴランド管
さて、良い音楽の代表選手と言えば、モーツァルトです。私が好きなモーツァルトのCDはこれ。以前紹介したCDと同様、これも日本での来日公演のライブです。交響曲第40番ト短調は、モーツァルトの代表的な名曲で、特に「ト短調」という調性は、モーツァルトの音楽の本質を衝いた「悲しみは疾走する。涙は追いつかない」という表現を最も感じさせるものです。軽快で、この世のものとは思えないくらい美しいのに・・・なぜか悲しい。そんな演奏です。

加子母森林組合が「森林認証」を取得

今日は、ブログをもうひとつ。丸二が経済産業省の「農商工連携事業」の認定を受けて進めている「加子母ひのきの産地直送住宅」ですが、おかげさまで多くのお問い合わせをいただくようになりました。やはり本物の木の家に暮らしたいという方々は多く、日本人の自然志向というDNAは、絶対に無くならないものだと感じています。むしろ、エコ・環境というトレンドの変化に敏感に反応して、いま出来うる最善の住環境を造りたいというお客様が増えつつあると感じます。
「加子母ひのきの産地直送住宅」のコンセプトは、実際に岐阜県・加子母に行き、そこで森林体験を通じて、山の実際を理解するところから始まります。日本は森林の国であること・・・、木を間伐して、森に光を入れていかないと、山が荒れていくこと・・・、今の日本の木材自給率は20%で、80%が外国産であること・・・、国産材が使われず、日本の美しい森が荒れ始めていること・・・。このような現状を認識して、国産の天然木を使うことが、いかに日本と地球の環境を守ることにつながるかを学びます。
また、「地産地消」という考え方から言っても、日本人が日本の木を使い、同時に植林をして、森を持続・循環させていくことも大切です。日本人には、やはり日本の木が一番ですね。これが、自然の恩恵に感謝して、再び自然界に還元していく道理ではないかと考えます。また、加子母ひのきは、伊勢神宮の御用材としても有名で、日本人の精神性のルーツでもあります。よって、加子母ひのきで住環境を造ることは、日本の森を守ると同時に、家族の心と体を護ることにもつながります。
さて、その加子母ひのきの産地である「加子母森林組合」が、このたび「緑の循環」認証会議(SGEC)の森林認証(NFEA-035)を取得いたしました。これは、日本の森林・林業の活性化に向け活動している公益法人である「社団法人:全国林業改良普及協会」が審査したもので、森林が適正に管理されていることを中立的な第三者が客観的に評価し、社会にその価値を認めてもらう制度です。持続可能な森林管理を通じて、森林環境の保全と循環型社会の形成に貢献することを目的とする「緑の循環」認証会議に認められたということは、とても重要です。
この「緑の循環」には、7つの基準があります。①認証対象森林の明示およびその管理方針の確定②生物多様性の保全③土壌および水資源の保全と維持④森林生態系の生産力および健全性の維持⑤持続的森林経営のための法的、制度的枠組み⑥社会・経済的便益の維持および増進⑦モニタリングと情報公開・・・このような厳しい条件をクリアーしないと認定を受けることが出来ません。まさに、「正直・安心・安全」の時代に入りました。
木造住宅の構造材・内装材、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の内装材に、加子母ひのきを活用してください。それは、住環境に優しさと温かみと精神性を与え、家族を護り、日本の森を守り、地球環境を救うことに結びつきます。

賃貸併用住宅の時代

住宅着工件数が80万戸まで落ち、また今後の景気回復への見通しも見えにくい経済環境の中ですが、「家を建て替えて、賃貸経営もしたい」という潜在的なニーズはむしろ高まりつつあるように感じています。先行きが見えない状況の中だからこそ、安定的かつ持続的に家計を助ける収入(=家賃収入)の確保というテーマが重要になってきたからです。家の建て替えと収入の確保を両立させる「賃貸併用住宅」という選択肢が広がりを見せています。
同時に、最近流行の「おそうじ風水」のような、住まいの環境美化に対する問題意識も芽生え始め、キレイで快適な住環境にしないと、経済的自由を得にくいという統計学的な現実を知ることが、(無意識にですが)住まいのリフォームや建て替えニーズを後押ししていると思います。そう考えると、先行き不透明な時代の中で、自らの経済力を高めることを目的とし、家の建て替えやリフォーム需要が喚起され、それが景気を刺激していくことにつながれば、世の中をさらに元気にするひとつの方向性が見えてくるのです。「賃貸併用住宅」には、個人の将来への不安を解消すると同時に、社会全体を明るくする力があると思います。
ただ問題は、「どのようにして建て替えればいいのだろう・・・」という中身です。賃貸併用住宅は、自分自身の住まいと賃貸部分をひとつの建物にする形態なので、構造的には鉄筋コンクリート造にし、音やプライバシーの問題に対応しなければなりません。また、将来に向かって永続的に入居者を確保するために、入居者が喜ぶ仕様・・・例えば床下収納がある、上下階の音がしない、デザイン性や間取りがいい、健康的で室内空気環境が気持ちいい、エコで省エネ効果が高い・・・等のメリットが大切です。加えて、メンテナンス費用の軽減も重要です。
そのように考えると、ルネス工法外断熱工法による「賃貸併用住宅」は、これからの時代、最もニーズに適した建築になるのではないでしょうか。「キレイで快適な住環境+家賃収入」が、自らの経済を助け、かつ社会貢献に役立つのであれば、これからの大きな選択肢のひとつになってくるでしょう。チェンジの時代にはチャンスがあります。建築は、これからが面白いです。