社長ブログ

異彩を放つ

丸二は、本日が仕事納めです。この一年間を無事に過ごせた感謝の気持ちを込めて、先程、地元の氏神様に御礼の挨拶をしてきました。確かに世の中は、厳しい経済環境の中ではありますが、丸二は本当に多くのお客様に支えられて、今年も良い一年を終えることができます。心から感謝です。来年は2010年と言うことで、21世紀に入って10年目の節目の年。きっと、いろいろな出来事が起きるでしょう。でも、それは天体の動きの巨大なサイクルの節目であり、次の新しいサイクルに入るためのゲートを通過するようなもので、とても清清しい気持ちがします。このような時代の大きな転換点を経験できることは、きっと幸福なことなんだろうと感じます。
来年から、建築のあり方も大きく転換していくと思います。現在工事中の「小石川エコビレッジ(スクワーバ見樹院)」は、「天然住宅」で持続可能な社会づくりをリードする相根昭典氏のプロデュースで、本格的エコロジー・マンションであり、100年定期借地権によるコーポラティブハウスであり、寺院(見樹院)との複合住宅でもあります。また、丸二が取り組んでいる岐阜県・加子母森林組合との連携による総ひのきの家づくりも、徐々に軌道に乗りつつあります。RC(鉄筋コンクリート造)での外断熱工法やルネス(逆梁)工法も、お客様の方からリクエストが来るようになりました。数年前とは大きく変化してきています。
また、住まいのリフォームの件数も増加中で、現在では毎月100件以上のお問い合わせをいただけるようになりました。どのような小さな仕事でも、本当に誠心誠意の気持ちで対応し、総てのお客様のお役に立てる、小回りのきく建設会社を目指しています。その中でも、健康素材を活用したリフォームのニーズも増えてきていて、時代の変化を強く感じます。来年の干支は「寅」ですので、勇ましく、丸二の取り組みを世に出していきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
さて、最近聴いたCDで良かったのが、バルビローリ指揮/ベルリン・フィルによる「マーラーの交響曲第3番(1969年ライブ)」です。マーラーの音楽はとても先進的で、当時の人々にはすぐには受け入れられなかったと聞きます。しかしながら、マーラー本人による「いずれ私の時代が来る」という言葉どおり、今やクラシック音楽の頂点を極めています。多少難解で、風変わりな音楽ですが、「今までに聴いたことが無い」「その先にも無い」、そういうオンリーワンの異彩を放っています。今のような時代に必要なのは、まさにこれだと思います。

9から0へ

師走に入って、いつものように、何となく慌しく感じられる年末が近づいてきました。一年間の整理と新年への展望等が交錯しながら、ひとつの大きな区切りを超えていく瞬間が大晦日であり、あるいは元旦ではないかと思います。自然科学的に言っても、地球が太陽のまわりを一周して戻ってくるわけですので、実はとても巨大な出来事のような気がします。もし何かの都合で、この天体の運営システムがちょっと故障してしまい、復旧に時間が掛かり、大晦日までに地球が元の位置に戻らなかったら・・・大変ですね。でも、ちゃんと戻ってくる。人間が管理している鉄道とは、システムのレベルが雲泥の差です。
ただ、これからも永遠にそうなのかと言うと・・・実際、分からないのではないかと思います。今、「2012」という映画が公開されていますが、マヤ暦が2012年12月21日までしか書かれていないということもあり、以前から様々な憶測や予測が出ているのは事実です。昨今の地球温暖化に対する緊急対策も、そのような背景が影響しているはずです。しかしながら、本当に映画「2012」のような、地殻の大変動が突然起こるとも思えず、多分きっと・・・少しずつ・・・何かが(大きく)変わっていくのでしょう。
そう考えると、これからの経済や自然界の大変化は、誰もが未体験ゾーンに入るようなもので、確かな予測もできないでしょうし、具体的な特効薬も出てこないでしょう。だから、いつか誰かが守ってくれるという幻想から、いち早く脱却して、自らを救い、他者をも救える自分自身を確立するしかないと思います。そのためには、やはり、心を磨くことしかありません。そして、「環境+衣(医)食住」の改善です。
バブル時代を経て、様々な新しいビジネスやカテゴリーが生まれてきましたが、これからは、本当に人間にとって必要なものしか生き残れない時代になると思います。それは・・・自然環境を守ることと、「衣(医)食住」を改善していくことに関わることです。つまり、この素晴らしい自然の中で、人間が幸福に生きていくための本質に肉薄していく分野ではないかと感じます。
人間は、体に良い服を着て、体に良いものを食べて、体に良い環境に暮らし、体に良い医療を受けられれば、まず外側は整います。そのために、豊かな自然環境も必要です。と同時に、心を磨き、脳を開発し、徳を積み、最善を生きるというような内側を整えることも、同時に重要です。丸二は、主に、「体に良い環境に暮らす」という部分にコミットメントしていますが、私たち一人ひとりも、内面を鍛えることを意識し、実践をしていかなければいけません。
このような方向性の中で、少しでも次の新しい時代に相応しい人造り、会社造りができるよう、(まだまだ未熟で発展途上ではありますが・・・)丸二は挑戦を続けています。それは、私たち一人ひとりが、自立して、他者のために貢献できる人間になるためです。そのような人間が、これから数多く増えることを促すために、社会も、経済も、自然環境も大きく変化しているはずです。だから、決して人類が困るようなことが突然起こることは無いでしょうし、むしろ、そのことに気づくための多くのシグナルが出されているのではないかと思うのです。
さて、年末と言えば、「第9」ですが、クラシック・ファンの私にとっての第9は、有名なベートーヴェンの第9「合唱」ではなく、マーラーとブルックナーの第9です。ベートーヴェンの第9を「人類」としたら、マーラーの第9は「精神」、ブルックナーの第9は「宇宙」という感じですね。マーラーもブルックナーも、ベートーヴェンと同じく、完成された交響曲は第9までしか書けませんでした。このように、多くの作曲家が「9」という数字で最後を迎えたわけですが、そういえば、今年は「2009」です。そして、来年は「2010」です。多分、新しい時代の始まりだと思います。年末は、マーラーとブルックナーの第9でも聴きながら、大いなる感謝の心を持って、一年間の地球一周旅行(?)の無事帰還と、新しい時代の誕生を夢見ようと思います。ちなみに私が好きな盤は、マーラー第9(ワルター/コロンビア響)、ブルックナー第9(ヨッフム/ミュンヘン・フィル)です。

加子母のエネルギー

先週の22日~23日に開催された「加子母森林モニターツアー」には、おかげさまで約30名のお客様が参加され(キャンセル待ちも出て・・・)、とても有意義な二日間となりました。森を守ることと、天然の神宮ひのきで家を造ることについて、様々な体験と学習ができたものと思います。私自身も、「(岐阜県)加子母」というあまり有名ではない土地に何度も訪れているうち、その場所の持つ不思議なエネルギーのようなものを感じるようになりました。
今回の二日間でも、皆で見学した「ひのき」伐採現場の森や、二日目の朝の霧に包まれた幽玄な山々の風景、初めて触れることの出来た大きな杉の御神木等、あくまで感覚的な表現ですが・・・何か特別な力が宿っているような気がしました。実は、今回参加された方々の中にも、そのような感覚を持たれた方が多く、本プロジェクトの意義を強く感じていただけたと思います。
伊勢神宮、姫路城等に使われている神宮ひのきで、<健康・安全・幸福>な住環境を造る、間伐することで森の中に光を入れ、美しい日本の自然・環境・景観を護り、育てる。この二つの美点を実現することが、このツアーに参加された方々全員の「志」にまで昇華されたような、無限(∞)の時間でした。東京武蔵野と岐阜加子母・・・。この線がしっかりと結びついて、日本の政治・経済の中心地である東京へ、神宮ひのきと共に素晴らしいエネルギーが流れてくることを期待します。
さて、新政権になって、2ヶ月くらいが経ちますが、なかなか状況は厳しいようです。事業仕分けに対しての評価は高く、内閣支持率も高い状態をキープしていますが、対米問題や景気浮揚策は、なかなかビジョンが見えてきません。今は恐らく、「それどころじゃない」「とにかく出費(出血)を止めなくては」・・・という程、財政状況は想像以上に厳しいのかもしれません。
確かに、崩壊しそうな家に乗り込み、先ずは押入れや机や屋根裏から全部を引っ張り出し、実体を把握をしている最中ですから、仕方のないことです。今はとにかく、国民と一緒になって、今の日本の本当の姿を明らかにすることだと思います。そうすれば、きっと次なる一手は見えてくるでしょう。また、かつての住人だった方々も、家の中が整理整頓で混沌としている間、先回りをして、次なる一手をどんどん提案して行ってはどうでしょうか。その両方の作業が追いかけっこをしながら、何とか良い方向を見出して欲しいと思います。
それにしても、先々へ向けての「ビジョン」は、とても大事です。会社で言うと、今行われていることは、固定費の削減であり、(もちろん大事なことですが・・・)限度があります。問題は、これからの新しい成長分野を、どう造っていくかだと思います。例えば、温室効果ガス25%削減のためのクリーンエネルギーの開発・普及や、地方活性化のための観光(林業)への投資、食糧自給率アップのための農業政策等、日本の素晴らしい技術や国土があれば、すぐにでも着手できるものばかりです。事業仕分けも、これからも継続して行かなければならないことですから、あらためて「ビジョン」を示し、どこに重点を置くかを決め、さらに無駄の削減と戦略的な予算の配分を進めて欲しいと思います。
加子母に行くと、日本には素晴らしい資源が眠っていることが分かります。もう石油の時代ではありませんね。素晴らしい自然、山、川、木、水、田んぼ、畑、湖、海、温泉、四季・・・。このような見事な資源を生かし、多くの人々に来ていただき、観ていただく(観光立国)。そこで産み出される食物を食べ、そこで生み出される木に暮らす。そういう事業やビジネスに、人もどんどん流れていく。そうすれば、もっと健康的な、晴れ晴れとした、お互いが分かち合える人生が始まっていく。
今、起きていることは、いずれ来るであろう、このような社会に向けてのキックオフであり、とても良いことだと思います。今までの事を全て日の光に当てて、明らかにして、悩みながら、苦しみながら、混乱しながら・・・最後には「自然と総和」する道を選ぶ。もう、それしか道はないと気づく。そういうプロセスに入ったのではと思います。昨日、子どもたちに言いました。「本当に素晴らしい国に生まれたね。大きくなった頃にはいい時代になるよ」と。大きくなる頃に間に合うかどうか・・・でも、そのような願いを込めて。

これからの大変化と丸二の考え

世界的な経済環境の激変により、国内の各産業も、大きな変革が必要になってきました。とりわけ建設業界においては、「コンクリートから人へ」という国の大方針により、公共事業・ハコモノ行政からの決別が進むでしょう。丸二は無事に、公共事業からの脱却を、10余年をかけて達成をいたしましたが、本当に大変な道のりでした。そう考えると、今からそれを始めるということは、事実上不可能であり、もう間に合わないのではと思います。地方においては、農業等の異業種への事業転換も進むと思います。
また、今までのような新築工事一本やりのようなことも無くなるでしょう。建てては壊し、スクラップ&ビルドを繰り返すことで、長期的な売上を立てていたゼネコンや住宅メーカーも、大きな岐路に立っています。これからは、モノを大事にする時代。修理・営繕・耐震・リフォームをしながら、長く使っていくという方向への大転換です。丸二もすでに、数年前から「リフォーム部門」を立ち上げて、現在では毎月100件以上のお客様からのご依頼をいただけるようになりました。このように、小さなこと、誠実なメンテナンスに本気で対応していくことが、新しい時代の要請だと思います。
新築工事についても、住宅着工件数が減っていく中で、「百年建築(ルネス工法+外断熱工法+パワー・コンクリート工法)」や「農商工連携認定事業:加子母ひのきの家」等をご提案し、健康で安全で幸福な環境共生長寿住宅を普及させていきます。賃貸併用住宅あるいは戸建住宅も、よりよい建築であれば、これから多くの建て替え需要が出てきます。環境、エコの時代と言われていますが、その中での本丸が、実は、「建築」「住環境」ではないかと考えます。
例えば、断熱方法についても、これからは「外断熱」へ移行していくと思います。日本の鉄筋コンクリート造のマンション、ビル、住宅のほとんどが、現在は「内断熱」であり、いつも結露、ダニ、カビに悩まされ、夏も冬もエアコン無しでは暮らせない状態になっています。ところが、広く欧米で標準となっている「外断熱」では、建物自体が外から守られ、建物寿命が長く、室内空気環境も改善され、結露、ダニ、カビが減少し、エアコンに頼らない省エネ環境をつくることができます。「温室効果ガス排出量25%削減」という日本の大目標を達成するためにも、国土交通省が「外断熱の推進」を行う必要が出てくるでしょう。丸二も、「外断熱」には、10年前から積極的に取り組み、すでに多くの施工実績があります。このように、住む人にも、建物にも、地球環境にもプラスになる工法を、私たちは無視する訳にはいかないのです。
「コンクリートから人へ」と書きましたが、もうひとつ、「コンクリートから木へ」という方向性もこれから出てくるはずです。日本の山は今、荒れ始めています。森の木を間伐しないと、日の光が入らず、森が死んでいくからです。日本の美しい森を守り、林業を復活させるには、森の木を間伐することが大切です。外材ばかりに頼らないで、国産の素晴らしい木を使って、家を建てることは、地球環境への貢献にもなります。コンクリートから木へ・・・。丸二は、農商工連携事業の認定を受けて、岐阜県・加子母森林組合様と共に、伊勢神宮の御用材として有名な「加子母ひのき」を産地直送でお客様にご提供し、都会に癒しの住環境を造ることと、森を守ることに貢献しています。
そして・・・、建築デザインも大きく変わっていくと思います。これからは、自然と調和する「自然風水デザイン」が始まります。つまり、人間が頭で考えるデザインではなく、そもそも自然の中に無尽蔵に宿っている力を利用したデザインです。風水というと、方位とか、占いのイメージがありますが、ここで言う自然風水とは、「あるがままの自然(風、水、木、火、草、土、石、光・・・)と調和する」と言う意味で、つまり、古来から先人たちが、建築や都市計画に利用していた自然科学の智慧のことです。丸二も、時間を掛けて研究を進めていますが、徐々に現代科学でも立証され始めていて(建築医学として確立)、とても興味深いテーマになってくると思います。これらのノウハウを、今後は基本設計に取り入れていきたいと考えています。そのコンセプトは、「シンプル」「美しい」「安価」です。
さて、今まで、家やマンションは「買うもの」「選ぶもの」でしたが、これからは「建てるもの」「造るもの」へと移行していくでしょう。住環境を得るということは、人任せに出来るほど、簡単なものではないということです。丸二が10年間かけて実績をつくって来ている「コーポラティブハウス」は、まさにその代表選手です。お客様一人ひとりのビジョンやイメージを叶えるために、私たちはさらに磨きをかけていきたいと思います。
最後にもうひとつ。あまり言われていないことですが、これからは建設会社と言えども、男性中心から男女協働へと移り変わっていくでしょう。建築、住宅、リフォーム、デザイン、住まい方・・・このようなご提案の中に、女性の視点、優しさ、繊細さを含めていかないと、造った側だけの自己満足で終わることになります。「建築は男の世界」というイメージから、いかに脱却し、男性・女性がお互いの役割の中で、総合的な住環境を造っていくことが、お客様のニーズにさらに一歩近づいていくことになると思います。丸二は、少しずつですが、新卒女子社員の採用を続けながら、じっくりとお客様志向の社風づくりに取り組んでいます。
さて、こうして考えてみると、21世紀の建築は、百年レベルで持続していく「百年建築」と、人や自然の生命を育む「生命建築」となるでしょう。丸二は、その二つを実現する技術と人を育てている会社です。

世界一の野球を

松井選手の大活躍で、ヤンキーズがワールドシリーズを制し、松井選手自身もMVPに輝きました。本当におめでとうございます!松井選手は7年前に巨人を退団して、メジャーリーグに行ったわけですが、もしそのまま巨人に居れば、今でも四番打者で平穏かつ安泰な選手生活を送っていたでしょう。それなのに、「巨人の四番」という最高級ブランドを自ら捨てて、あえて茨の道を選んだところに、独特な美学を感じていました。
それでもやはり、メジャーは厳しいんですね。松井選手にとっては、イチローの活躍の影に隠れてしまった7年間だったと思います、WBCにも参加せず、怪我もあり、いろいろと精神的にも苦しかったのではないでしょうか。でも、このワールドシリーズでは日本人選手として大活躍し、とうとう世界一を経験することができました。いわば、野球界の最高峰を手にしたわけですよね。本当に、これまでの苦労の賜物だと思います。
考えてみると、イチロー選手の凄さと松井選手の凄さは、何かが違います。打ち方や体格のイメージもありますが、イチロー選手は「個・ミクロ」を求め、松井選手は「全体・マクロ」を求めているように感じます。どちらがいいのか、悪いのかは判りませんが、案外松井選手の大局観的な生き方は、私たち普通人にとっても、大いに参考になるような気がします。苦しくても、諦めずに努力する。そうすれば、長い目で見て、きっと結果は付いてくる。細かいことは気にせず、世間に惑わされず、人や環境と調和しながら、謙虚に自然体で生きる。松井選手がそういう信条を持っているかどうかは全く知りませんが、多分そうではないかと感じます。
「個」を磨き上げるイチロー選手と、「全体」に貢献する松井選手。不思議と、所属しているチームの強さもそれに呼応していますね。二人とも個性的で、面白い。それぞれが力を発揮した一年。WBCで始まりワールドシリーズで終わる。日本人の素晴らしさが全開したメジャーリーグでした。
ただ・・・、アメリカの威信、ドルの強さがどうもおかしくなってきたので、今後のメジャーリーグをはじめ、アメリカの行く末には暗雲が立ち込めていると思います。イチロー選手も松井選手も、そろそろ日本に帰ってきて、本場仕込のベースボールを日本で確立してはどうでしょうか。今、日本の政治や経済は確かに大変な状況ですが、政権交代が可能な環境が整い、いろいろな大混乱を経ながらも、世界の雛形としての新しい日本の姿がいずれ見えてくると思います(相当、先のことかもしれませんが・・・)。
その時は、環境、健康、農業、林業、景観、代替医療、ナノテク、バイオ、クリーンエネルギー等がリーディング産業になっていて、それぞれの分野において、日本が世界をリードしているはずです。その中にきっと、夢とか感動、喜びを味わうことのできる世界一の野球があってもいい。その礎を、この二人にぜひ造って欲しいです。

加子母ひのきと小津安二郎

このたび、経済産業省と農林水産省が一体となって、中小企業者と農林漁業者との連携事業を支援する「農商工連携事業」に認定されたこと受け、先週の20日(火)~21日(水)、岐阜県加子母の森へ総勢30名をお連れし、「加子母森林モニターツアー」に行ってきました。今回は主に建築関係のNPO、設計士の方々を中心としましたが、実際に、伊勢神宮の御用材として有名な、由緒ある加子母ひのきの森や、伐採の現場、製材所とプレカット工場等を二日間かけて視察し、あらためて自然の力、木の素晴らしさ、山の現状、環境保全、家づくりの原点を学ぶ良い機会になりました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
このツアーの詳細は、あらためてHPでご紹介いたしますが、第2回目として11月22日(日)~23日(月・祝)に、今度は一般の方々を中心にして、「加子母森林モニターツアー」を開催いたします。ご参加をご希望の方は、ぜひお問い合わせをください。日本の美しい森を守ることや、健康的で自然な住環境をつくることにご関心ある方は、ぜひご参加ください。今回はモニターツアーですので、参加費は無料ですが、モニターとしてのアンケートやインタヴューにご協力いただきます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
さて、最近BSで放映していた映画を2本見ました。2本とも小津安二郎監督の作品で、「晩春」「東京暮色」です。有名なローアングルから家庭を見つめる構図は、とても特徴的であり、何か摩訶不思議な感覚を覚えます。つまり・・・床ギリギリの低いところから、家族の会話、表情、行動、心情を見つめているのは、本当はカメラではなく、観客でもなく、実は「家」そのものではないかと。家はそこに住む人の息づかい、思考、心模様、動きを、いつも静かに見つめているのではないか。きっと、そのような意志のようなものを、家は持っていると思うのです。
よく、住んでいた人によって、その家の空気は違うと言われます。確かに、そう思います。家はいつも、住んでいる人のことを、愛情を持って見つめているはずです。でも、家を汚したり、壊したり、いつも怒っていたりすると、きっと家の方も住人を嫌いになってしまうでしょう。そうなると、家は荒れ、家庭も崩壊します。最終的には、すべて住んでいる人へ返ってくるのです。だから・・・いい家に住んで、その家を大事にすることが大切だと思います。
加子母ひのきに触れると、何か本当に温かいもの、優しいもの、美しいものを感じます。もし、この加子母ひのきに毎日見つめられて、日々の生活ができたら、きっと素晴らしい家庭が生まれ、素晴らしい人生になるのではいかと思います。小津安二郎監督の映画に出てくる人は、みんな温かくて、優しくて、美しい。きっと、日本古来の木の家の中で、家族が共に愛情を育んでいたからではないでしょうか。ふと、そんな風に感じました。

無限大(∞)の感謝の力

2020年のオリンピック開催地に、広島と長崎が共同で立候補するようです。世界で歴史上唯一、核(原爆)を投下された日本の2つの都市で、平和の祭典「オリンピック」が開催されれば、歴史的な出来事になるでしょう。そのことが1つの求心力(圧力)となって、もう二度と戦争が起きないよう厳しい目が世界に向けられるかもしれません。淡い期待かもしれませんが、そう考えることで、一歩前へ進んでいくように思います。
一方、オバマ大統領が、ノーベル平和賞を受賞することになりました。原爆を落とした国の大統領が、「核のない世界」を宣言して、ノーベル平和賞を受賞するというのも、何か違和感はありますが、「アメリカが率先して核廃絶、世界平和への道を約束する」ことへの無言の圧力と捉えれば、1つの有効な手段かもしれません。ノーベル平和賞を受賞した人(国)が、これから簡単に戦争を始めるわけには行かないからです。確か、受賞がニュースになった時に、「実績より期待での受賞」という評が出ていましたが、私はむしろ、「実績」でも「期待」でもなく、ある種の「命令」のような印象を持ちました。アメリカが追い詰められて来た1つの兆候のような気がします。
世界経済も、このようにしてアメリカ主導の形が崩壊し、それぞれの国が自立していかなければならない状況になったと思います。何かに依存する時代は終わりです。人も企業も地方も地域も、国や大企業に依存していた生き方から、全体調和の中で、自立した生き方に変わらなければなりません。今、政権交代が起きて、いろいろな変化や軋轢が生じていますが、全てが全体調和へ向かう大切なプロセスですので、とても良いことだと感じています。
今まで、そのような変化や軋轢への恐怖心のために、なかなか手を付けれなかった多くの問題があったのでしょう。でも、幸いにして、それらが徐々に「表」に出てきています。私たち国民にとっても、実際の状況を知ることによって、より一層身近な問題として考えることが出来るようになりました。大切なのは、一人ひとりが思考していくことだと思います。そうすれば、自ずと正しい結論は導き出されるでしょう。正しい状況、背景、真実を知ることさえ出来れば、大衆の判断は間違えないと思います。
恐怖と言えば、ゼネコンが公共工事を手放すことも大きな恐怖です。営業活動、商品開発、販促マーケティング、社員教育、アフターサービス、CS運動等をしなくても仕事が入ってくるという別世界の状態から、通常のビジネスに切り換えるということは、極めて困難なことであり、まさに「恐怖」そのものです。でも、その恐怖を乗り越えない限り、ゼネコンの生きる道はありません。丸二は幸いにして、その大きな山を越えることが出来ましたが、約20年も掛かりました。それはつまり、全く違うビジネスを始めるに等しい作業だったからです。
「リストラ」とは、本来「リ・ストラクチャリング」で、「再構築」という意味です。人員整理という意味ではありません。今、必要なのは、本当の意味での「リ・ストラクチャリング=再構築」ではないでしょうか。お客様の側に立って、共に考え、共に建てる。喜ばれる技術や商品をご提案し、アフターサービスに力を入れる。その原動力は、お客様への感謝の力。丸二という社名には、○が2つ、「無限大(∞)の感謝の力」という意味が込められています。これからもその精神を持って、挑戦を続けて行きたいと思います。

縁は不思議

リーマンショック以降、アメリカの経済が、どれほど日本の私たちの仕事や生活とつながっていたかを、肌で理解できるようになりました。本当に世界は狭くなった・・・。このように、人々の認識力を高めたという意味において、今起きている一連の出来事はきっと良いことであり、必要なことではないかと思います。何か流れが変わるような出来事が起きないと、自分自身の真の生き方を見出すことは容易ではありませんね。だから、ここをチャンスとして捉えれば、自らの生き方や経営の方向性を見直す良い機会になると思います。
私自身も、丸二も、このような大変化が来ることを、実は潜在的に望んでいたように感じます。私たちがご提供させていただいている商品や技術が、真に求められるような社会になるのには、あと数十年くらい掛かると思っていたのですから・・・。ところが、昨年来からの世界的な金融不安や日本での政権交代等が起き、社会全体が猛烈な「ふるい」に掛けられ始め、一気に時代の速度が上がってきたようです。ここで、本当に良い商品、良い技術、良いサービスを持っていれば、むしろ「表」に出てくる可能性があるということです。
おかげさまで今の丸二は、人材が集まっています。このようなご時世の中で、非常にありがたいことです。縁とは不思議なものですが、必ず思いは通じるようです。「技と人」が組み合わさって初めて、お客様に対して、ベストな提案とベストな建物をご提供することが出来るわけですから、人との出会いは本当に大切です。最終的には、人生は、人との出会いで決まってしまうのでしょう。そんなことを最近は、実感として感じています。
また、昨日の創立記念日には、来年4月入社予定の内定者2名にも参加していただき、一緒に創立56周年をお祝いいたしました。今回は、女子2名の入社となります。新しい時代は、本当にどのような社会になるのか・・・まだ想像できない部分も多いですが、女性が活躍する時代になることは間違いありません。建設会社としても、新たな発想と仕組みを考え出して、女性の感性を生かせる組織や風土を今から築き上げていく必要があります。丸二の場合、男女比は(この二人が入社すると)8:2です。小さな建設会社としては、良い方かもしれませんが、もっと智慧を出して行きたいと思います。
会社に入ることも縁、お客様との出会いも縁。丸二と関わる全ての人たちが、「良い縁をもらえた」と思っていただけるような経営を目指して行きたいと思います。

創立56周年に感謝

本日、10月8日は丸二の創立記念日です。おかげさまで、56周年となりました。あらためてお客様、関係各位に心から感謝申し上げます。誠にありがとうございます。でも、社歴が長いからと言って、良い会社であるとは限りません。よって丸二は、常に変わり続けていくことを選択していくのです。その方向性は、一歩一歩お客様の満足、喜び、感動に近づいていくことです。
今、時代が大きく変化していますが、私たちが見据えているのは、その変化の先にある素晴らしい社会です。今までは、随分先のような気がしていましたが、昨年来からの金融や政治の大転換により、突然目の前まで近づいてきた感があります。こうなるともう、流れは決まりです。数多くの実績を積んだ技術や工法をもって、本当に良い建築、住まい、リフォームをご提案しない限り、建設業の未来はありません。そういう新しいステージに入ったと確信できます。
公共工事や分譲マンションなど、どこのゼネコンでも出来る工事ではなく、独自の技術やサービス、提案力によって、付加価値のある建築を目指していくことが、丸二の最近10~20年間の取り組みでしたが、おかげさまで様々な工法、ノウハウ、人との出会いによって、それが実現可能な状態になってきました。随分早くから取り組み始めたことで、逆に社会にニーズが起こるまでの時間が長く、かなり待たされましたが、やっと時代のペースが上がり始め、ピッタリと合って来ました。
未来への方向性があるかないか・・・これが全ての分かれ道だと思います。目先の事ばかりやっていては、もうダメです。丸二が、未来のために物凄いエネルギーを掛けて準備をしてきたことを、これから社会のお役に立てるよう還元していきたいと思います。本当に面白い時代になりました。窓から外を見ると、大型台風も通過して、台風一過の素晴らしい天気になってます。雨で迎えていただき、太陽の光でパワーをいただく。素晴らしい創立記念日を迎えさせていただき、心から感謝します。

環境を守る責任

2016年のオリンピックが、ブラジルのリオデジャネイロで開催されることに決まりました。東京開催を推進してきた方々にとっては、とても残念な結果だったと思いますが、未だ南米大陸での開催が無かったことを考えると、良かったのではないかと感じます。これで、五大陸の5つの環が本当に結ばれたわけで、オリンピックの精神としても、良い形が出来たのでしょう。ぜひ、素晴らしいオリンピックになるよう心から期待しています。
ある意味、もう東京のような近代都市の時代はピークアウトしたのかもしれません。東京は「環境」をテーマにして招致をしていましたが、環境のことを本当に強く語れる資格を持った国や地域は、実は南米大陸であり、アフリカ大陸であったはずです。もしろ東京(日本)は、今まで環境を守ることと引き換えに、戦後復興の経済成長を優先させてきたのですから、立場が逆のような気がします。鳩山総理が二酸化炭素25%削減を約束したのは、そういう経過に対しての(先進国である)日本の責任としてであり、環境を売り物にしようとしたのではないはずです。
今回の招致活動で、都は150億円(それ以上かもしれません)を使ってしまいました。もし本当に地球環境を守ることを理念とするならば、南米のような長きに渡って自然環境を大事にしてきてた地域を、むしろ積極的に応援した方がよかったとさえ思います。150億円以上と言う税金も、もっと本質的なことに使えたかもしれません。オバマ大統領が自ら乗り込みながら、シカゴが最下位になったことを見ても、世界の勢力地図はすでに大きく変わっているのです。
日本は、助けるべき相手を間違えてはいないだろうか・・・。本当に環境を大事にするのであれば、経済成長よりも自然環境を残すことを優先させた国や地域を尊敬し、そこに対する物資的、精神的な支援をしていく方がいいのではないでしょうか。遠回りのようですが、結果的に、日本の発展に繋がると思います。でも・・・いま動いている一つ一つの歯車を一回止めて、逆方向に回すのには、相当なエネルギーと時間が必要です。ですので、あせらずゆっくり、この静かな変化を見守りつつ、自らもこの静かな変化に参画していきたいと思います。
※静かなる巨匠、ジュリーニ
ジュリーニ.bmp
もう亡くなってしまいましたが、イタリアにジュリーニという指揮者がいました。残した録音も多く、たくさんのファンがいます。私も最近になって、数枚のCDを聴くようになり、とても好きになりました。何が違うのだろうかと思うのですが、音楽がとてもゆったりとして、深くて、静かで、温かい。そんな印象です。イタリア人と言うと、陽気で弾けるようなイメージがありますけど、ジュリーニはちょっと違いますね。見るからに紳士ですし、穏やかです。音楽もそのような印象と重なります。特に良かったCDは、ブルックナーの交響曲第9番、フォーレのレクイエム、モーツァルトのレクイエム、ベートーヴェンの交響曲第9番です。ブルックナー以外は合唱が入っている曲で、歌の心を大切にしているジュリーニの良さが出ていました。例えば、二つの「レクイエム(死者のための鎮魂曲)」も、普通は暗くて、悲しい音楽となるのですが、ジュリーニで聴くと、とても穏やかで優しくて温かい。細かいところにこだわるというよりも、全体の流れを大切にしていて、聴く人の心に、何かプラスの思いを残そうとしているような感覚を受けます。うまく言えませんが、そういう人です。こういう時代だから、こういう人がいいのです。