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田園風景

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長澤まさみが出演しているドラマ「ラスト・フレンズ」(フジテレビ)に吉祥寺が出ているらしく、また実際に丸井の裏にある美容室『NiCHE』(上の写真)が撮影場所になっているそうです。確かに、この美容室の前を歩く若者たちが、「あっ、ここだよね。長澤まさみの~」なんて言っている会話も聞こえました。私たちの世代としては、吉祥寺のロケと言えば、中村雅俊の「俺たちの旅」と水谷豊の「熱中時代」ですね。特に「熱中時代」は、わが母校の武蔵野市立第3小学校が舞台になっていたので、特に親近感がありました。地元が紹介されたり、地元に有名人が来たりすると、それだけで何かワクワクします。
テレビや映画が、ロケハンをしてロケ地を選ぶ際、(多分)大切にするのは、その街の風土、風景、街並み、文化、空気感が、作品と合うかどうかと、美しいかどうか、この2つではないでしょうか。どのような設定の舞台においても、(映像として表現する以上)美しさは必須です。特に街並みの美しさは、あらゆる映画監督やテレビディレクターが、常に探し求めていると思います。
大林宣彦監督の尾道(広島)シリーズも、あの美しい風景だからこそ生まれ出た素晴らしい作品群だと思います。いかに美しい風景を探し出すか、あるいは、いかに風景の中から美しさを見出すか・・・どちらにしても、美しさという視点が大切です。あの尾道の細い急な坂道の中に含まれている歴史と文化と生活の香りには、どの俳優の最高の演技よりもインパクトがあるでしょう。そのような風景を持っている土地や街並みには、他の何にも変えられない価値があります。
そのように考えた時に、今の日本の風景には、世界の映画監督やディレクターが撮りたくてしょうがないほどの美しさがあるのかどうか・・・ちょっと自信がありません。山や川や自然については、美しさがたくさん残っていますが、街並みとなると・・・どうかなあ。せっかくの文化的(歴史的)な建造物も、「守る」よりも「開発」ということで、泣く泣く取り壊されていったり、ビルの谷間にぽつんと残される。観光用のパンフレットの写真では、素晴らしく見えるのですが、実際に行くと、まわりは雑然としたビル街だったりします。何か、「全体性」のようなものが欠けているのです。よって、スケールが小さい。国土が狭くて、人口が多いから、それだけの余裕が無いのかもしれませんが、それでも海外からの観光客が少ない国に、これからの未来があるのだろうかと、(少し大げさかもしれませんが)心配になります。
山や川や自然は、ただそれだけで美しい。でも、そこに、さらに「田園風景」が欲しい。雄大な自然と人間の生活が、無理なく調和している風景の象徴こそが、田園だと思います。「減反政策」によって失われた田園風景が再び戻るようになり、「美しい観光立国:日本」が復活し、海外からの観光客が増え、地方の経済的活性化にもなり、食糧自給率が高まれば、いいことづくめだと思うのですが・・・。農業の大変さを知らない自分が何を言ってもムダですが、農業を守り、農業を大切にする政策は大事だと思います。日本の農業をもっと活性化させ、日本全土に田園風景を取り戻し、美しい国土と経済的な豊かさを両立させることは、きっと可能のような気がします。
さて吉祥寺は、おかげさまで「住みたい街No1」で、いつも多くの人で賑わってます。テレビのロケもあります。たくさんのお店があり、何不自由することもありません。このような環境の中で、日々生活できることに心から感謝しています。でも、時には大自然の空気を吸いたくなります。だから、人間には豊かな自然と田園風景が必要です。
※ブラームスの「田園」
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ブラームス
交響曲第2番
ワルター&コロンビア交響楽団
「田園交響楽」と言えば、ベートーヴェンの第6シンフォニーが最も有名ですが、ブラームスにも田園的な交響曲、第2番があります。私は、ブラームスの4つの交響曲の中で、この曲が一番好きです(1番と4番の方が有名ですけど)。特に第2楽章の哀愁は、独特な雰囲気があり、ノスタルジーを感じます。CDは、この曲を始めて知った、ワルターの温かく優しいステレオ録音です。