2008.04.23
全体幸福
先日の箱根研修会の社員のレポートを読んでいます。テーマは「豊かさとは」。①地球環境の現状②丸二が追求する豊かさ③個人にとって豊かな一日・・・この3つの視点で、二日間をかけて行った社員研修会のレポートです。社員さん一人ひとりの書いた文字を追いながら、心の中に清らかな感動と感謝の気持ちが湧いてきます。ああ、すごいなあ。たくさんの気づきを得ることが出来たんだなあ。地球環境のことと、丸二のことと、自分のこと・・・この3つの世界が、ちゃんと繋がったんだなあ。やってよかったなあ。
自分自身の幸福と、全体の幸福とが、うまく一致しない世の中で、認識力が高まれば高まるほど、ある種のジレンマやギャップに悩まされるようになります。知らないほうが良かった・・・なんてことが、世の中にはいっぱいありますよね。でも、本当に知らない方がいいのかと言うと、それではあまりにも空しい。真実を知り、その上で自分にできること、会社にできることを模索し、多くの矛盾やジレンマを感じながらも、いくらかでも「善」の方向に向かって行く。この絶えざる「1mmの前進」の積み重ねは、いずれは大きな進歩・改善に結びつくでしょう。社員さんたちの数々の思いを読みながら、私自身の方が勇気付けられました。と同時に、丸二の向かっている方向性が、少なからず人や地球を尊重するものであると、あらためて肌で感じてくれたことに、心から感謝しました。
NPO法人:ネットワーク「地球村」代表の高木善之氏が、講演DVD「美しい地球を子どもたちに」の中でも語っていましたが、ここに宮澤賢治の有名な言葉があります(私も以前より意識していた非常に重い言葉です)。
「世界が全体幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」
この言葉からは、「いま地球上に生きている個人は、みな不幸である」という厳しい現実が導き出されます。現在の世界情勢の中で、どう考えても、すべての個人が幸福であると言うには、相当な無理があります。でも、それは、あくまで「物質的な幸福」をモノサシにした場合で、もし「精神的な幸福」をモノサシにしたとすれば、いくらかでも可能性は広がります。
幸福とは「ゲットする」ものではなく、「感じる」もの。だから、少しでも多くの人の心の中に、「うれしい」「たのしい」「ありがとう」という気持ちが生まれるように、自分たちにできることをコツコツ始めていく。それは、本当に小さなことかもしれませんが、なかなか価値のある生き方だと思います。丸二の≪快適100年建築≫と≪美と夢と健康≫も、人と地球に「ありがとう」をお伝えするための、自分たちの精一杯の気持ちです。
※継続は力なり
ブルックナー
交響曲第9番、他
ヴァント&NDR交響楽団(2001)
(DVD)
大器晩成の大指揮者、ヴァントが90歳で亡くなる約半年前のライブ映像。得意のブルックナーの最後の交響曲:第9番を、すべての生命力を賭けて指揮。その崇高な姿と素晴らしい音楽に、とても感動しました。音楽の凄みとは、(歌詞ではなく)「音」そのものだけで、人の心を動かし、泣かせ、元気を与えること。70歳を過ぎてから世の中に評価されるようになったヴァントは、それまでの長い長い無名時代の時から、ただただ純粋に完璧な音楽づくりに徹してきました。評価されようがされまいが、自分のつくる音楽は何も変わらない。「信じるものを求めて、続けていくこと」・・・ヴァントは、きっとどんな状態の中においても、幸福の近くにいたのかもしれません。指揮台に向かうのに、介添えがいないと歩けない。なのに、いざ演奏が始まると、ずっと立ちっぱなしで、鋭い眼光でオーケストラをコントロールする。とても、かっこいいです。