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貫くこと

リーマン・ショックと共に、米国から大手投資銀行が事実上消滅したそうです。この9月は何か大きな雪崩が起きた感があります。日本では、王監督の勇退と小泉元首相の引退。日々刻々と時代が移り変わっています。いろいろな人がいろいろな事をして、たくさんの評価や賞賛を浴びる中で、本当に後世まで宝物を残せるとしたら、スゴイことだと思います。王監督は、そのスゴイ人「NO1」ではないでしょうか。
選手時代にあれだけの実績を残した人が、伝統の巨人軍のユニフォームを捨て、福岡へ渡り、弱いチームを日本一に導き、全日本を世界一に導いた。その野球に対する真摯な姿勢と勇気は、世界中の野球人の見本になっていたと思います。ONの時代、その頃小学生だった私は、明らかに「王」の方が好きでした。長嶋さんは、いろいろなものを持っていた。人気と名誉と田園調布の豪邸と豊富なエピソード。ところが王監督と言えば、そんなものを逆にドンドン削ぎ落としていく。そこが違ったのでしょうか・・・。勇気を持って、ブランドを捨てた王監督の方が、後世「記憶に残る男」になると思います。
また昨日、米国の俳優ポール・ニューマンが亡くなったことを知りました。ポール・ニューマンと言えば、「明日に向かって撃て」と「スティング」で、ファンになりました。あのスター性と存在感は、他の俳優には無いものです。また俳優業のかたわら、食品会社の経営で成功し、多額の寄付もしていたそうです。人間的にも非常に大きかったのですね。俳優としては、アカデミー賞とか評論家からの評価は厳しかったようです。でも、何か「貫くもの」を持っていた。私はスティーブ・マックイーンの大ファンですが、マックイーンもそのような俳優でした。だからいつまでも・・・永遠に・・・記憶に残っていくでしょう。
さて、小泉元首相の引退は、いろいろな見方ができると思います。最近、小泉政治の功罪がよく取り上げられていて、その「罪」の部分に対する責任追及論が強くなってきたからでしょうか。あるいは、世襲への批判が高まる前に、次男さんへのバトンタッチを済ませておこうという勘の良さからでしょうか。あるいは、別の立場に立って新しい小泉劇場を生み出そうとしているからでしょうか。それとも、ただ本当に疲れただけなのか。一体、どのように後世に残っていくのでしょう。
でも結局のところ、人のことは分からないものです。だから大切なことは、自分自身を鍛えることしかありません。認識力を高めて、依存体質から脱却し、こころを鍛える。私たちは、いま現実に起きていることをキチンと知っているように見えますが、実際には、誰かの話や意見、一部の映像や音楽だけで、それらを頭の中でバーチャルで再構築し、意味づけしているだけで、本当に真実を知っているわけではないと思います。だから、そのような浮ついた情報に依存しないで、「自分自身」という、理解可能なリアルな現実に重きを置くことが大切ではないでしょうか。誰が何をしようと、今日何が起きようと、自分自身をしっかり持つこと。そういう捉え方で、時代を見て、モノを判断していけるようになりたいと思います。
※モーツァルトが好き
teito.bmp
モーツァルト交響曲全集(50曲) 
テイト指揮/イギリス室内管弦楽団
クラシック音楽の評論家の誰もが、モーツァルトのことを「別格、神の子、天才」と褒め称えます。ところが私は、「本当にそうなのかな・・・」という思いでいっぱいでした。どうしても、感動しないし、飽きてしまう。みんな同じような曲みたいだし。ああ、自分はクラシック音楽は分からないんだなと。ところが最近、内田光子(ピアニスト)のモーツァルトのピアノ協奏曲を聴いていたら、なんと美しい曲だろうと思い、伴奏が、「テイト指揮/イギリス室内管弦楽団」と分かり、そういう流れで上記のCDを買ってしまったわけです。そして、聴いてみたら・・・。本当に、モーツァルトって「別格、神の子、天才」って、素直に感じました。単純なことですが、本当のことです。テイトという指揮者は、本当に地味なんですが、何かに迎合しようとせず、自らの芸術的信念だけを追い求めているような人のようです。やっぱり、周りに惑わされず貫くことか・・・。これでやっと、「モーツァルトが好き」と言えそうです。