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無為自然

最近のお気に入りCDです。ヨッフム指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナー:「交響曲第7番ホ長調」と「交響曲第9番ニ短調」の2枚。ブルックナーの音楽は、あまり一般的には馴染みが薄いと思われるので、なかなか説明しにくいのですが、一言で言うと「無為自然」という感じです。人間が一生懸命に考えて作曲した音楽というよりも、天からそのまま降ろされたような音楽。だから、良い曲とか悪い曲という見方よりも、受け入れられるかどうかという選択肢の方が相応しい。実際に初めて聴いてみて、すぐに受け入れられる人は極めて少ないと思います(私もそうでした)。でも、ある日突然ド~ンと入ってくる。そんな音楽です。
「無為自然」、つまり「あるがままに生きる」ということは本当に難しいことですよね。人間だから、あ~しよう、こ~しようということの繰り返しや葛藤の中で、日々を生きています。それによって、成長することもできます。でも、時には全てをゆだねて、今の流れに身を任せて、その結果が一体どうなるかを見てみたい気もします。案外そういう風にした方が、想定外の幸運と出会えるような気もします。そんな風に考えていくと、ブルックナーの音楽と感謝の心とは、意外と近い存在なのかもしれません。つまり、現実を素直に「受け入れる」という謙虚な姿勢において・・・。
さて最近、いま話題になっている村上春樹氏の最新刊「1Q84」の上下巻を買いました。まだ上巻の冒頭しか読んでいませんが、これから面白くなりそうな予感がします。こういう小説家とか、作曲家とか、アーティストと言われる人たちの頭の中は一体どうなっているのだろうと思います。本当に100%その人の頭の中だけで考えられているのだろうか・・・。否、そうではなく、きっとその中の一部は、天から降りてきたに違いない。とても人間業とは思えないから。もちろん、私のような普通人にも、たまに「あっ」と思うようなアイデアが頭に浮かぶことがあります(大半がボツ)。でも、才能のある人のレベルではありません。もっと天とつながりたいなぁと、こういう本を読みながら、ふと思います。
昨日、世界の子どもにワクチンを提供しているNPO主催のチャリティー・ランチに参加させていただきました。今回の新型インフルエンザの問題を見ても、ワクチンの重要性は今後さらに増してくると思います。日本はそういう意味では、確かにいろいろな問題がありますが、地球上で一番安全な国だと思います。もちろん北朝鮮との緊張等はありますが、他の国に比べたら、毎日の生活が脅かされるレベルでは無く、本当に幸福です。その日本が、地球をより良くするために立ち上がる日が来ると思います。確かに政治は混迷の極みですが、今は昔と違って、国や地域は政治だけで動いているわけではありません。これからはもっと精妙な、一人ひとりの意識の集合体によって動いていくと思います。だから、今の状況に一番感謝すべきは私たち日本人。現状を素直に受け入れて、これからの世界のために、一肌脱ごうと。ブルックナーを聴くと、そんな豊かな気持ちになれるのです。