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心を育む家

真夏の選挙が終わり、もうすぐ秋がやってきます。とうとう、政権交代になりました。これから、いろいろなものが変わっていくのでしょう。国民が変化を望んだ結果、国も変化していく。そのような大きな流れの中で、私たち一人ひとりの生活も、当然のことながら変化していくと思います。ただ、必ずしも自分自身にとって都合のいい変化ばかりではないでしょうから、やはり緊張感が走ります。国全体とすれば、よりオープンで公平な社会になるよう、心から期待いたします。
さて、国の未来を創るのは、いつでも子どもたちですが、その子どもたちの「心を育む」という捉え方を、様々な分野において、盛り込んでいくことが必要ではないかと思います。教育の現場、テレビ番組、携帯サイト等・・・いろいろな分野においてです。そして、もちろん建築でも。
かつての日本は、家も大きく、木造で、本物の木と共に暮らす毎日がありました。学校も木造校舎でした。そのような環境の中で、子どもたちは走りまわり、木の匂いや肌触りを体で感じながら、日々を過ごしていたのだろうと思います。テレビも今ほど見なかったでしょうし、携帯もありません。学校か、校庭か、空き地か、秘密基地か、家の中で、兄弟や友達と、走って、転んで、怪我して、遊んでいたわけです。私が子どもの頃も、まだそのような時代の名残は、充分にありました。
住宅はその後、高度成長の流れに乗って、木造が減り、外国産の木を輸入し、天然木から集成材に変わり、壁紙や塗り壁がビニール・クロスになり、床が合板に変わり、家は接着剤の匂いが立ち込める化学商品へと変わりました。安く!!早く!!・・・ですね。でも、そのような動きはもう続かず、再び環境、健康、エコ指向へと時代の流れは戻り始めました。だから、天然木の住まいへの強い志向がやってきたと思います。
特に、子どもたちにとって、家は「基地」であり、成長の場であり、心のふるさとです。柱にキズを付けたり、釘を打てない家なんて面白くない。そういう毎日の小さな冒険体験が、子どもの情緒を育むのではないでしょうか。その成長の履歴を刻むことができる家・・・これがいいんだと思います。今のような、化学物質中心の環境の中で、作られた生活をするよりも、(せめて家の中だけでも)味わいと風合いと情緒のある自然な環境で過ごしたい。本物の木の匂いや肌触りを知らずに過ごすことは、きっと子どもたちが大きくなった時に必要な、本物を見極める感性すら奪っているのかもしれません。
このようにして、家をつくるということの中にも、子どもの未来を考えることはできると思います。そして私たちは今、「加子母ヒノキ」に、そのような思いを込めようとしています。「加子母」には「母と子」の文字があります。家とは、子どもたちの健やかな成長を見守る、大いなる母の愛で満たせるべきものです。だから、国をよい方向へ導くためにも、住まい環境は大切だと思うのです。私たちは、地球上のすべての子どもたちが、心健やかに成長できる住環境を考え、その中から、できることをコツコツやって行きたいと思います。