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大変化

鳩山首相が国連で二酸化炭素25%削減を発表し、世界に大きなインパクトを与えました。すでに二酸化炭素の削減にかなり努力している日本が、さらに絞り込んでいくという決意ですから、相当なものと言えます。当然のことながら、国内の産業界からは非難の声が上がっています。今までの常識や発想から言ったら、確かに不可能な目標でしょう。しかしながら、やらねばならないという決意を持って臨むことで、今まで考えても見なかった方法や技術が見つかり、それによって新たな経済効果が生まれるかもしれません。
実際に日本では、空気や水、磁力等からクリーン・エネルギーを取り出す技術がどんどん出てきているので、それらを国が認めて普及さえさせれば、地球環境は改善し、経済コストも下がり、新技術で世界をリードすることができるかもしれません。高速道路の無料化による二酸化炭素の増加にしても(本当に増加するのかどうか?ですが・・・)、低コストの電気自動車の開発に拍車をかけるかもしれません。そういう流れが一気に出てくることで、環境、景気を含めた様々な問題を同時に解決する可能性が出てきます。もちろんあくまで「可能性」ですが、そういうビジョンを示すことが大切ですし、それが「25%」という極めてハードルの高い数字の真意ではないかと考えます。
また、この25%削減に対して、実は建設業界でも大きく貢献できるものがあります。それが「外断熱」です。日本の建物(ビル、マンション)のほとんどが「内断熱」でできています。内断熱は、断熱材を建物の内側に付けるもので、結露・ダニ・カビが発生しやすく、室内温度も夏は高く、冬は低くなり、エアコンに大きく依存しなければなりません。一方、欧米で一般化されている外断熱は、断熱材を建物の外側に付けるもので、室内温度が年中一定し、夏も冬も少量の冷暖房器具だけで快適に過ごすことができ、結露も少なく、室内空気環境のクリーンな状態が維持できるものです。つまり、外断熱の方が、より大きな省エネ効果を発揮することができます。幸い日本が遅れている分野ですので、すでに進んでいる欧米よりも改善の余地が大きく、効果は大きいでしょう。「外断熱工法」を推進している丸二も、今後さらに力を入れてまいります。
さて、鳩山首相が国連にて「唯一の原爆被爆国」「ぜひ広島、長崎に来て欲しい」と訴えていましたが、オバマ大統領の「核兵器の無い世界」と協調して、これも大きなビジョンを示せたものと思います、とにかく戦争をしてはいけない。核を持ってはいけない。軍事費を減らして、世界を平和で豊かにしなくてはいけない。そういう共通の意識がやっと芽生え始めたと思います。「開発能力がありながら核を作らない唯一の被爆国、日本」という立場は、とても貴いものだと感じました。
さあ、いよいよこれから戦いですね。あらゆる世界、あらゆる業界において、旧体制と新体制のぶつかりあいです。建設業界も公共事業がどんどん少なくなるわけで、大改革の様相です。一方、JALが大変な状況に陥っていますが、やはり実質国営に近い経営だったことが、ひとつの原因だったと思います。例えば、親方日の丸の経営体質もあったでしょうし、逆に、国から新しい地方空港への就航を要請されれば、採算が合わなくても受けざる得なかったのでしょう。
そう考えると、公共事業に依存している建設会社も、国や地方自治体からの発注が、自社の売上の大半ですから、(もちろん国営ではありませんが)JALと近い体質と言えます。幸い丸二の場合は、20年以上前より「脱・公共事業(官庁工事)」を進めてきた結果、今では、ほぼ100%民間工事の会社に変わっています。そう思うと、今、このように公共事業が急激に収縮されてきたのを見て、早めの対策をして本当に良かったと思っています。
けれども、これからが本番です。社会の価値判断が変化し、より本物の建築を志向するようになることで、丸二のルネス工法、外断熱工法、パワー・コンクリート工法、建築医学、加子母ひのき、コーポラティブハウス等に脚光が集まってくるはずです。今までの多くの実績、経験、ノウハウが生かせる時代になりました。世の中はこれから大きく動いていくと思いますが、私たちもその流れに乗って、感謝の力で、素晴らしい建築を世に出して行きたいと思います。