2009.11.30
加子母のエネルギー
先週の22日~23日に開催された「加子母森林モニターツアー」には、おかげさまで約30名のお客様が参加され(キャンセル待ちも出て・・・)、とても有意義な二日間となりました。森を守ることと、天然の神宮ひのきで家を造ることについて、様々な体験と学習ができたものと思います。私自身も、「(岐阜県)加子母」というあまり有名ではない土地に何度も訪れているうち、その場所の持つ不思議なエネルギーのようなものを感じるようになりました。
今回の二日間でも、皆で見学した「ひのき」伐採現場の森や、二日目の朝の霧に包まれた幽玄な山々の風景、初めて触れることの出来た大きな杉の御神木等、あくまで感覚的な表現ですが・・・何か特別な力が宿っているような気がしました。実は、今回参加された方々の中にも、そのような感覚を持たれた方が多く、本プロジェクトの意義を強く感じていただけたと思います。
伊勢神宮、姫路城等に使われている神宮ひのきで、<健康・安全・幸福>な住環境を造る、間伐することで森の中に光を入れ、美しい日本の自然・環境・景観を護り、育てる。この二つの美点を実現することが、このツアーに参加された方々全員の「志」にまで昇華されたような、無限(∞)の時間でした。東京武蔵野と岐阜加子母・・・。この線がしっかりと結びついて、日本の政治・経済の中心地である東京へ、神宮ひのきと共に素晴らしいエネルギーが流れてくることを期待します。
さて、新政権になって、2ヶ月くらいが経ちますが、なかなか状況は厳しいようです。事業仕分けに対しての評価は高く、内閣支持率も高い状態をキープしていますが、対米問題や景気浮揚策は、なかなかビジョンが見えてきません。今は恐らく、「それどころじゃない」「とにかく出費(出血)を止めなくては」・・・という程、財政状況は想像以上に厳しいのかもしれません。
確かに、崩壊しそうな家に乗り込み、先ずは押入れや机や屋根裏から全部を引っ張り出し、実体を把握をしている最中ですから、仕方のないことです。今はとにかく、国民と一緒になって、今の日本の本当の姿を明らかにすることだと思います。そうすれば、きっと次なる一手は見えてくるでしょう。また、かつての住人だった方々も、家の中が整理整頓で混沌としている間、先回りをして、次なる一手をどんどん提案して行ってはどうでしょうか。その両方の作業が追いかけっこをしながら、何とか良い方向を見出して欲しいと思います。
それにしても、先々へ向けての「ビジョン」は、とても大事です。会社で言うと、今行われていることは、固定費の削減であり、(もちろん大事なことですが・・・)限度があります。問題は、これからの新しい成長分野を、どう造っていくかだと思います。例えば、温室効果ガス25%削減のためのクリーンエネルギーの開発・普及や、地方活性化のための観光(林業)への投資、食糧自給率アップのための農業政策等、日本の素晴らしい技術や国土があれば、すぐにでも着手できるものばかりです。事業仕分けも、これからも継続して行かなければならないことですから、あらためて「ビジョン」を示し、どこに重点を置くかを決め、さらに無駄の削減と戦略的な予算の配分を進めて欲しいと思います。
加子母に行くと、日本には素晴らしい資源が眠っていることが分かります。もう石油の時代ではありませんね。素晴らしい自然、山、川、木、水、田んぼ、畑、湖、海、温泉、四季・・・。このような見事な資源を生かし、多くの人々に来ていただき、観ていただく(観光立国)。そこで産み出される食物を食べ、そこで生み出される木に暮らす。そういう事業やビジネスに、人もどんどん流れていく。そうすれば、もっと健康的な、晴れ晴れとした、お互いが分かち合える人生が始まっていく。
今、起きていることは、いずれ来るであろう、このような社会に向けてのキックオフであり、とても良いことだと思います。今までの事を全て日の光に当てて、明らかにして、悩みながら、苦しみながら、混乱しながら・・・最後には「自然と総和」する道を選ぶ。もう、それしか道はないと気づく。そういうプロセスに入ったのではと思います。昨日、子どもたちに言いました。「本当に素晴らしい国に生まれたね。大きくなった頃にはいい時代になるよ」と。大きくなる頃に間に合うかどうか・・・でも、そのような願いを込めて。