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立て直そう

4月に入り、今年も桜の季節になりましたが、お花見気分になれないというのが正直な心境です。近くの井の頭公園も、自粛を要請する看板が立ち、例年のような賑わいはありません。経済的に悪影響を及ぼすということで、自粛ムードに反対する意見も出始めています。確かに自粛とは、あくまで自らの意志によるもので、強制されるべきものではありません。でも、仮にそのような看板が無かったとしても、いつものように大騒ぎをするような人は出ないと思います。それが日本人です。
かと言って、暗くなるとか、悲観するとかということでは無く、やはり多くの亡くなった方々に対する哀悼の気持ちの、せめてもの表現なのではと思います。確かにこのような自粛ムードが続くと、経済的には大きな打撃になるでしょう。でも、今までどおりのやり方が壊れた訳ですから、今までどおりの経済活動で当面を繕っても、結局またやり直しが来るだけです。
国民全員の心がひとつになっている今こそ、勇気を持って、全ての物事を見直しに入るべきです。そして一日も早く、新しい価値観の世の中、新しい経済の仕組みに移行すること。「とりあえず」の時間稼ぎではなく、みんなで一気に建設作業です。それはそれで、とてもビッグなプロジェクトではないでしょうか。
今だったら、みんなで乗り越えられると思います。この天の時を大切にして、これから数カ月あるいは数年間を、あらゆることの立て直しに力を注ぎたいものです。大量消費(無駄遣い)や金融商品(虚業)で富を生み出す時代はもう完全に終わったのです。これからは自然と共生しながら、モノと心を大切にして、長く使う時代。より良いモノ造りをしている人たちが、最も富むような経済の仕組みを創造していきたいものです。
今回の東北地方の被災地には、本当に優秀な中小企業や工場が多数あり、震災の影響によって部品や材料が止まり、大変多くの大企業(世界)が困っているようです。つまり一番大事なモノづくりの部分を、自社でやってなかったという訳です。日本の素晴らしい技術は、実は中小企業のものです。日本の中小企業が損なわれると、世界が潰れるということです。
重要な部品を下請けに作らせ、ブランド料で稼ぐ。カンバン方式で、納入時間を厳しく管理し、在庫を持たずにリスクを減らす。企業経営としては効率的なやり方ですし、利益も上がります。でも何かあったら在庫が全くないというのも、本当に顧客志向なのかどうか・・・疑問に感じます。東京電力という会社も、何層にも及ぶ下請け構造になっていることが分かりました。それでは現場で生命を掛けて原発と戦っているのは、一体誰なのでしょう・・・。このような様々な疑問が浮かんでは消えます。
でも、それは決して怒りではなく、クレームでもありません。そういう時代だったということです。人間の力では変えられないほどの、大きな流れだったと思いますし、私たちもそのような時代のおかげで今があります。でも「このままではいけない」と、大自然の力が発動された訳ですから、その意思に素直に従い、前向きに、立て直しを始めていけば良いと思います。責め合うのはやめて、力を合わせ、この3.11を経験した全ての人たちと共に。