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変化の兆し

ロンドンオリンピックが開幕しました。今のところ日本勢は(サッカー以外は)苦戦中のようですが、各国各選手の全員が金メダルを目指している訳ですので、なかなか大変なことだと思います。選手一人ひとりにとって、悔いの無いオリンピックに成れば良いなと思います。それにしてもTVを見ると、オリンピックをはじめ、高校野球、プロ野球、お笑い、ドラマ、食べ歩き、クイズと、あいかわらず日本の平和は続いているように見えます。でも実際にはその裏側で、官邸前で反原発の大規模なデモが行われています。
今、日本も世界も、本当に世の中の構造を転換しなければ成らない時に来ています。昨年の東日本大震災では、約2万人もの尊い生命が失われました。その亡くなった方々に対する本当の追悼は、世の中を立て直して行くことではないでしょうか。あの震災を経験して、私たち日本人は皆そのように思い、そのように動き始めたはずです。でも1年が過ぎ、また夏が来て、日本も世界も、また元に戻りつつあるように感じます。
例えば、原発の問題にしても、家庭用の「クリーン・エネルギー」を開発し、政策的に普及させれば、問題の大部分は解決するはずです。すでに太陽光発電も商品化されています。いずれもっと良いものも出て来るでしょう。電力会社に頼らずに、自前でクリーンエネルギーを持てば、自ずと原発依存は無く成り、デモも不要と成り、環境破壊も減少します。そういう方向へ舵を切っていれば、今頃は、世の中全体に「変化」の兆しが見えていたでしょう。原発が無くても大丈夫な状態を「創る」ことを(素直に)目指せば良かったのに。
福島原発の事故が「人災だった」という結論が出ても、電気料金は値上がりをし、原発は再稼働し、結局3.11以前と何も変わっていない。変わったのは、国民一人ひとりが節電意識を持ったこと。これは素晴らしい成果だと思います。でも、政策的には実は何も無く、3.11への追悼は、未だ果たされていない。本当に申し訳ないと言う気持ちが、そこにはあります。
そのような中で迎えたロンドンオリンピック。日本人の大健闘を心から応援しますが、仮に負けても潔く、仮に勝っても謙虚に・・・そのような日本人の精神性に(こそ)期待します。それは、私たちが(そして世界が)昨年、東北の人々から学んだはずのものです。昨日の柔道の試合で、審判による判定が覆り、日本人選手が勝った試合がありました。日本としては嬉しいことですが、相手の韓国としては悲しいことです。その両方を包み込める日本人に成りたいと思うのです。
その判定の結果を受けて、NHKの女性アナウンサーが、思わず(いかにも軽いノリで)「良かった~!勝ちは勝ち!」などと喜んでいましたが、ついにNHKは、負けた側(弱き者)への思いやりを忘れてしまったようです。冷徹なまでに公平さを貫く、かつてのNHKの「美」はそこには無い。日本という国は、風景だけではなく、人の心の美しい国です。それを昨年、私たちはついに思い出したはずなのに・・・。
このようにして、今年の日本の夏は始まりました。そしてどのようにして終わるのでしょうか。変化の兆しに期待します。