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建築と音楽

建築と音楽はよく似ていると思います。構造設計と意匠設計は、言わばハーモニーとメロディーでしょうか。「法則」と「自由」の2つの要素が互いに溶け込み合って、建築も音楽も構築されます。そこには「学び」と「想像力」が必要です。基本を学ぶことと、その応用ですね。さらに加えて、最後の閃き。これが全体を整えます。丸二の建築は、1つ1つがオーダーメイドのオリジナルですので、まさに一人のお客様のために1つの曲を作曲するに等しい作業を、日々繰り返している事に成ります。そして、お客様のことを考えて考えて考え抜くことで、最後の閃きに辿りつきます。それが「良き建築」と成ります。
そう考えると、まさに住宅は室内楽で、賃貸マンションは交響曲。賃貸併用住宅は協奏曲で、コーポラティブハウスはオペラ。そしてリフォームは、ピアノソナタから管弦楽曲まで・・・。自分の頭の中では、建築も音楽も一緒なのです。ピアノ曲も好きですし、オペラも好きです。小さなピアノの一音でも、壮大なオペラの大音響でも、そこには等しく美しい感動的な世界が拡がっています。そういうものを建築という媒体で奏でたいと思うのです。それが私の(丸二の)「良き建築」の底流にあるように感じます。小さなリフォーム工事から大きなビルやマンション工事まで、同様の思いと感謝の心を持って、誠実でオリジナルな対応をする。そのように努力をする。それが丸二の「両輪経営」の基礎的な意識構造に成っています。
さて、久しぶりにクラシック音楽の話になりましたので、音楽話を続けますが、多くのクラシック音楽ファンは、その演奏の違いに関心を寄せます。当然、譜面は決まっているわけですので、自ずとその違いは微細な差異でしかありません。でもその微細な差異の積み重ねが、巨大な力と成って、音楽を根底から変えてしまうのです。その摩訶不思議な体験は、一度知るとやめられません。つまり、その差異が微細であればあるほど、音楽は全く違う生き物に成るのです。
小さなこと、微細なものに意識を向けること。大切にすること。それが、実は巨大な変化を生み出すのではないかと、私たちは考えています。今、丸二ではリフォーム工事の件数が増加しています。リフォームは新築工事よりも小さな存在です。でもその増加曲線には、何かしらある種の法則性、波、リズムがあるようです。その流れとリズムに乗りながら、私たちはお客様からのご期待に応える努力を続けています。さらにその上、小さな波の合間には新築工事という大きな波も必ずやって来ます。これも何かしらの法則が働いているような気がします。つまりここで私が言いたいのは、音楽も事業も、「小さなこと」「微細なこと」に意識を向けることが大事ではないかという1つの仮説です。
建設会社は、基本的にはどこでも同じような仕事をしているように見えます。もちろん、他社にはないものを提供している会社もあります(丸二もそうです)。でも真の違いは、実は、小さなものを大切にしているかどうか。ここではないでしょうか。それはなかなか外からは分からないものです。音楽CDのジャケットを見ても、同じブラームスの交響曲第2番であれば、その差はよく判りません。もしかしたら一度や二度聞いただけでも判らないかもしれません。それくらい微細な差なのですが、でも5回、6回、そして10回となると、その差が明らかに大きくなって見えて来るものです。
私たちは、先ずは小さな工事から、お客様とのご縁をいただいております。そして、2回、3回とリピートしていただけるよう懸命に努力をしながら、その中で丸二の良さを判っていただきたいと考えています。それはとてもとても時間が掛かることです。それでも必ず、壮大な大音響へと発展します。ピアノの小さな一音が、いずれはオーケストラの大合奏へクレッシェンドして行くことを、私たちは体験的に理解しているからです。建築と音楽を一緒に考えると、なぜかそのような答えが出て来ました。丸二はこれからも、もっともっと「良き建築」を、みんなと一緒に奏でて行きたいと思います。