2008.01.29
全体像を見る
今、「ガソリン国会」とのこと。ありとあらゆる知恵を駆使して、予算審議の前に歳入を決めてしまおうと、かつての江川選手の「空白の一日事件」かと思うような奇策を投じて、「何が何でも」暫定税率を延長させようとする与党。対するは、「ガソリン値下げ隊」などというような、全く品格もインテリジェンスも感じられないイメージだけのアドバルーンを上げて、「何が何でも」暫定税率を廃止させようとする野党。どう見ても、プロ同士の戦いとは思えません・・・。
いつも疑問に思うのですが、なぜ、「郵政」や「テロ」や「ガソリン」のような、個別の問題が、国政の中心命題となり、単純に「賛成か」「反対か」という短絡的な言い争いだけに終始してしまうのでしょうか。本来の、「この国をどうするか」というビジョンや方向性が無ければ、賛成も反対も有り得ないのに・・・。ビジョンや方向性などの「戦略」が示されて、はじめて個別の具体的な「戦術」が決められていく・・・これが物の道理だと思います。今、「ガソリン税」をどうするかを判断出きる人は、本当はいないはずです。
「国民の幸福をどのように実現していくか」という大きな命題を語れる人や、現在の国の本当の実情を語れる人が欲しいですね。全ては、そこから始まると思います。でも、日本人は素晴らしい国民性と資質を持っているはずですので、必ず現れると思います。国を良くしたいという「大欲」を持った若い人、できたら同世代の1960年代生まれの人から出てくるといいですね。この世代(の多く)は、昭和一桁生まれの厳格な両親の下で育ち、古き良き日本人魂の遺伝子を強く受け継ぎながらも、若くて革新的な世代の新しい感性を理解できる懐の深さも持ち合わせています。「伝統と革新」の両方を兼ね備えた、今まであまり目立たなかった貴重な世代ではないかと、勝手に思ってます(自分自身は???ですが)。
さて、物事を俯瞰する、カメラで言うところのズームダウン(引く)、つまり全体像を見る目、構築する力を養っていく必要があると思います。そこだけを見ていても分からないことが、画面を引いていくと、次第に背景が見えてきます。結果的に全く逆の意見・結論になったり、そもそも大した問題じゃなかったと気づいたりします。だから、全体像を示して、全体像で戦うべきです。全体像が決まれば、自ずと細部は絞られます。
かく言う私も、ついつい全体像を見失うことがあります。これは人間である以上、仕方のない事なのでしょう。ですから、物の道理や世の中の仕組みなどの「全体像」を学ぶ勉強会を、月1回、社員さんたちと一緒に社内で設けています。このような学びは、直接、目先の仕事に直結しにくいものですが、長い目で見ると、物事を俯瞰する力が身に付いてきます。それは、その人の人生を豊かにするために、終生役に立つ智慧となるはずです。ある意味、究極の教育だと思います。