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ナポレオン

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最近スカパーで、映画「ナポレオン」を観ました。これは、アベル・ガンスという監督が1927年に撮った、かなり古いモノクロ無声映画(オリジナルは12時間)で、80年代に映画監督フランシス・コッポラが4時間に再構築し、コッポラの父親(カーマイン・コッポラ)が音楽を付け、フルオーケストラの生演奏による上映会を行った巨大な作品です。実は私も、当時それを観に日本武道館まで行きました(確か、高校生の頃だったと思います)。
「無声映画+生オーケストラ演奏」という経験は、いまだにこの「ナポレオン」しかありません。今回、スカパーで録画したものを、少しずつコマ切れで観ながら、あらためてこの作品の物凄さを実感しました。
武道館での上映会の時に一番驚いたのは、映画の最後の方で、別の2台の映写機が同時に回り出し(合計3台の映写機となり)、スクリーンが「左」「中」「右」と3つに広がり、それらが(きちんと繋がった)一つの場面を映したり、別々の3つの映像を映したりしたことです。この迫力は大変なものでした。また、3つのスクリーンの着色が、「青」「白」「赤」と、フランス国旗を表現していました。
実は、武道館での上映会で(私が行った日は大丈夫だったのですが・・・)映写機がうまく回らないというアクシデントもあったようです。映写機を同時に3台回すようなことは通常あり得ないことですので、妙に納得した覚えがあります。
この3画面シーンは、スカパーの放映では、全体を縮小して(小さく)画面に納めていました。映画館ですと、スクリーンが突然3倍になるわけですので、その衝撃の違いは確かにあると思います。
さて、この映画では、その他にもオーバーラップや画面分割等、当時の技術を大きく跳び越えた手法がたくさん取り入れてあり、「本当に80年前の映画なのか!」と、びっくりです。映画のオープニング(ナポレオンの少年時代の雪合戦シーン)では、実際にカメラを投げて撮影をしたそうです。これはもう、ものすごい迫力であり、ナポレオンという人物の非凡さ、特異さ、異常なエネルギー感というものを、映像の力だけで実感できます。
このようにして・・・とにかく80年前の作品なのに、前衛的!創造的!挑戦的!まさに「ナポレオン的」巨大な実験映画になっています。それに比べて、現代はと言えば・・・保守的で、失敗を恐れ、小さくまとまってしまう人が多くなりました。社会全体がそのような風潮に支配されているから、仕方ないのかもしれません。でも、だからこそ、このような閉塞感を打ち破るための「破天荒さ」も、時に必要ではないかと思います。
そして今は、それを他者(自分ではない別の人、ヒーロー)に求めるのではなく、むしろ自分自身の内側に発見することが重要ではないでしょうか。すべての人の心の中には、必ずナポレオンのような勇者は住んでいると思います。その勇者の目を覚まし、共に夢をもって、何かに挑戦する。社会を変える前に、まず自分自身を変えてしまう。と、自分自身に言い聞かせてます。