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四月の風

桜が満開の東京で、あたたかい四月の風が吹き始めました。日本でも世界でも、色々な(あまり嬉しくは無い)出来事が毎日報道されていますが、結局のところ(私たち人間は)、自分自身の最善の道を懸命に歩んで行くしか無く、その時間と努力の積み重ねこそが、唯一無二の真の(無限の)財産に成って行くのだろうと思うのです。世の中の現象(騒ぎ)に惑わされず、常に本質を見つめて行くこと。このような日々の生活の中にこそ、美しい幸福が見えて来るのではと思います。まして日本に生まれたことへの感謝の気持ち(実感)が、これからますます強烈に成って行くに違いありません。それほど諸外国の現状は恐ろしく厳しいものと想像します。
そして我が丸二ですが、今年は3名の新入社員さんが入社しました(本当に嬉しいことです)。右肩上がりの時代を知らない世代にとって、実社会に出るということは、大いなる不安との背中合わせなのかも知れません。けれども、そのような時代だからこそ、自分自身を見失わず、自らの人間としての成長を目指す道を(真っ直ぐに)歩んで行けるのではないか。人生で一番大切な何かを見つけられるのではないか。建設業と言う大いなる仕事(使命)と向き合う中で、一人ひとりが立派な社会人に成長する様、みんなで応援して行きたいと思います。
さて最近、単行本の新刊を(吉祥寺の「ブックス・ルーエ」さんで)数冊買いました。高村薫の「土の記(上・下)」、(話題の!)村上春樹の「騎士団長殺し(第1部・第2部)」、安部龍太郎の「家康(自立篇)」です。先ずは、「土の記」を少しずつ読み始めたところですが、なかなか面白いです。「土の記」は現代小説家の中で最も好きな高村薫の最新作なので、非常に興味深く読んでいます。高村薫の作品はどれも異常な程の細部に渡る描写があり、圧倒的なリアリティーと共に、超微細な世界に宿る作者の強烈な情念を感じます。恐らく一冊の本を書く為に、気が遠くなるほどの取材と調査を重ね、その世界に自らの一切合切を委ねることによって(架空の世界に実在する)生身の人間たちが自ずと動き出すような感覚がします。今回の作品も農作業に生きる男の日常と記憶、そして自然界の森羅万象が克明に綴られており、読み手を奈良県は大宇陀の山中へと瞬間移動させます。けれどもそこは(決して異界ではなく)地に足の着いた確かな現実世界です。今は下巻の途中ですが、時間を掛けて、ゆっくりと読み進めて行こうと思います。
また先月の大相撲春場所ですが、大きな負傷を負った新横綱の稀勢の里が見事逆転優勝を果たしました。普通なら休場するところ、強行出場しただけでも驚きだったのに、まさか千秋楽で二番とも勝つとは。本当に深く感動しました。「自分の力以上のものが出た。見えない力が働いた」という本人の言葉通り、確かに見えない力の応援があったと感じます。けれどもそれは「横綱としての最初の場所、みっともないことはできない」という本人の強い意志と勇気、日々の努力があったからなのでしょう。来場所以降も素晴らしい相撲を見せてくれるものと心から期待します。
時間は掛かるけれども、この様な日々の「1mmの前進」の蓄積が、後に偉大な結果を呼び起こすことが(実際に)あると思います。今回の稀勢の里関もそうでしょう。スケートの羽生選手の大逆転劇もそうでしょう。仮にあと一歩及ばないことが続いても周りの評価などを気にせず、日々の「1mmの前進」を(淡々と)続けて行くことさえ出来れば、そのエネルギーは確実に蓄積し(決して漏電せず)いつか必ず確かな実を付け、大いなる花を咲かせることと思います。芽や花や草木が毎日気づかない程の(ほんの少しの)成長を継続しているが如く大自然の摂理(秩序)に従った生き方や働き方をして行けば、必ず「自分の力以上のものが出た。見えない力が働いた」という実感の得られる日々がやって来る。そのようなことを感じさせてくれる四月の風の中で、私たちは今日を歩いて行きます。