

2011.01.11
丸二は「ありがとう(ございます)」という言葉を、15年も前から、企業理念のメッセージとして標榜して来ました。最初の頃は「ありがとう?・・・何か重いし、真面目すぎる。利益に繋がらない。精神主義は受けない」という反応が強く、社内的にもあまり評判は良くありませんでした。
でも、その意味合いの本質、つまり「感謝の力」がどれほど人生や経営において重要であるかが徐々に理解され始め、最近では、多くの企業が「ありがとう○○」と謳ったプロジェクトや商品・サービスを開始したり、有名歌手が「ありがとう」の楽曲をどんどん出し始めました。社会がますます不安と恐れに支配されつつある昨今、人々の心の中に何か大きな変化が生まれてきたことは間違いないと思います。
地元の氏神様でも、1月4日になっても、初詣の行列が続いていました。また、多くの一般雑誌でも、パワースポットや風水、お寺巡りの特集が組まれ、人々の意識が、「内面」に向かいつつあること示しています。
また、「トイレの神様」という歌がヒットしていますが、これも風水の基本的なお話です。家の中で一番汚れてしまう場所(トイレや水まわり)をキレイにすることは、家の神様に喜ばれ、また自分自身の心も磨かれます。斎藤一人さんや小林正観さんも、随分昔からトイレ掃除の重要性を提唱していました。
もっと有名な話では、北野武さんが、「なぜこんなに有名になり、成功できたのですか?」という質問に対し、「下積み時代、トイレ掃除を欠かさなかったこと以外、理由が分からない」と答えたということです。
丸二でも、会社のトイレは社員が順番に掃除をしています。そのようなことは、会社の下地に「ありがとうございます」という理念の積み重ねがあって出来たことで、単なる流行りのイベント事や運動ではありません。
そのようにして、「ありがとう(ございます)」は、会社の理念として(もちろん、まだ完全ではありませんが)浸透し、社員一人ひとりの中に「当然あるべきもの」まで昇華され始めました。と同時に、世の中にも「ありがとう」がどんどん出始めたので、丸二は次のステップに進むことにしました。
そこで「ニコニコ」です。一人ひとりが深い「感謝の力」をベースに持ち、それを形や行動、提案に変換して、お客様や社会へお届けする。その結果、本当の「ニコニコ(笑顔、喜び、幸福感)」を実現する。丸二は、今まで積み重ねてきた「感謝の力」で、お客様や世の中に本当の「ニコニコ」をお届けする。そのような段階に入ります。それは、単なる笑顔づくりではなく、「感謝の力」から派生した真の喜びをご提供していくということです。
「ニコニコ」は、丸二という社名の「○が2つ」とも繋がっていて、笑顔が2つで「ニコニコ」です。今年の1月からは、今までの「ありがとう通信」が「ニコニコ通信」と改名し、スタートいたしました。今回が第76号で、このまま行くと、丸二の「創立60周年」を迎える2013年の新年号が第100号となります。その頃の世の中は、もっと大きく変わっているでしょう。きっと素晴らしい時代の幕開けになっていると思います。これからも「ニコニコ」の丸二をよろしくお願いいたします。
2011.01.07
昨年の暮れ、子どもたちがiPod nanoを買うのに便乗し、自分も買ってみました。パソコンを使わないといけないので、それが何となく嫌で今まで敬遠していたのですが、(子どもに教えてもらって)やってみると簡単です。でも、iPodでクラシック(マーラーやブルックナー)を聴いている人なんて、あまりいないでしょうね。音質的にはCDそのものに敵いませんが、これだけ小さなモノにしては、確かに凄いと思います。
入れている音楽もクラシックだけではもったいないので、持っている洋楽CDもいくつか入れてみました。ちょうど学生時代に聞いていたポリス、ジェネシス、U2、エコー&ザ・バニーメン、ビーチ・ボーイズや、最近のサラ・ブライトマン。よく考えたら、みんな日本公演のコンサートに行ったバンド(歌手)ばかり。やはり、いつまでも好きでいられるのは、生の感動を味わったからでしょうか。
最近は、音楽も商品と化し、使い捨ての時代。本当に長く残っていくものは少ないでしょう。また、聴き手がiPodの音質でOKとなってくると、作り手も、お手軽に曲を作るようになり、だんだんと芸術性(良い意味のこだわりや追求心)が失われて来るような気もします。音楽もひとつのファッションとなり、日々の生活を彩るアイテムで、明日はもう違うものでいいのだから。でも、それはそれで、全く新たな価値観として、とても面白いと思います。
日経ビジネスに、秋元康氏のインタヴューがありましたが、年末年始に子どもたちが見ているTVに一杯出ていた「AKB48」を売り出した手腕と感性は凄いものです。秋元氏が言うには「自分が面白いかどうか」、ただこれだけだそうです。なるほど!それを信じて、諦めずにやり続けるだけ。そういう「根拠のない自信」があるかないかだけ。マーケティングもプレゼンテーションも関係なし。ただ、自分が面白いと思ったことを信じて続けること。あとは「運」。だからうまく行かなくても気にしない。だって、「運」なんだから。
今の時代、ちょっと変だなと思う側面も多いです。でも、若い人たちが自分の人生を自分らしく、楽しく、面白く生きようとしているのは、素晴らしいことです。今後は、そのような新しい価値観の中で、建築や住まいに対する捉え方もどんどん変化してくるのでしょう。そして私も、全く新しい発想の住宅のイメージを持っています。多分時間が掛かると思いますが、少しずつ商品化を進めています。これは私自身が超ワクワクする家ですし、何か根拠のない自信もあります。いずれ、HPで紹介できるようにしたいです。iPodに音楽が入る時代、住まいも新しい発想を。
2011.01.06
毎週FAXで送られて来る藤原直哉氏の「ワールドレポート」を愛読していますが、新年1月5日号を読むと、あらためて、これからは本当に農業・林業の時代だと認識できます。
「林業も政権の混乱にかかわりなくこれを再度復興しようという動きが全国に広がりつつあり、森林整備に新しい仕事が生まれつつある」「無から有を生むのが植物にしろ魚にしろ木にしろ第一次産業というもの」「多様な生物が棲むことができる田んぼや里山のような場所をとにかく復活させて、それを維持すること」「再生はまず場を作ること、場ができればそこから一斉に多様な花が咲き始める」・・・丸二としては、農商工連携事業(加子母森林組合様との連携)を通じて、さらに林業再生に力を入れていくことです。
木の年輪を見て、本当に摩訶不思議に思うのは、全くの「無」から「有」が生まれているという事実、しかも「少しずつ、少しずつ・・・」。このような大自然の営みに対して、真摯な姿勢で向き合いながら仕事をさせていただくことが21世紀の王道のような気がします。また「場」を作ることも大切とのこと。細かいことは心配せず、とにかく場を作ってしまうこと。本当にそうだと思います。
昨日の「年次計画発表会」では、会社の今年の方針を、社員全員で共有いたしました。その中のひとつの大きなテーマとして「もっと好かれる会社になる」ということがあります。好かれるためには、商品の良さ、技術、社員の人間性、会社の信用、価格、サービス、対応、マナー等の様々なものの総合力が必要です。
私たちは、それらが常に自然に向上するような場づくりを、時間を掛けて行ってきました。後は、「意志の力」。お客様にもっと喜んでいただくために、もっと「ニコニコ」していただくために、もっと好かれる会社になるために、強い意志を持ってこれからも建築に当たってまいります。それはきっと、最も自然なビジネスの姿だと思います。
2011.01.05
新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
2011年(平成23年)が始まりました。多分、とても重要な一年になるような気がします。今までの常識や構造が崩れ、全く新しいシステムや意識の時代が始まると感じます。年末年始のTVを見ていても、「真実」を語ったり追求したりするものは少なく(もちろん、良いものもありますが・・・)、未だに「深く考えさせない」という意図が全体を支配しているようです。
そのようなことを理解した上で、様々な情報を取捨選択していけば良いのですが、多くの人はただ情報に支配されているだけのようです。物事の本質が、今どのような方向に向かっているのかが感じられる感性が無いと、これからは羅針盤を失った船のように迷走し、不安と恐れからの脱却はできないと思います。
表面的な現象だけに囚われず、大きな流れを観て、人生も経営も考えて行く。この10年~15年はそのための移行期(準備期間)で、2011年からが本番です。その間、何を考え、何をやってきたのか・・・。会社も個人も、それを問われて来るのでしょう。そのような意味で、とても緊張感があります。
ただ、少なくとも丸二の場合は、まだまだ道半ばではありますが、正しい方向へ向かっていることは間違いありません。正しい方向を定め、そこへ向かって行くことは、大変なエネルギーと時間が掛かります。まるで北極星に向かって歩いているようなものです。
それでも諦めずに、多くの年数を積み重ねて行けば、まるで木の年輪のごとく、少しずつ形になって行くでしょう。私たちが現在、取り組んでいる岐阜県加子母の神宮美林(加子母ひのき)は、伊勢神宮の式年遷宮の御用材ですが、次の式年遷宮の年である3年後の2013年までに、世の中は本当に大きく変わっていると思います。それまでに、どれだけの年輪を刻めるか・・・。世の中も、私たちも、より大きく飛躍するための、面白い3年間になりそうです。
そのスタートの年として、今年も一年、お客様への感謝の気持をお届けして行きたいと思います。今日は年次計画の発表会と新年会を行い、明日から通常業務です。今年も何卒よろしくお願いいたします。
2010.12.27
2010年もあと僅かになりました。丸二も明日(28日)の仕事納めを済ませ、良い年越しを迎えられます。これも全てのお客様、関係者様、そして大自然の恩恵のおかげと、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。来年は、時代が大きく動き出す一年となりそうですので、会社も個人も「良い流れ」に乗れるよう、常に心と意識を洗っていきたいと思います。
さて、丸二の社長として、今年一年を振り返って感じているのは、「今年は、社員さん一人ひとりが(もちろん、まだまだ未熟ではありますが・・・)成長したなぁ」ということです。成長とは、なかなか具体的に目に見えるものではなく、評価しにくい性質のものではありますが、それでも確かに「成長した」と思えるのです。
私が父から社長を受け継いだ時から、すでに13年が経ちましたが、その間で随分多くの社員さんが入れ替わりました。私自身が未熟であったことが一番の原因ですが、それでも、本当に良い建築をやっていきたいという強い思いや志が、それに共鳴する人々との新たな出会いを(自然に)導いたのだと、今では確信しています。それは、社員さんとの出会いだけに留まらず、丸二の事業(志)に対する多くの協力者様との新しいご縁をも生み出し始めました。
現在のような厳しい経済環境の中で、日々の現実の仕事に奮闘しながらも、何か夢や希望、志というものが、おぼろげながらも実現に向かい始めているような気がする・・・そのようなある種の感触が、社員さん一人ひとりの意識の中に芽生え、何かを変化させているのかもしれません。このようにして、以前はあまりピンと来なかったことが、時が経つことで、だんだんと解かってくることがあります。
丸二で目指しているものが、少しずつ社員さんの意識や体の一部になり始めてきた。その仄かな感触というものが、日々少しずつ強まってきているのではないか。社員さんの意識と会社の意識が、さらに共鳴し始めているのではないか。その力が、だんだんと多くの(素晴らしい)協力者を引き寄せているのではないか。
社員さんの成長は、このように、まだ目に見えない意識の世界にあります。でも、感じることは出来ます。先日、社員さんに対して、物理の「量子力学」の話をしました。私は理工系ではないので、うまく説明できませんでしたが、物質を細かく小さくして行くと、最後は「(動いている)波」となってしまい、なおかつ、そこに人間が意識を向けると「粒」に変わるという摩訶不思議なことを話しました。専門的には多分、違う説明になるのでしょうが、要は、物質は常に動いている(振動している)ということと、物質は人間の意識によって変化するということ・・・これが物理的に解かっているということを、社員さんに伝えたかったのです。
つまり、私たちの仕事である建築において「心をこめて建物を造る」と、家を構成する全ての建材が「変わる」ということです。建材は、どんなに固いものでも振動していて、(造る人や、住む人の)意識(想念)で、良くも悪くも変化するということです。そんなバカな・・・と思うかもしれませんが、それが現実なのです。
よって、心を込めて造れば、その家(建材)は強く、美しく、長持ちし、住む人に良い影響を与える。逆に、マイナスの感情を持って造れば、同じ家(建材)も、弱く、すぐに朽ち、住む人に害を及ぼす・・・そういう風に理解できます。
だから、「意識」は本当に大切だということです。「最良の建築を造ろう」「お客様が幸せになる家を建てよう」「お客様が笑顔になるよう、良い仕事をしよう」「お客様に喜ばれよう」・・・日々そのような気持ちで現場を進めることは、単なる精神論ではなく、物理的・科学的に家・建物・建材の性質をより良く変化させていることに繋がります。
本物の技術者、本物の職人は、そのようなことを(理屈で無く)直観で解かっているのでしょう。私は、丸二の社員一人ひとりが、そのような意識を持って、心からお客様の幸せを願い、祈り、夢見て、ひとつひとつの工事を大切にしていく会社を目指していますが、だんだんと、そのような方向に向かい始めています。それは、この厳しい世の中が、物事の本質を目覚めさせているからではないでしょうか。
来年から、きっと面白い時代になると思います。2011年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
2010.12.22
昨日12月21日、丸二のホームページがリニューアルいたしました。満月で皆既月食という特別な日に誕生した新しいサイトで、また多くの方々との新たな御縁を結びたいと思っています。ぜひ、生まれ変わった新ホームページをご覧ください!!
2010.12.08
21世紀に入って、早くも10年が終わろうとしていますが、これはオペラで云うところの「前奏曲」にあたり、いよいよ来年から「第一幕」が始まります。前奏曲は、これから始まるドラマや登場人物を暗示させるモチーフで構成され、それを聴くことによって、オペラ全体の印象が解かるものです。
ドイツが生んだ巨大な作曲家リヒャルト・ワーグナーのオペラ(楽劇)の数々の前奏曲は、それ自体が無限旋律の大河であり、壮大で深遠な物語を予感させるものです。有名な楽劇「ニーベルングの指環」は、極めて特殊な作品で、上演に4日間掛かります(約14時間)。序夜「ラインの黄金」、第一夜「ワルキューレ」、第二夜「ジークフリート」、第三夜「神々の黄昏」という4つの作品で構成され、序夜「ラインの黄金」が前奏曲的な位置付けとなっており、この壮大な物語の起点・原因を示し、すでに結論を暗示しています。
さて、そうなると・・・「21世紀のための前奏曲」を(10年も掛けて)聴くことができた私たちは、これから始まる「第一幕」「第二幕」「第三幕」を暗示(予感)させる出来事に、すでに出会っているわけです。であるならば、おそらく「大変革」となるであろう21世紀の方向性は、見えて来たと思います。
「資本主義が終わり、何か新しい社会システムに変わりそうだ」「エコロジー、環境、自然との共生の時代になる」「インターネット、IT、情報革命がもっと進む」「癒し、健康、精神世界が最大のニーズになる」「農業、林業、第6次産業が花形産業になる」「医療技術の進歩」「国や政治が弱体化し、個人の時代になる」「テロ、紛争、政情不安は終わらない」「異常気象、天災地変の多発」「宇宙開発の進歩」「量子力学、新しい科学の時代へ」「戦争経済VS共生経済の戦い」「円高・ドル安」「中国・アジアの時代」「日本食ブーム」「木・水の時代」「教育の問題」「宗教から信仰へ」「真の幸福の追求」・・・。
この10年間を思い起こすだけで、多くのキーワードが頭に浮かびます。良いこともあれば、悪いこともあります。ただ思うのは、世の中は間違いなく「良くなっている」と云うことです。確かに日々のニュースだけを見ていると、悪いこと、凶悪なことばかりが起きているように感じます。でも、だからと言って、(戦国時代と比べて)(龍馬の時代と比べて)(二つの世界大戦の時代と比べて)(戦後復興の、物が無い時代と比べて)今がどうかと言うと・・・今の方が明らかに豊かで幸福です。良い時代です。
それなのに、私たちは不平不満を言う。戦乱の時代を生きていた人々にしてみれば、「今がどれほど幸福か!」ということだと思います。ですので、この「21世紀のための前奏曲」には、何か面白い仕掛けがあるように思うのです。つまり、この曲の中に含まれた多くのモチーフの中で、プラスの曲調に意識を合わせるのか、マイナスの曲調に意識を合わせるのかで、その後のドラマ全体のストーリーが(個人単位で)変わってくるような気がするのです。
聴衆の全体意識によって物語の筋が変わるなんてことは、通常の上演ではありえません。また、観る人ごとに筋が違うことも、ありえません。でも、この「21世紀楽劇」では、そのような(変な)仕掛けがあるかもしれません。であるならば、今起きている事象(世界単位でも、個人単位でも)の中で、「いいなあ~」「楽しいな~」「すごいな~」「面白いな~」「素晴らしいなあ~」と思えることに意識をフォーカスして行くと、面白い21世紀物語が生まれそうです。
私たちは、そこを試されているような気がします。一見、困難に見えるようなフル・メニューを前に出されながら、それをいかに美味しい味に変えてしまうか。この10年間の前奏曲は、困難の「てんこ盛り!」でしたから。だからこそ、きっと、そのような仕掛けが隠されているんだと思います。
今、お笑いが流行っているのも、ある意味、「嫌なこと」「つらいこと」を、「笑い(というプラス側)」に転換させる技術が(無意識に)求められているからかもしれません。重い病気の人が、落語や漫才、お笑い芸人のショーを見て大笑いしていたら、病気が治っちゃったという話もよく聞きます。
このようにして、「21世紀のための前奏曲」は、そろそろ終演です。そして、暫しの休憩の後、いよいよ「第一幕」が始まります。笑いでいっぱいの喜劇になるか、戦いの大スペクタクルになるか・・・。丸二の私たちは、豊かさと幸福感で満ちた、温かい「建築造り」の物語を生きて行こうと思います。
2010.11.23
「新しい段階に入った」・・・何かそう思わざるを得ない数々の事象が、次から次へと続出し、世の中が右往左往しているように見えます。その1つの象徴としては、何事も「長続きしない」ということがあります。総理大臣にはじまって、ヒット商品から芸人さんまで、とにかく目まぐるしく入れ替わっていく。
時代がすでに次の段階に入ってしまっているのに、まだ以前の意識・やり方・考え方では、もう本流になることが出来ない。だから、今までの勢いで(一時的に)勝利しても、すぐに(短期間で)落ちてしまう。
このように、せっかくの努力が水の泡になってしまわないように、私たちは、まず時代の変化・変革の様相を正しく理解して、この21世紀の新しい段階に相応しい人造り、会社造りを行い、持続可能な社会・経済・会社・地域・環境を造っていく責務があると思います。
私は今、46歳。数百年に一度の大変革を、人生の30代の頃から経験し始め、40代でさらなる荒波と向き合い、そして50代(60代かな?)では(きっと)未知なる新世界を見ることになるでしょう。そのような奇跡的な激動との「縁」をいただき、この時代を生かされていることに対する畏敬の念、感謝の念、驚きの念を隠すことができません。
最近、小中学時代の多くの友人たちと再会する機会が急に増えてきました。それぞれ、全く違う道を歩みながら、当時の良き思い出を共有する友人たち。東京オリンピックの頃に生まれ、高度成長の波に乗って、(親の世代のおかげもあって)物質的な豊かさを享受しながら、成長してきた世代。それが社会に出た途端、ブラックマンデー、阪神大震災、リーマンショックを経験し、やっと社会を牛耳ることができる年代になった今、このような混沌とした世の中にいる。
でも、まさに、このような時代と正面からぶつかったのは、「我が世代」こそが、この混沌を解決できる大きな底力を持っているからではないかと、思うのです。ITブームの頃は、私たちよりもずっと若い世代が、先に世に出ました。でも、今は静かです。私たちよりもずっと上の世代は、戦後の厳しさを乗り越えて、良き時代の波に乗って行くことができました。そこで、残されたのは・・・我が世代(40代~50代)です。
さあ、いよいよ出番でしょうか。小中学時代の友人たちは、みんな元気です。様々な経験(苦労)が血となり肉となり、もう何かをしたくて堪らないようなエネルギーに満ちています。多分(きっと)、我が世代が新しい社会を築きます。新しい段階に相応しい世の中を造ります。もしそうであるならば、間違いなく素晴らしい共生の社会になります。
なぜかと言うと、我が世代は、(良い意味で)昭和の古き良き世代と、新たな新人類との間に立っていて、とても穏やかで温かくて中庸な精神性を持つ人たちが多いからです。努力を大切にして、上昇志向を持ちながらも、競争だけを美徳とはしません。喧嘩はありましたが、陰湿なイジメはありませんでした。皆、お互いの個性を認め合い、自然体で一緒に生きていました。
だから・・・本当に豊かで持続可能で、皆が精神的に幸福感を持つことができる社会を造ることができると思います。私もその素晴らしい世代の一員として、これからも出来ることをやって行こうと思います。そして50代(~60代)になった頃には、「やっぱり日本ってすごいなぁ~」という時代にしていきたい。今はただ、そのような「志」を持つことが出来る人造り、会社造りを目指すのみです。
2010.11.04
11月に入り、今年もあと僅かになってきました。気候の方も、寒暖の差が激しくて、毎日の服装選びが大変ですね。それでも季節は(当然のごとく)冬が来て、そしてまた春がやって来ます。山高ければ谷深しで、季節や人生も、このような幾何学的な曲線を描いて時間と共に移り変わります。多分、そのような自然の法則を変えることはできないのでしょう。
でも、その曲線に右肩上がりの勾配を付けてあげることは可能ではないでしょうか。もしそうなれば、人間はこの「山(いいこと)」と「谷(わるいこと?)」を行ったり来たりしながらも、気が付いたら、スタート地点よりも高い位置(目標とか幸福)へ上昇していることになります。
そうなると、勾配の角度をプラス側にしなくてはなりません。角度がゼロですと、ずっと横ばいですし、マイナスだと悪化して行きます。どのようにしたら、プラス側にできるのか・・・。
数日前、NHK-BSで、スティーブ・マックイーンの特集をやっていました。私が子供の頃に最も好きだったスターは、実は「スティーブ・マックイーン」。部屋に大きなポスターを貼ってました。今の若い人は、知らないかもしれませんね。どちらかと言うとアクションスターとして人気がありました。
私が好きな作品は、「荒野の七人」「大脱走」「ブリット」「華麗なる賭け」「パピヨン」。そして大ヒットした「タワーリング・インフェルノ」。この超高層ビルの大火災を消す消防隊長役は、最高にカッコよかったです。
でも、今回のBSのドキュメンタリーを見て、あらためて彼の人生の壮絶さを知りました。父親に捨てられ、叔父の家に預けられ、農場で働き、その後不良となり、少年院へ入る。その後、役者を目指し、ハングリー精神むき出しにして、主役を勝ち取っていく。「タワーリング・インフェルノ」では、とうとう大スターのポール・ニューマンを超え、名実ともに成功しました。
ところが彼は、その後いよいよこれからという時に、多くの有名作品の出演依頼を断り、田舎に入ってしまう。3番目の妻と一緒に、農場をつくり、長い旅に出る。そこでは俳優スティーブ・マックイーンという顔ではなく、普通の一般人としての生活だったようです。高級なホテルやレストランは嫌がり、普通の宿、普通の店に行き、普通の人々と話をする。
結局、最後は病魔に侵され、50歳で亡くなってしまうのですが、それまでの間、有名人になったにも関わらず、かつて入所していた少年院に行って、そこにいる少年たちと触れ合い、励まし、元気づけていたそうです。
子どもの頃、両親の愛を受けることが出来なかった時に、叔父の農場で畑仕事をしていた事が一番の幸福だった・・・スターとして成功しても、彼にとっての真の喜びは、そのような普通の生活の中にあったのかもしれません。私がかつて、スティーブ・マックイーンに魅かれたのは、何かそのような目に見えない、内面的な深みを感じていたのかもしれません。
人生をより良く生き、少しでも高い位置に到達するには、他者からどのように思われるかではなく、自分自身がどうしたいか、どうなりたいかではないかと思いました。その意思が、右肩上がりの勾配を支えるのではないかと。その意思さえあれば、どのような険しい山も谷も、勇気を持って超えられるし、そこから様々な学びを得て、気付くこともできる。人生とは、人それぞれの山と谷を超えながら、本質に迫っていく旅なんだろうと、感じました。
2010.10.13
先週の10月8日、おかげさまで丸二は、創立57周年(58年目)を迎えることができました。これも永年にわたるお客様並びに関係各位皆様のご愛顧の賜物と、心から感謝いたします。本当にありがとうございます。
また、私が先代より事業継承をしてから数えると、この日でちょうど丸13年となります。その間、時代の急激な変化の中で、本当にいろいろな経験をさせていただいていますが、今になって、つくづく「幸せだなあ」と感じています。
「こんな経験が出来た。こんなことが解った。こうしたらダメなんだ。こうしたらきっとうまくいく」・・・このような多くの気づきの連続の中で、生きていくための智慧(=無形の財産)を日々習得することができているからです。これほどの価値と喜びは、きっと他には無いでしょう。
私が思うに、建築はまだまだ未開の産業で、本当に進化発展するのは、まさにこれからではないかと思います。都会の中で、ビルやマンションを建てるにあたり、「ルネス工法」あるいは「外断熱工法」等がどんどん普及していけば、建築がそもそも持っている潜在能力が、今までの数倍以上に拡大していくはずです。
日本という土地(=空間)が小さな地域・場所において、いかに空間を有効活用し、それを大切に維持し、かつ快適な環境にしていくという取り組みは、国としても個人としても、極めて重要なことではないかと思います。しかもその問題を、建築の技術によって解決することができたのであれば、まさに「建築革命」の到来です。
「ルネス工法」あるいは「外断熱工法」を先駆けて取り入れられた、多くのお客様の建物を日々施工させていただきながら、私たちは、このような新しい建築の「文化的・歴史的価値」というものを(決して大げさではなく・・・)感じます。これからは、今までの常識的な空間というものに、さらなる付加価値を加えていくことが、建築の世界では必要なことですし、(また逆に)この産業にはまだそれだけの余地(未開地)がたくさん残っているということです。だから、建設業ほど夢のある、未来型の成長産業はないと言えます。
また、ビル・マンションの建築において、コンクリートの品質に対する人々の意識もまだまだ低い状態です。これが、日本の建物の寿命を短くしている1つの大きな要因ですので、まず人々が、コンクリートの品質に対して関心を持って、意識することです。それによって、造り手の意識も変わります。当社の「パワー・コンクリート工法」に関心を持つお客様が増えてきたのは、社会を変えるひとつの素晴らしいシグナルだと思います。
また、物理的な空間活用法と共に、精神的に良い作用を及ぼす空間造りも大切です。なぜかと言うと、多くの建築空間は、人々が幸せに暮らしたり、仕事をしたりするためのものだからです。実はその根本的・本質的目的が、今の建設産業からは、欠落しています。ただ、物理的にモノを建てるだけでなく、その建築(家、住環境、職場環境)が、何のために造られようとしているのかを理解し、その真の目的に適う「場」を造ることが重要なのです。
「自然素材」や「建築医学(風水環境科学)」への取り組みは、そこに住み、暮らし、働く人たちが、快適で、楽しくて、健康で、幸せで、豊かな感情を獲得するためのものです。建築(場)によって、人は健康にもなるし、病気にもなります。楽しくもなるし、つまらなくもなります。プラス発想にもなるし、マイナス発想にもなります。つまり・・・建築によって、人の人生(考え方、感情、気持ち、判断等)が大きく左右されるという面があると言うことです。
そのような具体的な中身までをも理解して、建築に取り組むことができれば、いよいよ「建築革命」が始まります。日本の貴重な(希少な)空間を様々な技術・工法で大活用し、心と体がより良くなるような場を造る。それは、その人の人生までを変えて行く。さらに、同時に自然・環境にも貢献する。
丸二は、以上のような包括的な建築を考えて、微力ながらすでに「建築革命」を始めています。最近、成長し始めている「加子母ひのきの産地直送・健康エコ住宅」も、その中で大切なピースの1つです。建設会社と森林組合が「直結」するという、今までの常識を超えた取り組みの下地には、このような「建築革命」への思いがありました。
さらに、「コーポラティブハウス」への取り組みも、「これからの街づくり、地域コミュニティー造りには、建築の介在が必要不可欠である」という先駆的な発想に共感したからです。「コーポラティブハウス」の施工上の苦労は当たり前のことで、それ以上に、この「コーポラティブハウス」の持っている役割、使命感に共鳴したのです。まさに「建築革命」です。
また、現在積極的に取り組んでいる「リフォーム事業」についても、金額の大小よりも、多くのお客様とのご縁を結ばせていただき、さらにそのご縁を深く長く育み続けて行くことを主眼にしています。「住みたい街№1吉祥寺の建設会社」として、ほんのちょっとの事でも、気楽に頼める安心の建築屋さん(リフォーム屋さん)も、街にとって貴重な存在です。
私たちは、常にお客様の身近な存在として、24時間お客様をサポートすると共に、様々な技術・工法によって「最良の建築」をご提案していきます。それが、私たちの「建築革命」であり、大きな夢です。そして、このような夢を持てていること自体、「幸せだなあ」と感じる今日この頃です。
※幸せを感じる音楽
シューベルト:交響曲第8番《未完成》
ワーグナー:ローエングリン第1幕への前奏曲、タンホイザー序曲
ウェーバー:オベロン序曲
ムラヴィンスキー(指揮)&レニングラード・フィル
シューベルト:交響曲第9番《グレート》
Rシュトラウス:《メタモルフォーゼン》
ケンペ(指揮)&ミュンヘン・フィル
今まで、あまりシューベルトは好きではなかったのですが、最近やっと良さが分かるようになってきました。そのきっかけは、ムラヴィンスキー指揮の1977年東京ライブでの「未完成」です。とても何か深いところから湧き上がってきたような演奏で、ある種の恐さ(と言うよりも畏怖の念)もあるのですが、この音楽の面白さ(深さ)を実感することができます。私にとって、初めて「未完成」で感動した演奏です。
また最近では、ケンぺ(指揮)の「グレート」を聴き、これもこの曲の持っている冗長さを感じさせない「美しく躍動する音楽」で、とても気に入りました。何か嬉しい気持ちにさせてくれる演奏です。
シューベルトを聴くと、とても静かで穏やかな気持ちになります。今のような騒がしい世の中で、心豊かに生きて行くためには、たまにはシューベルトもいいなと思いました。